ゼンレスゾーンゼロ×仮面ライダー   作:トンファーエッジ

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第28話 ソンナ鎧は捨てちまえ

 

 

 

「はぁっ...はぁっ...!」

 

 

『待てっ!』

 

 

グレーテルの暴走の現場から走って逃げ去った男をヒュメナとクウガとイアス(アキラ)は追っている

 

クウガの超人的な視力でよく観察すると、腰には枯れ草色の銃のようなものを携え、ヒュメナが持っているようなプログライズキーも持っているようだ

 

 

 

「超変身!」

 

 

クウガはドラゴンフォームに変身し、男に向かって跳躍

 

足場として使われていた鉄パイプを一本乱暴に抜き取り、ドラゴンロッドに変化させる

 

 

「リョウジ、そこのパイプはダメだ...!」

 

 

崩れた足場が男に向かって倒れる

 

それを避けようとバランスを崩した男の背中にドラゴンロッドで突きを入れる

 

 

鈍い音と共に飛んでいった男の体が砂を巻き上げながら転がっていった

 

その場所には...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんやなんや!?えらいうるっさいのぉ、誰やねん!?」

 

 

 

その場所には『ホロウ用汎用デュアルショベル』通称『ハンス』の姿があった

 

 

「ハンス!?」

 

『これが...ハンス?』

 

 

「そのだっさい名前で呼ぶなやッ!!ってその名前知ってるっちゅうことはオマエ、会社の連中やなァ!」

 

 

「運が良いのやら悪いのやら...」

 

 

呆れたようにヒュメナがため息交じりに言った

 

やはり先ほどまでの喋り方は演技なんだろうか、それとも初対面の人と話すのが苦手なだけ?

 

そんな疑問が浮かんだリョウジはその疑問を頑張って心の中に押し込め、追っていた男の方を見る

 

 

 

「はぁ...はぁ...ここまで来られたのは好都合だ...」

 

 

男の手には小さな装置が握られている

 

その赤いボタンを押した瞬間、何かの起動音が鳴り、ハンスのモニターに赤紫色のノイズが走る

 

 

「な、なんや!動かれへん...!」

 

 

『ヒュメナさん、これって...』

 

「...間違いないな、リョウジくん、ここで止めるぞ」

 

「はい!」

 

 

 

今までとは比にならないほどの頼りがいのある声に、リョウジのいい返事が無意識に引き出される

 

2人は戦う態勢を取り、ハンスの動きを待つ

 

ハンスに気を取られたいたクウガの方に、男は枯れ草色の銃を向け、引き金を聞いた

 

 

『リョウジ、危ない!』

 

「え?」

 

 

その銃口から放たれた光る弾丸は、伸ばしたヒュメナの腕によって受け止められた

 

 

「くっ!」

 

「お前の役目はただハッキングするだけじゃないみたいだな...」

 

 

「...目標と交戦を開始」

 

 

 

【Hit!】

 

 

 

そのプログライズキーを開け、持っていた枯れ草色の銃にセット

 

 

 

【Authorize...】

 

 

 

「変身!」

 

 

 

【ThinkNet Rise!】

 

【Crouding Hopper!】

 

 

【An atack method using various group tactics.】

 

 

 

蛍光色の黄色のバリケードテープのようなホログラムが現れ、男を包む

 

装甲が宙に浮かび上がり、男の体に装着されていく

 

 

男は仮面ライダーアバドンに変身した

 

 

「ヒデンのガキが、何も知らずに死ねばよかったものを」

 

「...」

 

 

ヒュメナは何も言わずに拳に力を入れ、戦いの始まりを待っている

 

グローブがギリギリと音を立てていて、相手に威嚇しているようだ

 

 

「ヒュメナさん?ヒデンって...」

 

 

ヒュメナに対する疑問は底を尽きない

 

 

突然、クウガの左腕に強い衝撃と痛みが走り、クウガの体が吹き飛んだ

 

急接近したハンスがクウガに向かって、その大きなショベルで殴りつけたのだ

 

 

疑問に気を取られていたクウガには気づくことができず、大きくヒュメナと距離を離されてしまった

 

 

「リョウジくん!」

 

『リョウジ!』

 

 

『滅亡迅雷ネットに接続...』

 

 

ハッキングを受けたハンスの体は不安定そうにガタガタと揺れながらクウガの方へ近づいていく

 

 

クウガを押し潰さんとハンスが大きく足を上げ、振り下ろされた

 

金属がぶつかるような音と共にそれをドラゴンロッドで受け止め、なんとか耐える

 

 

「あぁああ....!!クソッ!」

 

 

なんとか耐えてはいるものの、今にも押し負けて潰れてしまいそうだ

 

 

ヒュメナに助けを求めようとしたものの、アバドンと戦闘を繰り広げているため、期待できそうにない

 

 

『どうしたら...!』

 

 

『提案。助手2号に頼まれていた解読が完了しました。新しい力に目覚めることに成功した場合、助手2号の戦闘が優位に進む確率を32.2%あげることが可能です』

 

『Fairy、頼んだ!』

 

 

それを聞いたFairyはイアスの体を操作し、クウガの元へ颯爽と駆け寄る

 

 

「こっち来んなよ!巻き添え食っちまうぞ!」

 

『助手2号、解読した文章を読み上げます。』

 

「な、なにっ??」

 

 

『〈邪悪なるもの あらば 鋼の 鎧を身につけ 地割れの ごとく 邪悪を切り裂く 戦士あり〉』

 

 

「はぁ...?あ、鎧....よろい...」

 

『本当に来た...!』

 

 

 

これまでのように特定の単語や事象を見たリョウジの頭の中にイメージが流れ込んでくる...

 

 

激しいノイズがかかっていてモノクロな映像。それでもリョウジはそれを不思議と理解できる

 

 

 

とある青年がグロンギと思しき怪人と対峙している

 

顔にはモヤのようなものがかかってよく見えない

 

 

その体が怪人の攻撃による爆発で見えなくなった瞬間

 

 

鋼の鎧に身を包んだクウガが姿を現した

 

 

その瞳には紫色の光を宿し、真っ直ぐに怪人を見つめている

 

怪人は怯まずに爆発による攻撃を仕掛けるも、その全てはクウガの硬い鎧によって弾かれる

 

 

その弾かれた一つがリョウジの足元で爆殺すると同時に、意識が現実に引き戻される

 

 

 

『リョウジ!』

 

 

見上げると、ハンスが大きく足を振り上げ、次こそはとクウガに振り下ろされる直前だった

 

 

その大きな黄色の足がクウガとイアスを潰してしまうその瞬間、その紫と白銀色の鎧をまとったクウガがそれを止めた

 

 

「超、変身...!」

 

『後から言うんだな...』

 

 

クウガはタイタンフォームへと変身を遂げた

 

 

先ほどとは比べ物にならないほどの力量を前に、ハンスの両の足は次第に押されていき、ついにひっくり返された

 

 

『...』

 

 

なおも目を覚まさず口を聞かないハンスに嫌気がさしながら、クウガは起きあがろうともがくそれに近づいていく

 

 

『リョウジ、壊してはダメだ!』

 

「あ、そっか...!」

 

 

アキラの忠告で目を覚ました

 

やはり熱っぽくなってしまうのはリョウジの悪い癖である

 

 

イアスがテチテチと走ってハンスに飛び乗り、赤いボタンのカバーを開けてそれを押した

 

モニターに写っていたノイズが消えて真っ黒な画面から黄色の目がもう一度映る

 

 

『はっ!なんや変な夢見とった気分やわ...』

 

 

「なに!?これでは予定と...!」

 

「予定と、何だ?」

 

「ぐはっ!」

 

 

動揺したアバドンの腹に大きなヒュメナの拳が突き刺さる

 

腹を抑えて後ろに下がるアバドンをゆっくりと追い詰めるように歩み寄り、フォースライザーのレバー戻す

 

 

右拳に装着されたヴェノムアナライズに深い紫色のオーラとも言うべき禍々しい何かがまとわりつく

 

その拳が握られると同時に、レバーを引き、一瞬でアバドンとの距離を詰める

 

 

 

【 Venoming... 】

 

【 Dystopia ! 】

 

 

 

ヴェノムアナライズがアバドンの腰に装着されたショットアバドライザーを貫き、男の腹に直撃した

 

まともにそれを食らった男は変身が強制解除され、その場に泡を吹いて倒れた

 

 

「いったん出ようか、おそらく援軍を呼んでいるからね」

 

「...あぁ、はい」

 

 

ヒュメナの話し方が戻ってしまった

 

この喋り方をする人間は1人いるだけでも結構キビシイが、2人に増えるなると、正直話しずらい

 

仮面の下で嫌な顔をするリョウジは生返事でその場をしのぐ

 

 

2人と1匹は転がっている男を担ぎ上げ、その場を去った

 

 

 

 

 

 

その後、ホロウを出る道中...

 

 

「ヒュメナさん...」

 

「ん?何だい?」

 

「...その話し方、何なんですか?」

 

「え」

 

 

ポツポツと会話をするうちに我慢ができなくなってしまったリョウジはついに聞いてしまった

 

失礼極まりないその言動だが、リョウジにとっては死活問題なのだ。聞かないわけにはいかない

 

 

「喋り方、と言うのは...?あぁ、何か粗相があったかな」

 

「いや、そうじゃないんすけど。戦ってる時とキャラが違いすぎないかなって」

 

「あぁ...それは...」

 

 

「戦ってる時は、寡黙で結構荒々しいと言うか、とにかく今とは全然違うじゃないすか」

 

「...」

 

 

ヒュメナは何か言いかけて言い淀んでしまった

 

聞いてはいけなかったことなのかもしれないと、少し不安になったリョウジにもう一度口を開く

 

 

「...協力者が来るから粗相のないようにって言われて、本を買ったんだ...『聞き心地良い話し方』とか、『初めての人への敬意の払い方』とか...」

 

 

ヒュメナは2冊ライトノベルくらいのサイズの書籍をポケットから取り出し、リョウジに見せた

 

 

「はぁ...?」

 

「それでこの話し方を練習したんだ、不快だったか...?」

 

 

本を受け取り、その中身をパラパラと見てみる

 

 

『常に笑顔で接しましょう!』

 

『詩的な表現で相手の心を掴むコツ!』

 

『知らない人には踏み込まない!』

 

『少しの悪口も言わないように!』

 

 

 

 

ゴミだ

 

これは古紙回収に出した方が世界の役に立つ類のものだろう

 

こんなもので練習してしまったら、そりゃあこんな『激キモ敬語会話法』が生まれてしまっても無理はない

 

元がどんな話し方なのかは定かではないが、これを読む前のヒュメナの方が500倍くらいはマシなものだろう

 

 

「ヒュメナさん」

 

「何だい?」

 

 

「...」

 

 

リョウジは本を地面に強く投げ捨て、地面に激突する音が周囲に響いた

 

 

「...こんなもの」

 

「リョウジ...くん?」

 

 

「もう普通の話し方に戻してください。それヤです」

 

 

「あ、お、わかっ、ぉど、わかった」

 

 

「あと呼び捨てで良いっす」

 

「わかった、リョウジ」

 

 

かくして2人は仲を深め(?)、ホロウの外へ出た

 

 

 

 

 

 





アバドンのデザインと変身待機音は殿堂入りですわ


ここまで呼んでいただきありがとうございます!

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