村のチンチクリンがドメロイケ女になってて俺への距離が近い話する? 作:負け組カチ組
ただ、他作品キャラの力で無双……なんてつもりは毛頭ありませんのでご安心を。
干渉できないなりに幻影の威圧感とか存在感だけで上手いことやる、ぐらいの描写は考えてますけど。
「────てやあっ!!」
「ぎゃあ! ……うう、こうさんする」
「うおーっ!」
「さすがオーガスタだ~っ!」
「つよーい!!」
元気ハツラツなちびっ子どものグラディエーターごっこを背景にして────、
なんなら世界そのものを背景にして────、
よう
調子乗んなって?
いーや乗らせてもらうね! なにせ今日の俺は『お休み』なんだからなぁ!!
画面の前で悔し涙を流しているであろうブラック企業勤めども!
お仕事お疲れサマンサぁ!! 俺はその間ずぅっと家でゴロゴロしてたけどなぁ!!
ハッハァ!! ザマァねぇぜ!!!! ハッハッハァ!!
「────トン、ヴィトンってば」
「ハッハッハッハァ────っんだよ。俺今滅茶苦茶忙しかったの見えなかったか?」
「見えなかったよ? すごく暇そうにニヤニヤしてたのは見えたけど」
「バカ野郎お前それを忙しいって言うんだよそれを!!」
グラディエーターごっこが一段落してこっちに来たと思えばコイツ……事あるごとに俺のことを暇人とか言ってきやがる。
正直どーかと思うのよね。人のことを暇人とか断定しちゃう奴。
レディーとしてどうかと思いますわよ? わよ??
よっしゃ、ここいらで一発『わからせ』入れときますか。
やっぱ? ここで暮らしてく以上? 上下関係ってヤツはしっかりしとかないとダメだからね?
ここは一つ、心を鬼にして……、
行くぜ────、
タイショー、とりあえずわからせー!
「あのな────」
「そもそも、暇そうにしてたから今ここにいるんじゃないの?」
グワーッ!?!?
「家でやることなさそうだったから連れてきてあげたんじゃん」
アバーッ!?!?
「っていうか私知ってるよ。今日ヴィトン仕事お休みの日なんでしょ? じゃあ忙しいとかないよね!!」
サヨナラッ!!!!(爆発四散)
こ、コイツ……防ぎようのない暴言ラッシュで俺を打ちのめしやがって……!
普通に死ねるが? 死神と
てか死因が幼女からの罵倒とかこれ以上なく嫌なんだけど。
最悪過ぎんだろ。
そんな死に方すんのボスだけで十分だわ。
「ンンンンンそれ以前にィ! オーガスタァ!!」
「声大きすぎ。今友達寝てるんだから、静かにして」
「あ、すんません……」
くっそ……上手いコトはぐらかされた気しかしねぇ……。
でも変に騒いで起こして泣かしたら面倒だしなぁ……俺子供に泣かれると弱いんだよなぁ……。
しょうがない。
今日は大人しくしてやるか。
『寝る子は育つ』って言うしな。
「んじゃ俺も寝るから。いたずらとかすんじゃねぇぞ」
そしてそれは俺にも当てはまる!!
俺は育つ!! 将来娶ることになる美人でボンキュッボンなドエロお姉さんに見合う男になるために!!
寝るヴィトンは育つ! イケメンでハンサムな漢へとな!!!!
「それって、前言ってた”フリ”ってやつ?」
「フリじゃねぇよ!? ってヤベ声デカかったか。とにかくお休み!」
あーやだやだ。
なんで休日にまで草の上で寝るハメになんのかねぇ。
これじゃいつもと変わんねぇじゃねぇかちくしょZZZZZZZZZZ……。
「……ホントに寝た」
目の前で寝息を立てるヴィトンに、私は込み上げる溜息を抑えることができない。
彼はいつもそうだ。
仕事は必要最低限で、サボってばかり。
鍛冶屋のフェロさんにはいつも怒られていて、正直村の皆の中で、彼を嫌わずとも尊敬している人は皆無だと思う。
全然理由はわからないが、なんだかんだ好かれている人。
それがヴィトンという人だった。
「まったくもう……」
気づけば、彼の頭を撫でていた。
……これも、いたずらに入るのだろうか?
もしも入る判定になってしまうのなら、バレないようにこっそりと。
今まで遊んでいた子たちは既に別の遊びに移るため、別の場所に移動している。邪魔が入る危険はなかった。
寝ながら違和感を感じたのか、寝返りを打つヴィトン。
その姿にどことなく可愛らしさを感じて、思わず頬が緩む。
「ふふふ……」
今日はいつにも増して眠りが深そうだったので、もう一歩前に進んでみよう。
彼の頭をそっと持ち上げて、私の膝の上へ。
いわゆる『膝枕』の体勢に持って行って、彼の寝顔を独り占めする。それだけで言いようのない満足感と幸福感に包まれるのは、我ながら乙女過ぎるとさえ思う。
────ベタ惚れだなぁ、私……。
耳まで真っ赤になっているだろう今の自分に溜息を吐きながら、私は何故自分がここまで彼を想うことになったのか、それを思い出すことにした。
彼と初めて出会ったのは、エンジェルと出会ったのと同じ時だった。
フェロさんの鍛冶屋へ訪れていた当時のエンジェルと、便利屋の仕事で鍛冶屋の手伝いをしていたヴィトン。
最初にまずエンジェルと仲良くなって、その後で彼女と仲良くしていたヴィトンとも仲良くなったんだったっけ。
正直、最初の頃は噂通りの人だなぁ、と思ってた。もちろん悪い意味で。
仕事は出来得る限りサボろうとするし、それで怒られても絶対に懲りない。まるで「サボりは正当な権利」とでも言っているかのようだ。
その割りに、『諭しの女』のお姉ちゃんたちを口説く時には最大限カッコつける。でもそのせいで余計カッコ悪くなってるのは周知の事実だ。
この間なんて、カッコつけるために咥えていた花が毒のあるタイプで、次の日に唇が真っ赤に腫れて数倍の大きさになっていたっけ。
エンジェルと一緒になって、立ち上がれなくなるほど大笑いしたのを覚えている。
他にも、ある時誕生日プレゼントをくれたこともあったっけ。
オークの実で作ったどんぐりグラディエーターのために、わざわざ手作りで武器を作ってくれたのだ。
『良い戦士には、良い武器が必要だ……ってな』
その武器とともに、私だけの英雄王は様々な戦功を挙げたのだっけ。
そんな日々を経る内に、すっかり彼との関わりも長くなった。
カッコ悪いしだらしないけど、面白くて優しいお兄さん。
それがこの時までのヴィトンへの私の印象だった。
そんな印象が変わったのは、ある日の夜のこと。
その夜、私はオークのうつろの前で半泣きになって座り込んでいた。
原因は……私の共鳴能力だ。
私の共鳴能力は、お世辞にも強いとは言えない。
自身を中心として半径約10メートルの磁場を発生させ、操作する────これだけだ。
────剣捌きは悪くないが、残念ながら共鳴能力は並みだ。グラディエーターの良い苗とは言えんな。
いつだったか、父にさえそう言われてしまっていた。
それほど、凡庸な能力だったのだ。
だからその時までの私は、自分の弱い能力があまり好きではなかった。
その時も、私の共鳴能力の弱さを残念がる人たちの噂話を影で聞いてしまったから、半泣きになりながらオークのうつろまで逃げてきていたのだから。
『────おいおいなんだよ。ここってそういうスポットなのか?』
そんなところにやってきたのが、ヴィトンだった。
彼は、私が半泣きになっていると知るや否や、「どうした」とか「大丈夫か」なんてことも言わずに、ただ静かに、その時ちょうど手に持っていたちぎりパンを半分ちぎって渡してくれた。
『サボってていいの?』
『余計なお世話ってヤツだ。気にすんな』
サボるために来ていた彼と、その後たわいもない会話をして────そのうち、私はいつのまにか悩みを口にしていたんだ。
ぽつりぽつりと語っていく私の隣で、彼はずっと静かに話を聞いてくれて。
『……なあ、一つ疑問なんだがよ。強い共鳴能力持ってたからって、強いグラディエーターになれんのか?』
すべてを話し終えた後に投げかけられた純粋な問いに、私は思わず息を呑んでしまった。
「当たり前だ」と即答できるはずの問いかけは、自分の中にあった疑問にちょうど引っ掛かっていたんだ。
口をつぐむ私に、ヴィトンはニヤリと笑って、手を叩いてこう言った。
『おし。んじゃあいっちょ、俺が知ってる強い奴らを教えてやるよ』
────そうして、彼の共鳴能力を交えて語られた物語に、私はすぐに夢中になってしまった。
究極の努力によって辿り着いた体術の境地にて、神の領域に至った最強を追い詰めた者の話。
覚悟を胸に、肉体は死を迎えながらも吐き気を催す邪悪へと反逆した誇り高き者の話。
幾度も困難に阻まれ、義兄すら目の前で喪いながらも、己が夢に向かって突き進む者の話。
聞いたこともない物語。
きっと、ヴィトンに出所を聞いてもはぐらかされるだけだろうそれは、私に強烈な刺激を与えてくれた。
立ち塞がる、あまりに強大な敵。
聞いただけで絶望してしまいそうなほど強力な能力や、練り上げられた究極の戦闘能力。
そうした大きな『壁』に、彼らは決して屈することなく挑み、そして最後には乗り越えて見せた。
『すげーだろ。コイツら、
そして、目を輝かせる私に言った彼の言葉を聞いて、私はやっと彼がこの物語を見せた意図を理解した。
彼らは皆、強力な能力を持っていたわけではなかった。
むしろ、対峙する敵の方がそういった力を持ち合わせていることの方が多い。
それでも彼らは────弛まぬ努力と、何よりもその『心』でもって、勝利していたのだ。
『私も……こんな風に、英雄王になれるかな?』
思わず、そんな問いが口から出ていた。
あれはきっと、子供ながらに出た、久方ぶりの本音だったと思う。
『ぜってぇなれる。この俺が保障する』
そして────そんな風に即答してくれた彼は、あまりにも眩しかった。
その眩しさが真に乙女の感情であったと理解したのは、彼が私とエンジェルを、遠出の最中に遭遇したコロサウルスから命がけで守りながら戦い抜いてくれた後、優しく頭を撫でてくれた時だった。
「優しい人……」
今でも、思い出すたび顔が熱くなる。
そしてそれ以上に、そんなカッコいい人の普段のだらしなさへ、失望など欠片も無いままにむしろ庇護欲と独占欲を日に日に湧き上がらせてゆく私には、これ以上ない気恥ずかしさがあった。
膝の上で眠る愛しい人。
その顔を撫でながら、私は彼とともに過ごす日々を夢想した。
きっと彼はいつまでたってもサボり癖が抜けないだろうから、偉くなった私が養おう。
彼にはただただ、そばにいてくれればいいんだから。
「エンジェルには悪いけど……誰にも渡さないから」
推定恋のライバルであろう親友と脳裏で火花を散らしながら、今はただ、愛しい寝顔を見下ろすことに執心するのだった。
ヴィトン:こういうの見せるのって大丈夫なんかなぁ?ま、オーガスタって多分鳴潮世界的にはモブだろうし気にしないでいっか。
オーガスタちゃん:私が養う……♡
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