村のチンチクリンがドメロイケ女になってて俺への距離が近い話する? 作:負け組カチ組
文字数長くなり大変失礼致しました。
……なん、だと……。
ゴモラの幻影が……消えた?
……あ゛~そうだすっぽ抜けてた!!
ゴモラは幻影で、それを維持するのも当然俺!
そうなりゃあ俺の体力が減れば、維持も困難になっていく────!
マジかよ。
マジかマジかマジか!!??
こんなことってあるかよ────、
「────ッッ!!!!」
「ぐ、あああああああ!?!?」
「「ヴィトンーーっっ!?!?」」
ぐ、ぐぅぅ……チクショウ。
ダメだ……ゴモラが消えて、俺の方に完全に意識が向いた。
さっきとはレベルが違う暴れっぷりだ。傷を広げる隙も、余裕もない。ちょっとでも気を抜いたら振り落とされる……!!
いや、まだ最悪じゃない。
コイツはまだチンチクリンどもの方には意識を向けてない!
希望を捨てるな。前を向け!
このまま何が何でも、コイツを撃退まで持っていければ────!!
「────ッッ!!!!」
「やべ────ッッ!?!?」
「ひっ……」
「ヴィトンっ!?」
が────あ、ぐえ……。
や、やべえ……クッソ痛ぇ……。
笑えねぇレベルで痛い……。
これ多分、骨逝った……!
あばらと、背中のあたりのどっか……!
このヤロー……壁に突進するとか……ちったあ乗ってる人のことも考えろってんだ……!
潰れたトマトになってないのが不思議なくらいだぜ……!
────ヴィ────が────!
逃げ────もう────てよ────!
ああ……畜生、音がくぐもって聞こえやがる……。
体中ドロドロする……生ぬるい感じだ。こりゃ今俺血塗れだな……。
あー……。
俺なんでこんな必死になってんだったっけ……。
俺らしくもねぇよな……。
思い出せよ俺。
いつだって、俺は自分優先だっただろ?
おかげで前世では不慮の事故で死ぬまで、それなりの人生を過ごせてた。
ならなんで今世ではそうしてない??
幸せになりたくないのか????
────ヴィトン……また、ここで一緒にアイス食べてくれる?
「……」
────私がグラディエーターになったら、絶対試合に来てね!!
……あー。
そっか……そうだな、そうだったな……。
オメーらのせいか。
柄にもなく、泣いてる子供なんて助けたばっかりに。
そのせいで悪いことばーっかりだ。
休日返上させられるわ、グラディエーターごっこに付き合わされてめっためたにされるわ、こんな残像相手に戦わされるわ……。
思い返してみりゃ、とんでもなくなってんなぁ、俺の人生……。
でも────そうだな。
悪くねぇ────うん、悪くない。
アイツらと過ごす日々も、振り回される一日も────全部、かけがえのないモンになってたんだな。
「────ッッ!!!!」
「っ、ヅ、ゥ゛……」
いよいよ振り落とされて、地面に転がる。
頭がガンガンと痛む。こりゃ割れたか??
……だが、おかげで意識がハッキリとした。
これならまだ足掻ける。戦える!
「……うう、ぐすっ、ヴィトン……いやだよぉ」
「しんじゃ嫌だ……ヴィトン……!」
なんだ……?泣いてんのか……?
ハ、いっつも大人ぶってるクセに……やっぱまだまだガキんちょだな。
コイツらが笑って、この先の未来を過ごせるように────この困ったチンチクリンどもも……俺も!ここから生きて帰ってやるぜ……ッ!!
あん?策はあるのかって?
……。
ヘッヘッヘ……シンパイスルコトハナイ……!!
「────ッッ!!!!」
振り落としてくれたコイツに感謝だな。
頭打った衝撃で思い付いたぜ────大逆転狙いの大博打、そのための大喝采がよォ!!
「「ヴィトンーーッッ!!」」
『────────』
「────ッッ!!……!?」
「よぉ……どーしたよシメジ擬き。何をそんなにビビってんだ? にっくき虫けらはここにいるぜ?? ────それともなにか?
「────ッ……ッ!?」
おもろ。滅茶苦茶ビビってんじゃねぇか。
まあ当然か。コイツの出自を考えれば、この反応も不思議じゃない。
何せ、今俺の後ろにいる幻影は────、
『────────』
鳴式『
「あ、れは……」
「……っ!」
チンチクリンどもが息を呑む。
俺が出した幻影だってわかってるから、まだあの程度で済んでるみたいだが────流石は章ボス。立ち上ってるオーラが半端じゃねぇ……!!
俺の幻は、物理的接触が出来ず、シメジ擬きの突進レベルの攻撃を喰らえばどんな幻でも消えてしまうし、そもそも幻を見てる相手が平手打ち一発喰らえば簡単に解けちまう。
そもそも極論耳を塞いじまえば拍手の音を聞かず、幻覚に囚われることもないわけで。この通り対処も簡単、実にくだらねー能力だ。
────だが、言い換えれば
俺の見せる幻影は、その二点を除けば本物とまったく変わりない。
見た目は勿論、性格・匂い・クセ・醸し出す雰囲気や、持っている能力*1に至るまで。
俺が指示をしないでただ出現させるだけなら、完成度はもはや完璧だ。
……こういう特徴があったから、当時の俺はこの共鳴能力を鏡花水月だって早とちりしてたんだけどね……。
『────────』
「────ッッ……ッ!?」
んでもって、このシメジ擬きは黒潮の造物。
黒潮ってのは海蝕現象なんだろ?んじゃあ鳴式が関係してるのは間違いない。
なら同じ鳴式の造物────加えて、恐らくはシメジ擬きよりも格が高そうな無妄者なら、もしかすればシメジ擬きに与える影響力も高いんじゃないかって思っての博打だったが……どうやらビンゴだったみたいだな!!
『────────』
「────ッッ……!」
無妄者が少し近づいただけで、シメジ擬きは何歩も後ずさる。
うぇーい兄ちゃんビビってる~wwww
ギッタギタにされた恨みで思わず盛大に煽りたい衝動に駆られるが、激痛でそれどころじゃなかった。
ってか煽ってシメジ擬きがブチギレたら終わってたな。あぶね~……。
「────ッッ……」
シメジ擬きは弱弱しく吠え、最後に憎々しげにチラリとだけ俺を見た後、やっと尻尾を巻いて逃げ出した。
ズシン、ズシンというシメジ擬きの鈍重な足音が遠ざかっていき、やっと聞こえなくなったと同時に、俺は全身の力が抜けて、その場に崩れ落ちてしまった。
無妄者の幻影も、同じタイミングで霧のように消えていった。
「────どーよ……これが……ゼェ……『守るための力』ってヤツだぜ……コノヤロー」
「「ヴィトンっ……!!」」
隠れていたチンチクリンどもが駆け寄って来る。
おうおうおう……滅茶苦茶泣いてんじゃねぇか。
「何だよオメーら……顔くっしゃくしゃだぞ?」
「だって……だってぇ」
「ヴィトンが……ヴィトンが死んじゃうかもって……」
「ハンッ。可愛いお嫁さん娶るまで死ねるかってんだ!!」
「じ、じゃあヴィトンは不死身ってこと……?」
「オメー命の恩人になんつー暴言を……誰が一生彼女できねぇって!?」
……ったく……。
ま、そんなこと言えんならメンタル的には平気そうだな。
今だけだぜ?そんな暴言吐かれてむしろ安心できるなんてよ。
ま────何はともあれ。
「……へへ、怪我ないな?」
「「……っ!? ……う、うんっ……!」」
コイツらが────無事でなにより、だな……。
……んでまぁ、その後は特に語るようなこともない。
情けないことにチンチクリンどもの肩を借りながら帰還した俺は、村総出で迎えられて、何かと感謝された。
むずがゆくてしょうがなかったんで、さっさと病院に連れてって貰ったがよ。
……あ、そういやあのチンチクリンども!
せっかく助けてやったってのに、いざアイツらに『諭しの女』の激マブレディをナンパするんで武勇伝語れって言ったら、あろうことか拒否しやがったんだ!!
「事情が変わった」だのなんだの言って断固拒否しやがって……クッソぉアイツらめ……!!
…………そういやぁ、アイツら今日顔見てねぇな。
それこそ、今話した一件以来毎日俺の家に来てたってのに……何かあったのか?
『狩場』に行った人たちも、中々帰って来ねぇみたいだし……。
一体全体、何が起ころうってんだ……?
鳴潮世界はたぶん転生者に優しくない。
ヴィトンのように少女の初恋になりたい方は評価、並びに感想・質問など盛大に歓迎致します。
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