「グレーテルの信号はこの先だ!」
突如響いた轟音と、グレースの情報を頼りにホロウの中を進んでいく
「ところでグレースさん、グレーテルってどんなのスか?」
「あの子は真面目な頑張り屋さんさ!小さい頃のおチビちゃんも、同じくらい可愛かったなぁ」
「...おい、それで誰がわかるっつうんだよ...」
「もっと外見的な情報が欲しいんだけど...」
「はいはい、普通の人にもわかるようにいうとだね──あの子は地下を掘るための機械さ。他の仕事にも対応できるように、建築物の解体ができるチェーンソーも完備しているんだ!」
「お前がしつこく更新しようとしたからだろ?すっごくうざいぞ、あれ」
「君も変わったね、そんなことを言うようになって...あ〜あ、小さい頃はあんなに可愛かったのに...」
「うーん、子供が大きくなる過程で急に反抗的になるのはよくあることだろ?」
それはクレタに効果抜群の言葉なんじゃないか?と、リョウジは思った
それにやはり機械にも反抗期はあるものなんだなぁとも思った
「デモリッシャーにも、ついにその時が来たと言うだけじゃ...──」
「──そんなのダメだよ!」
グレースは強く拒否した
「私の可愛い可愛い子供たちが、深夜に暴走族の集会に行ったり、わざとキズを作ったり、剥がせない巨大ステッカーを貼ったり、違法混合エーテル燃料に手を出したり、旧文明のアニメの真似をして他の機会と合体なんてしようものなら...」
グレースのやけに具体的な妄想からは、機械への愛情がひしひしと伝って来る
「合体はダメなことなのか?」
「ダメだよ!いいかいリョウジくん、合体というのはね...」
グレースはクウガに合体の危険性について早口で喋り始めた
合体と解除を繰り返すと金属疲労が〜とか本来の機能が〜とかそもそも合体は如何わしいとか
めんどくさいなと思ったクウガは右耳から左耳へと話を流しておくことにした
「グレース、それ以上リョウジを困らせんのはやめろ!」
クレタが頭をポカンと叩き、グレースを引っ張っていく
それでもグレースの口からは『合体の危険性』が溢れて止まらず、クウガは
(なんだこの人?)
と思った
『そろそろ先を急ごうか....』
『大型機械の放送信号を検知しました。位置情報を同期中』
fairyのアナウンスが終わると同時に、イアスのモニターにマップが表示された
『ずいぶん強力な信号だ。けど、一体何をしているんだ?』
しばらくして...
デモリッシャーのいるであろう座標に到着した一同は、開けた場所に出た
そこには1人のガタイのいい男が、鉄骨の上に座っていた
上は黒いインナーのようなものを着ていて、下には大きめの白祇重工の作業着を着ている
「なぁ、そろそろ戻ってくれないか?その...真白くん?とはまた会えるだろ?」
『そんなこと言って、真白くんと私の仲を引き裂く気でしょ?』
そこにグレースが飛び出していく
「...デモリッシャー!合わないうちにいっぱしの乙女になって...!」
「うん?その声は...」
男がこちらに振り向き、鉄骨から降りてこちらに近づいて来る
「いいところに来た。見ての通り、少し手こずっている」
「みたいだな...お前が手こずるなんて珍しいこともあるもんだ」
「...そこにいるライダーの方は?」
リョウジのことを指差す
「あぁ、こちらは協力してくれることになったプロキシさんとその補佐をしているリョウジくんだ」
『初めまして』
「どうも...」
イアスは男に向かって手を振り、クウガも軽くお辞儀をした
「君たちが『パエトーン』か...改めて、俺がヒュメナ・ハワードだ──これからよろしく」
ヒュメナが差し出してきたその手をとって、握手をする
思ったよりも強い力で握られて少し驚いたが、どこか暖かい手からはその男の頼もしさがわかるようで、クウガも手を握り返す
てっきりグレースの兄なだけあって変わった人かと思っていたが、そうではないらしい
「ところでヒュメナ、何に手こずっているんだ?」
「それが...あのデモリッシャーが真白くんとやらに恋してるみたいで...」
「真白くん?それはどこに...」
ベンさんと一緒に周りを見渡してみるも、それらしい人影は愚か、機械すらも見当たらない
「まさか...あの作りかけのビルか!?」
「まぁ、そうなんだが...」
ベンさんが大声を上げた
『作りかけですって...!』
大きな音を立ててデモリッシャー『グレーテル』が白い作りかけのビルから着地した
あたりには砂埃が舞い、その中からピンク色の目を映したモニターが光る
『私ね、真白くんと一生を添い遂げるの...♡』
モジモジと動くグレーテルのその四つの足が突然ガシガシと開かれ...
『だから今の...取り消しなさいよぉ!!!!』
先ほどの声と変わってドスの効いた声があたりに響く
グレーテルの背中に搭載された巨大なチェーンソーがぐるりと回転し、一同の方へ向けられる
みんなが構えたその時、グレーテルのモニターに赤紫色のノイズが走る
次第にそのノイズは画面を覆い尽くし、何かのアイコンのようなものが映し出された
『キャァ!なに!?体が動かない...!』
「どうしたんだい?なんなんだい、そのマークは!?」
グレースが声をかけるも、グレーテルは身を震わせるばかりで返事が返ってこない
数秒間それが続いた後、グレーテルは動きを止めた
『滅亡迅雷ネットに接続...』
そう言ったグレーテルは突如チェーンソーを振り回して攻撃を仕掛けてきた
一同はそれを後ろに飛んで躱し、体勢を立て直す
「何が起きてるんだ?」
「わからない、だけどとにかくグレーテルを止めないと...!」
グレースがネイルガンを構えた
まるでグレーテルに引き寄せられるように、そこらじゅうからエーテリアスがとめどなく出てくる
「妙だな...」
そう言うヒュメナはその鋭い視線をグレーテルにまっすぐに向ける
どこからフォースライザーを取り出し、装着する
装着した瞬間に赤色の小さな電気がバチバチと走り、直にそれを受けているヒュメナの顔が一瞬歪んだ
【Ruin!】
紫色のプログライズキーをフォースライザーにセットする
それと同時に警報のサイレンのような音が流れ始め、巨大なクモの機械のようなライダモデルがコンクリートを突き破って姿を現す
「うわっ、でかいクモ!?」
ワイヤーを引っ掛けて蜘蛛の巣を作るように辺りを飛んで回り、その途中でエーテリアスを蹴散らしていく
「変身」
レバーを引き、プログライズキーをこじ開ける
あたりに引っかかっていたワイヤーがヒュメナを中心に一斉に巻き取られるようにして体を追い尽くす
それと一緒に蜘蛛のライダモデルもバラバラになってワイヤーに引っかかり巻き取られる
【Force Rize...】
絡みついたワイヤーが弾け飛び、ベーススーツとライダモデルがリストレントケーブルによって繋がれる
【Venoming Tarantula!】
【All that is reflected in these eyes is complete ruin──】
【Blake Down...】
まるで逃れようとするライダモデルを強制的に身に纏うように変身を完了させた
「グレーテル、お前は俺が止める」
変身シーンいちいち書くのめんどくさいから2回目からは省略するよ
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