へいわなエルフのくに   作:常夏鳳梨

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副題:ちょっとした努力はやがて身を結ぶ

どうも、常夏鳳梨です。
というわけで、筆休め感覚で書いちゃったやつがこちらになります。
──どうしてこうなった????(筆休めとは?)

割と自己満な作品ですが、どうぞよろしくお願いします!!



エルフィンド昔話

昔々──白エルフ・闇エルフが暮らすエルフィンドと呼ばれる国を治めていた当時の女王は、ある日こんなことを思った。

何か、このままだと国がダメになりそうな気がする。

 

彼女には、その考えの確固たる保証や確信は無かった。

しかし──それでも何故だかよく分からないものの、何となくではあるが未来のエルフィンドのことを案じた女王は、早速国を治めるエルフとしての力をフル活用した。

 

インフラや法律の整備に教育面でのテコ入れ、軍人達の意見を取り入れながらの軍部の改編。

痩せた土地でも育てられる野菜の品種改良に、その野菜を使った調理方法や料理の研究。

更には、路面電車や鉄道などの交通面での工事等を女王を中心に進めていた。

 

もちろん、開かれた国作りのために諸外国との外交も積極的に行っており、そのこともあってから人間の国々からの評判も中々のもので、それに伴ってエルフィンド内外を問わず交流が盛んになっていった。

それに伴い、エルフィンドに新しい風が吹き始めたのは言うまでもない。

 

もちろん、この突然の改革に対して反対意見は少しながらもあったが、改革の芽が着実かつ明確に芽生え始めて以降、多くのエルフ達の意識は少しずつではあるが変化していった。

 

それはまるで、自らの意思でエルフという品種そのものを変えるように。

 

更に言えば、女王の何となく感じた危機感で始めたその行動は、やがてエルフィンドを真の意味での発展と繁栄に導いた。

それはまるで、美しい真っ赤なリンゴが実るように。

 

それから長い年数が経ち、その女王が突然倒れた末に寝たきりの生活が続いた頃、彼女は周囲のエルフ達にこう告げた。

 

我々エルフは、白銀樹から生まれた時点で白も闇も関係なくエルフである。

故に、誰であろうとも白エルフ・闇エルフ関係なく傷つけた者はエルフィンドの敵である──と。

 

そして、女王はその言葉を最後に眠るように息を引き取った。

 

女王の死と発言はすぐさまエルフィンド中を駆け巡り、多くのエルフ達は彼女の死を嘆き悲しむのと同時に、改めて彼女が偉大な女王であったと再認識していた。

それはキャメロットを含めた諸外国も同じだったようで、女王の葬式の際には多くの要人達が参加したため、側近達は主君がここまで愛されていたのかと涙を流していた。

 

葬式が終わった後、側近達は彼女が最後に取り組んでいた最後の仕事を──共和制に関する法律の制定を見届けた後、その意思を次世代のエルフ達に引き継がせる形で表舞台から去り、静かな余生を送ったとされている。

最も、当の本人達は各々やりたいことをやり尽くした上で亡くなったとのこと(側近の孫談)。

 

女王の最後の仕事こと、共和制の導入によってエルフィンドは諸外国とは一歩二歩進んだ国へと発展し、その後に選挙によって初代大統領として選ばれたエルフ──もとい、白エルフ初の大統領となったオリーヴェ・ダスホルツにより、エルフィンドは緩やかに発展していった。

それはオリーヴェが退任した後も変わることはなく、いつしかエルフィンドは星欧大陸有数の大国へと成長していた。

 

その結果、デュートネ戦争などの戦いを経た後の星欧では、この大陸を舞台にした戦いに参加したエルフィンドの発言力は高まっていた。

もう一つ付け加えるとすれば、エルフという長命種故の草の根運動も相まってか、闇エルフであるディネルース・アンダリエルが大統領の席に座る頃には、エルフィンドという国はもはや王国の域を越えるほどの国へと成長していた。

 

なお、エルフィンドは共和制の国として生まれ変わったものの、せめて象徴だけは残したいという女王の言葉が遺されたため、エルフィンドを治めていた女王の一族は象徴という形にて、今日もまた存続しているとか。

 

「大統領閣下、お時間が来たようです」

「あぁ、分かった」

 

星歴八七五年の冬──エルフィンド合衆国の大統領であるディネルースは、首都ティリアンにある大統領官邸ヴァイセスハウスに居た。

このヴァイセスハウスという建物は、主にディネルースのような歴代の大統領が執務に取り掛かる場所であり、たまに外国から要人を招いては大規模な晩餐会が行われたりと、エルフィンドの政治面・外交面における非常に重要な場所であった。

 

そして、この日のディネルースはヴァイセスハウスの一室にて、シルヴァン川を挟んだ向こう側に存在する国──オークと呼ばれる魔種族が多く暮らす国こと、オルクセン王国の現国王と会談をするため、自らの首元のネクタイやらスーツやらのシワを整えていた。

 

ディネルース自身が元々軍人であったのに加えて、指揮官としても非常に優秀な素質を持っていたがために、議員になるまでの戦果という名の実績は中々のモノであった。

しかし、それ故にディネルースは自分はこういうのに割は合わないと言ったが、結局仲間達に胸を押される形で試しに選挙に出たところ、あれよあれよと言う間に議員となり、最終的には大統領にまで上り詰めていたのである。

 

当の本人は、軍人としてやっていた時の経験が生かされているだけと言っているが、そのやり方は意外にも周囲の国々からは高く評価されていた。

それは、今回ディネルースが大統領として会談する相手であるオルクセン王国の国王であるオーク──グスタフ・ファルケンハインもまた評価していたようで

 

「初めまして──だったか?私はエルフィンド合衆国大統領、ディネルース・アンダリエルだ。今日はよろしく頼む」

「オルクセン王国の国王、グスタフ・ファルケンハインだ。同じく国を治める立場にある者として、とても有意義な時間になりそうだ」

 

そう言った後、手と手を握り合う形で握手を交わす二人。

当然ながら、その光景はすぐさま新聞の一面という形で星欧大陸中に広まり、多くの人々に衝撃を与えていた。

それもそのはずで、何しろイメージが全くもって正反対なエルフの国とオークの国のトップの会談なだけに、人間達は新聞越しに驚いていた。

 

当の本人達は、二つの魔種族の国のトップであるが故にアスカニアで時々勃発している小規模な社会運動──いわゆる魔種族排他運動についての懸念。

それから、アスカニアでの魔種族排他運動が過激な方面に向かった際、魔種族の国としてどう対応をするべきなのか?という話し合いを行ったらしく、その会談は予定時間よりも大幅に伸びてしまったのは言うまでもないことであった。

 

やがて、予定以上に熱い議論を行った会談を終えたディネルースとグスタフは、彼を見送る際にかつては同じ軍人だった者として敬礼のポーズを送っていた。

それを見たグスタフもまた敬礼のポーズを送り返すと、そのままエルフィンドを後にしていた。

 

後に、この会談は魔種族の国同士の外交という珍しい組み合わせだったからか、人々はその会談のことを記録した記者達のメモのことをアンダリエルレポートと呼ばれることになるのだが、それはまた別の話である。

 

「グスタフ・ファルケンハイン──中々に面白い男だったな」

 

会談後、自室にて白ワインを一杯飲みながらそう呟くディネルース。

 

本来の世界ならば、迫害の末にオルクセンへと逃げ延びたディネルースだったのだが、この世界の彼女はそういった民族浄化が起こらなかった。

ただ、こちらの世界でもディネルースは国のトップという形でグスタフと出会い、そして案の定ではあるが彼に興味を示したようで──その顔には、年下のオークの割には面白い男だったなと言わんばかりの顔になっていた。

 

そして、そのまま彼女はナッツに似た何か──と言うよりかは、偉大なる女王が飢饉対策を名目に植えたドングリを手に取ると、そのまま一口食べた後、その風味を閉じ込めるように白ワインを飲んだ。

正確に言えば、そのドングリはオルクセンで植えられているモノとはまた別種類のモノではあるが、基本的に食べられる種類な上に今となっては酒のつまみとして人気が高いため、こうしてディネルースがつまみとして堪能するのも無理はなかった。

 

白ワインと茹でたドングリを交互に飲み食いしつつ、彼女が目を通していたのは──シルヴァン川流域に存在する魔種族の国の一つであり、ドワーフの国として知られているドワルシュタイン関連の書類であった。

 

この世界では、ロザリンド会戦と呼ばれる戦いが勃発していなかった反面、新たな戦いの火種という弊害が──ドワルシュタインを舞台に、ドワーフとコボルトの対立という地雷が発生していたため、ディネルースはこの問題をどうすべきかを考えていた。

もちろん、その話題もグスタフとの会談の議題にも上がったのだが、彼自身もまた今もまた状況を見守るしかないと言っていたため、彼女もまたその意見に同意した上でドワルシュタインの動きを注視していた。

 

─戦争が終わったとしても、また長い年数が経てば戦争は起こるのだな。

 

ディネルース自身も戦争に参加した経験があるからか、あるいは魔種族という種族故の経験からか、ドワルシュタインのレポートをそう思ってしまったようで、エルフィンドを治める者としてどう対処していくのかを悶々と考え始めていた。

 

「──人間も魔種族も、変わらないところは変わらないものだな」

 

そう呟いた後、ディネルースは椅子に深く座ると──ドングリや白ワインを口に含みつつ、この時代の渦にどう対応するかを考え始めていた。

 

これは、とある世界のとあるエルフの何となくで行った行動によって、国民であるエルフ共々運命が変わってしまったエルフィンドの物語である。




【本作のエルフィンド】
☆原作よりかは良い人ばっかり
☆黒エルフと白エルフが仲が良い
☆ロザリンド会戦?ベレリアント戦争?何それ美味しいの?
☆エルフィンドもまた近代化に成功している
☆政治的には共和制の立憲君主制のミックス
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