村のチンチクリンがドメロイケ女になってて俺への距離が近い話する?   作:負け組カチ組

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新 章 開 幕


第2章:目指せラグーナ ~再会へのカウントダウン~
(勘違いで)神になった男


 『うわごとの町』。

 かつてファビアヌムと呼ばれ、栄光ある対黒潮の最前線だった場所────その成れの果て。

 あたたかな風情のあった町並みは見る影もなく、建物も土地も何もかもが廃れ、すべてが灰色と黒に染まっている。

 

 そんな石灰化した増殖物にまみれた廃町にて蠢く影が二つ。

 勿論、人ではない。

 蠢く影のその正体は、サンゴと海藻の肉で造られた異形。

 鳴式レビヤタンの狂信者たる、おぞましき残像であった。

 

 死んだサンゴでできた杖に縋り付き、盲目的な狂信を贈る毎日。

 そして信仰持たぬ者を見つければ、同志として迎え入れるべくその狂気を矛に変えるのだ。

 

 しかしそんな不変であったはずの彼らの間には、現在、謎の混乱が生じていた。

 

 

「────? ────?」

 

「────? ────?」

 

 

 わからなくなってしまっていたのだ。

 絶対の神からの麗しき囁きも、この世のすべてが詰まった極楽『パラダイス』への道も。

 

 まるで、そのすべてが突然この世から消えてしまったかのように。

 

 

「神よ────神よ────」

 

「神よ────神よ────」

 

 

 狂信者の残像たちは、混乱し、絶望し、錯乱した。

 ある個体などは状況に耐えられず、頭部を繰り返し壁に打ち付け続けた後にサンゴの肉を散らして息絶えた。

 

 そうした混乱を経て、いくらか冷静さを取り戻したものが生き残った。

 皮肉なことに、信ずるべき神がいた時には無かった、欠片ほどの理性を手に入れて。

 

 

「────神よ────」

 

 

 とはいえ、目標そのものは依然変わらぬままだ。

 石灰の町をあてもなく永遠に練り歩き、消えてしまった神を探しているだけであった。

 

 そんなある日。

 とある二体の残像が、奇妙かつ興味深いものを発見した。

 

 

 

 

「────……」

 

 

 

 

 それは……彫刻のような男であった。

 

 数週間前。

 リナシータ全域を襲った衝撃────漂泊者たちとレビヤタンの決戦の余波なのだが────により、この彫刻は表出した。

 いたって一般的な服装をした、塩顔の男を象った彫刻。

 本来であれば、残像たちにとって気にするほどのものではなかった。

 

 ────この彫刻から、色濃い黒潮の気配が漏れ出ていなければ。

 

 

「我々に、パラダイスの扉をお開きください────」

 

「「「「お開きください────」」」」

 

 

 今やこの彫刻は、惑う狂信の残像たちにとっての最後の希望となった。

 残像たちはこの彫刻の前に結集し、祈りを捧げた。

 

 日が沈み、また昇ってもなお。

 もはや存在しない楽園を願って。

 

 

 

 

 そして、一週間後。

 変化は────訪れた。

 

 

ミシリ……

 

 

 はじまりは、小さな亀裂だった。

 蟻ほどの大きさすらない程度の、小さなヒビ。

 

 しかし、亀裂はどんどんと大きくなっていく。

 指先にしか存在しなかったそれは、いつの間にか彫刻の全身へと伝播している。

 残像たちがそれに気が付き、これまでにない焦燥に見舞われた時にはもう、どうしようもないほど彫刻は脆くなってしまっていた。

 

 

メキメキ……

 

 

 だが、彼らはこれから驚愕することとなった。

 

 今まで、ただの黒潮の彫刻として敬ってきたヒトガタが。

 

 

バ ゴ ン

 

 

 ────よもや動き出し、岩壁から飛び出してくるとは。

 

 

「────!! ────!!」

 

「────!! ────!?」

 

 

 張り付いていた岩の殻をボロボロと振り落としながら、今まさに自分たちを見下ろす彫刻()()()男を前に、残像たちは戦慄し、数歩後ずさった。

 

 本当ならば攻撃すべきだった。

 しかし、今の彼らにそんな頭はない。

 

 当然だ。

 あの男は、今まで彼らが仮初のご神体として祈ってきた者。

 そして今も、肉体からは圧倒的な黒潮の気配を漂わせているのだから。

 

 その時。

 

 

「ワムウッ!」

 

「「「「!?!?」」」」

 

 

 名乗った。

 高らかに、堂々と。

 ()()()()()()()()と、言わんばかりに!

 

 

「────神よ────」

 

「神よ────神よ────」

 

 

 狂喜────残像たちの間に、これまでにない喜びの感情が伝播していく。

 

 我らは、新たな黒潮の代行者────否、『神』を迎え入れたのだ、と。

 

 

「神よ────我らをお導きください────」

 

「パラダイスの扉をお開きください────」

 

「「「「我らが神、ワムウ様────」」」」

 

 

 数十もの残像たちが、一斉に跪き首を垂れる。

 向けられる妄信を前に、男はただ静かに彼らを見下ろして────、

 

 

 

 

(────……な、なにがどーなってんの~……??)

 

 

 内心では滅茶苦茶、右往左往していたのだった。

 

 

 

 


 

 

 

 

 アーイアイアイアーイー……(Awake)

 

 オッス、死んだと思ったら柱の男になっていた男、ヴィトンだよ!!

 

 ……いやしょうがないじゃんね。

 だって俺岩に埋まってたんだぜ?しかも独特のポージングで……それはもう柱の男でしょうがよ!?

 

 だから仕方がなかったんだ。

 目の前に何故か密集してガクブルしてる残像たちが、ワムウにドキュウーンされたナチ……ドイツ兵士に見えて……「やらなきゃ」って思ったのさ。

 ここでワムウを叫ばなかったら俺はきっと後悔する……。考える前に体が動いてたね。うん。

 

 でもだからってなんで俺今崇められてんの??

 

 

「の、ノックしてもしもお~~し??」

 

「神よ────神よ────」

 

「神よ────神よ────」

 

 

 ダメだこりゃ、全然聞く耳持たねぇぞコイツら……。

 ってか仮にもオメーらが崇め奉ってる相手が話しかけてきてんだから反応ぐらいしろや!?くっそコイツらぜってぇカルト宗教家だな……。

 

 っていうか────ここ、どこだ?

 

 あちこち石灰だらけだし、なんつーか雰囲気怖えんだけど……なんでかな、妙な懐かしさというか、アットホームな感じがあるというか────。

 

 

「……あ、ここファビアヌムか!?!?」

 

 

 な ん と い う こ と で し ょ う 。

 匠(黒潮)の手により、ファビアヌムは石灰だらけ残像だらけの最低最悪の景観へと生まれ変わったのです。

 ふざけんなよマジで。

 

 

「うわあ~……マジか。かなりショックだわコレ……」

 

 

 チックショー俺の第二の故郷が……!

 この残像ども……なに呑気に俺にへーこらしんてんねんいてまうぞコラ。

 人の故郷で我が物顔して蔓延るってそれもうゴキブリだろゴキブリ。バルサン燻したら殺せないかなコイツら。

 コイツら無視するのもアリだったけど、もうそんなんじゃあ俺の怒りは収まらねぇ……。

 何か、何かコイツらを殲滅する手段は────。

 

 あ。

 

 

「────ワムウッ!」

 

「「「「!!!!」」」」

 

 

 お、反応した。

 言葉通じるよね?通じる前提で話すよ俺?

 

 

「信心深き者たちよ!! 我らが神は崩御あそばされた!! よってそなたらに残された道はひとつ────信ずる神の、地獄への旅路へと同行することである!!」

 

「「「「!!!!」」」」

 

「我らが神を孤独にするな!! そのためならば、もはや死の方法にこだわる必要はない!! グラディエーターどもの刃へと、抵抗することなくその身を晒すのだ!!!!」

 

「「「「神よ────!! 神よ────!!」」」」

 

「座して待つがいい!! 死するべき時は必ずや来るであろうぞ!! そなたらの死でもって、信仰の大輪をかの神へと献上するのだ────!!」

 

「「「「オオーーーーッッ!!!!」」」」

 

 

 ……。

 

 …………。

 

 えっ上手くいった?

 今俺が言ったことほとんどでまかせよ??コイツらの神が死んでるとかマジで知らんし。

 っか~……でまかせって当たるモンなんだなぁ~……。

 

 ほな、これでアイツら全員死ぬだろ!

 セブン・ヒルズのグラディエーターの皆さんには多大なるご迷惑をおかけするわけだけれども────ま、残像ども無抵抗だし。作業感覚で処理できるでしょ。

 それにアイツら助けに来るの遅かったしな〜。あの後来てたとしても、時すでにお寿司、俺死んじゃってんでしょーが!?

 オーガスタとエンジェルもあんな怪我しちまって────……。

 

 ……。

 

 

「……あの二人……無事だったかな……?」

 

 

 周囲を見ればわかる。

 俺がいまいるここは多分……未来だ。

 何年後なのかとか、正確な部分はチンプンカンプンだけれども────とりあえず、あの惨劇から長い時間が経ってるのは確かだろう。

 会いに行ってもいいけど……どこで何してるかなんてわからんし、そもそも俺のこと覚えてるか怪しいしな。

 過去の遺物が未来を汚しちゃ悪いし……まあ会いに行く必要はないだろ。

 

 ……んでもって何より疑問なのは、俺は何故生きているのか。

 俺結構しっかり死んだと思うんだけど。

 

 あーくっそあのケルピーめ。そのまま死んでりゃ良かったのによぉ~っ!頑張ってんじゃないよまったく……。

 んで頑張った結果?俺の心臓は握りつぶされて?俺は黒潮に呑まれた、と……。

 

 え?死んでね?

 死んでるっつーか、俺今残像になってなきゃおかしくねぇか?

 マジでなんで五体満足で────、

 

 

「あ、そっか自己暗示」

 

 

 そーいやあ俺死ぬ直前、自分に共鳴能力使ってたな……。

 「何者にも汚されない」とかいう厨二心モリモリな内容で。死ぬ直前だからってカッコつけたかったんスよ許してチョンマゲ。

 それに死んだ後の体を好き勝手使われるって気分良くないし。どうせ死ぬなら綺麗に死にたいじゃん?だから黒潮の汚染で魂というか精神というかが腐らないように、オーバークロック状態で強化されてた俺の共鳴能力でそのへん諸々防御してたんだが……。

 

 

「まさか生き返れるとこまでいくとはなぁ……ちょっとホッとしてる自分がいる」

 

 

 胸に手を置いて、ほっともっと。

 フー……スッとしたぜ。

 おれはトチ狂いそうになると、胸に手を置き心臓の鼓動を感じることで、頭を冷静にするようにしているのだ……。

 ほぅら、トクントクンと俺の命の鼓動が響き渡って────。

 

 ……。

 

 …………。

 

 

「────心臓、動いてなくね????」

 

 

 ……フゥゥ〜ム……。

 呼吸はしてて……脈はない、と。

 

 これアレかぁ……ケルピーに潰されたのはそのままだけど、黒潮で心臓が代用されてるパターン?

 あんな傷だらけだった俺の身体がめっちゃ綺麗になってるのも、黒潮で治ったからってわけですの????

 

 つまるところ、俺今────愉悦ダイスキ外道麻婆と同じ体になってるってわけですか????

 

 いやいやまさかそんな……あ゛俺の血真っ黒────。

 

 

 

 

「HEEEEYYYY────あァァァんまりだァァアァ!!!!」

 

 

 涙が!!涙が止まらねェ!!!!

 そんなに泣かなくてもって?ふざけんな!!!!

 いいか!?俺が黒潮で補完された心臓と血を持った人間────即ち『クロクロの黒潮人間』と化した以上、俺ちゃんはもう人間じゃねぇ!!

 人外だ人外!!!!人の領分を逸脱しちゃってんのよ!!!!

 そしたらただでさえ低かった俺のモテ率が、もはや絶望的なレベルにまで落ち込んじゃうってことなんよ!!!!

 

 

「AHYYY、AHYYY、AHY……WHOOOOOOOHHHHHHH!!!!」

 

 

 あ゛ーダメだ!!!!

 もう終わったわ俺!!!!

 せっかく生き返っても可愛くてボンキュッボンで美人でエロいお姉さんとイチャイチャできねぇなら意味がねぇ!!

 

 チクショウこうなったら黒潮ダイビングだァァァァ!!!!

 

 

「来世は彼女ができると信じて……崖端からのワンチャンダイブ!!」

 

 

 …………。

 

 ……あ全然平気だわ。

 うーわー俺マジで黒潮人間になっちゃったんだなぁ~。黒潮に全身浸かってんのに全然なんも無いもん。目ェ開けても平気だぜ?

 むしろちょっとひんやりしてて気持ちいいまであるぞコレ。

 

 

「なんか頭も冷えちまったしなぁ……てか一時のテンションで死ぬとか流石に無いわ。うん」

 

 

 とりま泳ぐか。海中遊泳ならぬ黒潮遊泳だけど。

 これでも俺前世は四泳法なら普通にできたからな、泳ぎは問題ないし。

 

 ちょっとリフレッシュして、そっから考えるか。ひとまず。

 

 

「ほなまずは────クロールで黒潮の湖泳ぎ切ってやろ」

 

 

 難しいことは後で考えればいっか。

 まずは体動かそう。それがいい。そうしよう。

 

 

 ……あやべクロールキツいわ平泳ぎにしよ……。

 




〇ヴィトン
◉基本データ
 ……塩顔の男。20歳独身。
◉共鳴能力
 ……手を叩き、その音を聞いた相手に幻を見せる。現れる幻覚に物理的干渉力は無く、また足を止めていないと発動できない。幻を見せるたびに体力を消費する。
 オーバークロック時には、単純な構造の幻覚のみ物理的干渉力を持って顕現させられる能力へと強化される────はずだったのだが。
◉現在の身体情報
 ……心臓欠損。しかし心臓の役割を黒潮が代行しているため、生命維持及び運動に問題はない。また血液の色もその影響で黒く染まっている。黒潮そのものへの完全耐性を持つ。
 16年間黒潮に浸かっていながら一切精神や心が浸食されていない&黒潮の親玉だったレビヤタンが完全封印されて黒潮との接続が切れた結果、ヴィトンの体内にある黒潮は完全に彼だけのものとなっている。
 ただし黒潮を扱えるわけではないし、体から黒潮を出すなんてこともできない。一応周囲に黒潮があれば、Fateルートの外道麻婆みたいに黒潮をひっかけることぐらいはできるかも。

 以下、簡単なヴィトン復活までの経緯

心臓潰されて黒潮の沼にドボン……直前に共鳴能力で自己暗示を掛ける

オーバークロック状態&ラストラリー的状態だったことも相まって、精神汚染に対する魂の完全防護に成功する。

それに伴い、肉体は浸食されても魂や精神は欠片も侵されず、拮抗状態となる。

ちょっと生き返って16年間仮死状態。その中で浸食された肉体の損壊は黒潮にて補完され、心臓は黒潮となり、彼と融合した黒潮はヴィトンの魂を染め上げられずに肉体を浸食した状態で停滞。いつしかヴィトンの肉体の黒潮は、レビヤタンの黒潮とは別物となり始めていた。

16年後、漂泊者たちの活躍でレビヤタン完全封印。それにより彼の肉体の黒潮とレビアタンとの最後の繋がりが絶たれ、肉体に宿る黒潮は完全にヴィトンのものとなった。
そうして目覚めた時、彼の心臓と流れる血は黒潮となり、クロクロの黒潮人間と化した!

そうはならんやろ?
なっとるやろがい!!



柱の男として「ワムウッ!」って言ってみたい方は評価、並びに感想・質問など盛大に歓迎致します。
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