説明をことごとく省いてたしわ寄せがここに来て牙を剥きやがった...
翌朝...
午前4時のリョウジの部屋に着信音が鳴り響いている
いい気分で寝ていたリョウジはいやいや体を起こし、スマホに手を伸ばす
画面上部には『アンドー』と表示されている
「はい...もしもし」
『おう、リョウジか?プロトタイプを探す算段がついたんだ!今からこれねぇか!?』
「プロトタイプって何...?」
『昨日話してたじゃねぇか!忘れたのか!?あ、リョウジはヒュメナといたから聞いてねぇのか』
「うるっさい...」
思わずスマホを耳から遠ざけて通話終了ボタンを押した
棚の上にスマホを置いて、もう一度ベットと毛布の間に体を潜り込ませる
すぐさまスマホが鳴り出し、振動で棚から落ちた
今度は渋々起き上がり、スマホを拾う
画面上部には『アンドー』と表示されている
「はい...」
『なんで切るんだよ!?今から来れるのか、これねぇのか!』
「俺、今日学校...」
「あぁ!?聞こえねぇよ!ハキハキ喋ってくれ!」
「だから...」
寝起きのキレのない声を聞き返されて、リョウジは顔をしかめた
するとスマホの奥からヒュメナの声が聞こえてきた
『アンドー、今何時だと思ってる...リョウジはまだ寝てる頃だろ』
『あ?あぁ、そうか』
『変われ』
少しの沈黙が過ぎた後、いつもの淡々とした声がスマホから聞こえてきた
「もしもし?」
『リョウジ、俺だ。朝早くからすまないな、プロトタイプ捜索の算段がついたんだ。この後来られないか?』
「...この後って、この後?」
『あぁ、そうだ』
「俺今日学校だって...」
数秒間気まずい時間が流れ、その後すぐにアンドーを注意する声が聞こえてきた
『そうだよな、すまない。昨日付き合わせてしまった挙句こんな朝早くにまで起こしてしまった』
「別にいいって、ふわぁ....」
堪えていた眠けが口から漏れた
デカめのそれが体から出きったあと、もう一度口を開く
「放課後なら空いてるけど、行こうか?」
『そうしてくれるとありがたい。それじゃあ午後5時くらいかな、話を進めておく。ありがとう、学校頑張って』
「んー」
通話終了ボタンを押して机に置く
時刻は午前4時15分、月曜日
この時間から二度寝をして時間どうりに起きられた試しがないリョウジは、イヤホンを手に取って耳にねじ込む
スマホを手に取って音楽を聴きながら、大人しく学校へ行く用意を進めることにした
「ヒュメナのやつ、去り際に詰め込み過ぎだろ...」
「ただいま〜...」
「おかえり、リョウジ」
「おっ、きたか」
学校から帰ってきたリョウジが工房の扉を開けると、アキラとリンそしてクレタがいた
「クレタ?」
「なんかケンカしたんだって」
「い、言うなよ!」
どうやらクレタが『ホルスのことを父親とは見ていない』と発言したことによってグレースとクレタの間で喧嘩が勃発
ヒュメナによって仲裁が試みられるも、失敗
一度ヒートアップした2人を落ち着かせるために距離を置かせることにしたようだ
「はぁ...?」
「リョウジが帰ってくるまでの間預かるように言われてね。クレタ、気持ちは落ち着いたかい?」
「まぁな、グレースの言ってることも別に理解できないわけじゃねぇ。でも...」
「でもとかだってとかって、それじゃ解決しないだろ」
スクールバックをソファに置いて、トライアクセラーを手に取る
「グレースがなんでそう言ってるのかをちゃんと聞き出してやんねぇと。それに、ホルスがなんで失踪したかの理由も憶測でしか知らないんだろ?言いたいことはわかるけど、はやとちりは良くない」
「...」
「リョウジってば、乙女の味方しないと愛想つかされちゃうよ〜?」
「僕らもリョウジとはたまに喧嘩するからね。経験者は語ると言ったところか」
「...もう行けるけど」
袖を捲りながらリョウジが兄姉2人を睨みつける
それを聞いたクレタは少し遅れて立ち上がり、アキラたちと一緒に裏口から外に出た
リョウジもガレージの中にあるトライチェイサーにトライアクセラーを挿し『0517』とパスワードを入力、エンジンをかける
ビデオ屋の社用車を追いかけながら、黒雁街跡地へ向かった
しばらくして黒雁街跡地に到着
すでに用意を済ませたアンドーたちが待っていた
少し暗いグレースの隣にはヒュメナが立っていて、少し心配そうに彼女を見ている
「ついたぞ、時間通り5時ちょうど」
「アキラくん、すまないな。クレタを見ていてくれなんて無理言って」
「構わないさ、それよりプロトタイプの話をしないかい?」
「そうそう、プロトタイプってなんなんだ?」
『プロトタイプ』それは旧都陥落以前、ホルスが開発していた知能重機
今のデュアルショベルやパイルドライバーなどのベースになっているもので、旧都陥落のあとはホルスと共に失踪していた
「──ってとこだな。あれには会社の重要技術が詰まってる。社長として、あれを放っておくような真似は出来ねぇ。とはいえ、あいつを探すのはグレースの専門だ。詳しい話はアイツとしてくれ。悪いが、アタシは用がある」
「あ、...クレタ待ってくれ!」
ヒュメナが引き止めようと声をかけるも、クレタはそそくさと歩いて行ってしまった
(クレタ...まぁ、気持ちを整理する時間は必要か)
「心配すんな、ヒュメナ。うちの社長は、一度決めたことを後から後悔するようなタマじゃねぇ」
「それは知っているが、このまま放って置いていいものか?」
「大丈夫さ。おチビちゃんが決断してくれたなら、それで十分さ。ここからは、私がなんとかして見せる」
不安そうなヒュメナとベンを横目に、グレースが話始める
「あの子たちを隅々まで点検したけど。論理コアの呼称はおろか、エーテルによる侵食さえなかった」
「ZAIAによるハックが原因かと思ったが、あれは後発的なものでホロウに逃げた原因じゃない」
「そう、あの子たちを変えたのは、プロトタイプからの信号だったの。詳しい原理は省くけど...結論から言うと、あの子たちの論理コアの性能が底上げされたんだよ」
「つまり、賢くなったせいで逃げ出したと」
「うん。でも、そのうちプロトタイプから明確なメッセージを受けたのはパイルドライバーの『フライデー』だけだった。あの子はずっと『封印を固める』と言っていたけれど、まさかそうだったなんて」
「封印を固めるっていうのはどういう意味なんだい?なんだか厨二くさいけど」
「残念ながら、あの子は最後まで上手く言葉にすることはできなかったけど、どうやらプロトタイプは他の知能重機に助けに来て欲しかったみたい」
若干置いてけぼりのリョウジは眉を真ん中に寄せてついていこうと頭を使う
「プロトタイプが送信したデータを調べてみたところ、最初に受信したのはパイルドライバーだった。そのメッセージの量も、3台の中で1番多かったよ。他の2台は受信した量も少ない上に内容自体もところどころ途切れていた。それにあの子たちが逃走したあと、会社の他の知能什器はプロトタイプからの連絡を一切受けていない」
「つまり、これらを総合すると、プロトタイプの通信モジュールにはもう自主的に他の設備と通信するだけの力がない可能性が大きいな」
「そうだな。クレタのことだ、早く決断すればよかったと後悔しているかもしれない」
「でも、あの子が自分を責めるにはまだ早い。プロキシ、うちの知能重機はメッセージを受信すると、通信モジュールが自動的に1バイトのリプライ信号を返すようになっているんだ。この機能なら、消耗が少ないから、まだ生きてるかもしれない」
「つまり、三台の重機から信号を送り、それを辿ることでプロトタイプの位置が特定できる。時間が惜しいな、プロキシ、準備ができたらすぐに出よう」
かくして一同はプロトタイプ捜索のためにホロウへと足を踏み入れた
説明長いね...!!ごめんね...!!!
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