ホロウから出たリョウジたちは、一度状況を整理するために黒雁街跡地へと戻った
その後、ヒュメナと共に起きたことをあれこれ説明し、男は治安局へと引き渡した
今はベンさんがもう一台の重機の座標を特定してくれるまでの休憩時間といったところだ
リョウジは工事現場を一望できる小高いコンテナの上で、あぐらをかいて座っている
そこは従業員たちの休憩ポイントとなっているようで、にぎやかな声が聞こえてくる
「リョウジ」
「ヒュメナさん、何すか?」
缶コーヒーを両手に持ったヒュメナが近づいてきた。その片方を受け取って缶を開け、一口ふくむ
まぁ良くも悪くも缶コーヒーといった味わいで、馴染み深い
「...いろいろ聞きたいことがあるだろ?」
「...?、まぁ」
「もう少しだけ聞かないでいてもらえると助かるんだ。正直、無闇に巻き込みたくない」
「...わかりました。でも、いつかちゃんと教えてくださいね、もう仲間なんですから」
ヒュメナは微笑むリョウジの目を一瞬驚いたように見開き、微笑み返す
指切りをする代わりにお互いに拳を出して、コツンとぶつけた
「あ、そうだ。一個だけ聞いてもいいすか」
「敬語じゃなくていい」
「わかった。ヒュメナの変身するアレには名前とかねぇの?」
「あー、確かに考えたことはなかったな...一応『フレイシステム』って形式的な名前はあるけど」
「じゃあ...『仮面ライダーフレイ』って、どう?」
「あぁ、そうだな。これからはそう名乗らせてもらう」
クスクスと笑いながら、ヒュメナはその名前を心の中で反芻した
その後もポツポツと会話をしながらコーヒーを飲んでいると、ベンさんから連絡があった
『やぁ、白祇重工のベンだ。邪魔するぞ』
『前に探していたパイルドライバーが見つかったみたいでな...』
『リョウジくんも手を貸してくれると助かるんだが...』
リョウジは画面をヒュメナの方に向けて、情報を共有した
『わかった』
『他2人にも連絡しとく』
『あぁ、ありがたいよ...』
『じゃあ、現場で落ち合おう...』
『...』を多用するベンさんに首を傾げながら、兄姉の2人に連絡を送ってから、スマホをスリープモードにしてポケットにしまう
ヒュメナと共にホロウへ向かうことにした...
2人がホロウの中へと入ると、そこには白祇重工の面々とイアスが先に到着していた
リョウジは一同に軽く手を振って近づいた
『もうリョウジ、遅いよ〜!』
「ごめんごめん」
「兄さん、うちの子が迷子って時に呑気に歩いてこないでくれるかな?」
「...」
ヒュメナはまた始まったとばかりに嫌な顔をした
アンドーとベンの話によると、ここはホロウになってから長いので、エーテル活性が高く、旧都にも近いため長居することは危険らしい
といってもパイルドライバーはすぐそこにいるため、そんなに時間はかからないはずだが
「じゃあ、やりますかー...」
「気合いは十分だな、リョウジ」
【Ruin!】
リョウジは腰に手をかざしアークルを出現させ、
ヒュメナは腰にフォースライザーを装着し、プログライズキーをセットした
「私としたことが失念していたよ...!リョウジくん、今度こそそれをお姉さんによく見せ──」
そう言いかけたグレースの足元から巨大な蜘蛛型のライダモデルが飛び出て、まるでリョウジを庇うようにグレースの前に立ちはだかった
シュルシュルと音を立ててグレースを牽制しながらヒュメナの方へと後ずさっていく
「君でもいいんだよ!タランチュラ型ライダモデル3号機『マイク』!」
(名前つけてんだ...)
と、リョウジは思った
「はぁ...変身」
フォースライザーのレバーを引くと共に『マイク』は四方八方に飛び散り、ヒュメナのベーススーツから伸びたリストテントケーブルによって捉えられた
【Venoming tarantula!】
【All that is reflected in these eyes is complete ruin──Blake down...】
ヒュメナは仮面ライダーフレイへと変身した
その様子をうっとりと眺めるグレースを尻目に、リョウジもサイドバックルのボタンを押し込み...
「変身!」
眩い光に全身が包まれ、仮面ライダークウガ マイティフォームへと変身した
パイルドライバー『フライデー』の座標はこの、重機が一機通れるほどの大きさの道を抜けた先だ
「少し見ないうちに2人は仲が深まったみたいだなぁ...」
「あぁ、見ねぇうちにマジの兄弟みてぇになってやがる」
「そうか?」
「つまりリョウジくんが私の家に...??解体し放題...」
とても不穏な言葉が聞こえた気がするが、ヒュメナが守ってくれることを信じて聞かなかったことにしておこう
他愛無い話をしながらホロウの中を進んでいくと、遠くから大きな音が聞こえてきた
おそらくパイルドライバー『フライデー』のものだろう
大事に至っていることを懸念して、一同が歩みを早めたとき
「そんなに急いで...どこに行かれるんですか?」
「命が惜しけりゃ、そこで止まりな...」
と、どこからか声が聞こえてきた
そこ声のする方を見ると、少し高いところにある足場から、3人の何者かがこちらを見下ろしていた
「ここから先には行かせねぇよ!」
「おい、先ほどの言葉はおかしいぞ」
そう言う男と言われた女の手には枯れ草色の剣のようなものが握られ、丁寧な口調の男の手には同様の色の銃がある
おそらく先の2件の男の仲間だろう
「『命が惜しけりゃ』とは何だ?最終の目標はヒデンの子供を殺すことだ。それならば、かける言葉が違うだろう?」
「おしゃべりに夢中になっていてはいけませんよ。仕事は早く終わらせましょう...」
「「あぁ、全ては我が社のために」」
逆光に照らされた男女がプログライズキーを取り出し、ベルトに装填した
【Hit !】
「変身...!」
【ThinkNet Rize!】
【Crouding Hopper!】
【An atack method using various group tactics.】
アバドンに変身したそいつらは足場から飛び降り、リョウジたちの目の前に着地した
肩には幹部クラスの証明である『アバドンランチャー』が装着されいる
「誰だかしらねぇが、邪魔すんじゃねぇ」
「ご安心ください。可能な限り早く終わらせますので...」
1人の男が銃をこちらに向けて、引き金を引いた
グレースに着弾する直前で、フレイの手の甲がそれを受け止めた
「わわっ」
「グレース、それとクレタ。先にフライデーの方に行ってくれ。こっちは俺たちがやる」
「...!」
「道は俺が切り開く」
それを聞いたグレースはグッと唇を噛み、不安そうにヒュメナをじっと見つめた
それに気づかないふりをしてフレイは勢いよく手を伸ばす
その手首の先から、有刺鉄線のようなワイヤーが飛び出して、2人のアバドンをその場に縛りつけた
「ぐっ...!」
「小癪なァ!!」
そのワイヤーを掴み、握りしめて、力一杯反対側に振り回して投げ飛ばした
「早くいけ、ホロウは長居していい場所じゃない」
「...ほら!いくぞ、グレース!」
フレイの合図を受けたクレタが、グレースの首根っこを掴んで道の先に走り去った
最後までチラチラとヒュメナを見るグレースの背中を見送り、フレイは投げ飛ばした2人の方に体を向けた
「啖呵切ったからにゃ、逃げんじゃねぇぞ!」
アンドーがフレイに肩を並べて、指をゴキゴキと鳴らした
「荒事は好まないんだが...仕方ない...」
ベンもタンピングランマーを肩に担ぎ、立ち上がるアバドンを睨みつける
「目標は逃さない...」
「お前らの次は、あの女もだ!」
アバドンたちも切先をこちらに向け、こちらに歩いてくる
後ろにいる丁寧な口調の男が変身したアバドンの銃口が、クウガへと向けられていることが背中で感じられる
その引き金が引かれた瞬間、クウガはタイタンフォームへと変身し、弾丸をはじいた
「超変身」
『後から言うそれはなんのこだわりがあるんだい?』
「いいんだよ気にしなくて」
クウガはアバドン(丁寧な口調の男)に体を向けた
スラリと立つその姿が妙に気に食わなかったクウガは、勢いよく地面を蹴り、アバドンとの距離を詰める
その動きを見た他のアバドンも、ヒュメナたちに襲いかかる...
戦いの火蓋は切られた
これからアバドンたちは
丁寧な口調の男=アバドンA
乱暴な男=アバドンB
ガラの悪い女=アバドンC
とします
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