キヴォトスにウォーハンマー40kの世界の武器がやってきた!   作:eriza7170

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キヴォトスにウォーハンマー40kの武器がやってきた!

第一話

その銃、弾が爆発するんですけど

 

キヴォトス。

 

そこでは、銃撃戦は珍しくない。

 

今日もどこかで学校同士が小競り合いをしている。

 

誰かが銃を撃ち。

 

誰かが爆発物を投げ。

 

誰かが戦車を持ち出し。

 

そして大抵の場合、翌日には何事もなかったかのように日常へ戻っていく。

 

そんなキヴォトスにおいて、銃というものは特別珍しいものではなかった。

 

むしろ、生徒のほとんどが何らかの銃器を持っている。

 

だからこそ。

 

シャーレの執務室に置かれた巨大な木箱を見て、先生は少し困っていた。

 

「……これ、何?」

 

机の横に置かれた木箱。

 

高さは先生の腰ほど。

 

幅は大人二人が並んで座れそうなくらいある。

 

そして何より。

 

木箱の側面には、見たこともない文字でこう書かれていた。

 

ARMAMENT OF THE IMPERIUM

 

「……インペリウム?」

 

先生が首を傾げる。

 

その隣で、アーカイブを確認していたセリナも眉を寄せた。

 

「シャーレ宛ての正式な荷物になっていますね」

 

「送り主は?」

 

「不明です」

 

「不明?」

 

「はい」

 

セリナは端末を操作する。

 

「送り主の欄そのものが存在しません」

 

「それは……荷物としてどうなんだろう」

 

「私もそう思います」

 

先生は木箱を見る。

 

何となく嫌な予感がした。

 

キヴォトスでは、怪しい箱を開けると大抵ろくなことが起こらない。

 

爆発。

 

罠。

 

大量の請求書。

 

あるいはネル先輩が仕込んだ何か。

 

しかし。

 

「……開けてみようか」

 

「先生、慎重にお願いします」

 

「うん」

 

工具を使って木箱を開ける。

 

ギィィ……。

 

蓋が開く。

 

中に入っていたのは――。

 

黒い金属製の巨大な銃だった。

 

「……銃?」

 

セリナが目を丸くする。

 

先生も覗き込む。

 

それはキヴォトスで一般的に使われている銃とは、明らかに違っていた。

 

太い。

 

長い。

 

そして異様に重そうだ。

 

銃身はまるで小型の大砲。

 

弾倉も巨大。

 

銃そのものに刻まれている装飾は、妙に荘厳だった。

 

「これ……誰の銃だろう」

 

「見たことがありません」

 

セリナが恐る恐る銃を持ち上げる。

 

「重い……」

 

「貸して」

 

先生が受け取る。

 

「……重い」

 

二人で顔を見合わせる。

 

そこへ。

 

「先生ー!」

 

勢いよく扉が開いた。

 

「お届け物があるって聞いたんだけど――」

 

入ってきたのはノノミだった。

 

そして。

 

彼女は箱の中身を見るなり、目を輝かせた。

 

「わぁ……!」

 

「ノノミ?」

 

「すごい銃ですね!」

 

「やっぱりそう思う?」

 

「はい!」

 

ノノミは嬉しそうに銃を眺める。

 

「ミレニアム製でしょうか?」

 

「いや、たぶん違うと思う」

 

「トリニティでもありませんね」

 

セリナが銃を調べる。

 

「ゲヘナ製でもないです」

 

「じゃあ、どこの?」

 

三人が黙り込む。

 

その時。

 

廊下から足音が聞こえた。

 

「先生、いる?」

 

ネルだった。

 

そしてその後ろにはアスナ、カリン、アカネまでいる。

 

「何か面白そうなものがあるって聞いたんだけど!」

 

ネルが部屋に入る。

 

そして銃を見る。

 

「……なんだこれ」

 

「銃です」

 

ノノミが即答する。

 

「見れば分かる」

 

ネルは銃を持ち上げる。

 

「重っ!」

 

「ですよね」

 

「誰がこんなの使うんだよ」

 

ネルが銃を眺める。

 

その時。

 

銃の側面に刻まれた文字が目に入った。

 

BOLT GUN

 

「……ボルトガン?」

 

「名前でしょうか?」

 

アカネが近づく。

 

「興味深いですね」

 

「でも、ボルトって何だ?」

 

ネルが先生を見る。

 

先生は説明書らしき紙を見つける。

 

そこには簡単な説明が書かれていた。

 

Boltgun

 

Mass-reactive projectile weapon

 

先生は翻訳する。

 

「……炸裂弾を撃つ銃?」

 

「炸裂弾?」

 

全員が黙った。

 

ネルがもう一度銃を見る。

 

「……これ?」

 

「たぶん」

 

「このサイズで?」

 

「たぶん」

 

「弾丸が?」

 

「たぶん」

 

ネルが笑う。

 

「へぇ」

 

そして。

 

「撃ってみようぜ!」

 

先生は即座に止めた。

 

「待って」

 

「なんでだよ」

 

「説明書に『取り扱いには十分注意してください』って書いてある」

 

「銃なんだから当たり前だろ」

 

「その下」

 

先生が指を差す。

 

小さな文字。

 

WARNING: AMMUNITION DETONATES AFTER IMPACT.

 

ネルが読む。

 

「……」

 

沈黙。

 

「……爆発するの?」

 

「どうも」

 

「弾が?」

 

「うん」

 

「当たったら?」

 

「爆発する」

 

ネルがゆっくり銃を机に戻す。

 

「……」

 

アスナが笑顔で言った。

 

「すごーい!」

 

「何が?」

 

「キヴォトスの銃って、普通は撃たれたら痛いだけじゃないですか」

 

「まあ……」

 

「これは撃たれたら爆発するんですね!」

 

「そうなるね」

 

アカネが真剣な顔で頷いた。

 

「合理的です」

 

「合理的なのか?」

 

カリンが銃を見つめる。

 

「でも……」

 

「どうした?」

 

「これ、弾が大きすぎませんか?」

 

「……」

 

全員が弾薬箱を見る。

 

中には巨大な円筒形の弾丸が整然と並んでいた。

 

普通の銃弾より遥かに大きい。

 

ノノミが一本持ち上げる。

 

「わぁ」

 

「ノノミ、それ触って大丈夫?」

 

「安全装置があるみたいですよ」

 

「そういう問題かな……」

 

すると。

 

廊下から新たな声。

 

「先生ー!」

 

今度はミレニアムの生徒だった。

 

「その箱、ミレニアムにも見せてください!」

 

扉から顔を出したのはウタハ。

 

その目は。

 

完全に技術者の目だった。

 

「……先生」

 

「何?」

 

「それ、どこから?」

 

「分からない」

 

「誰が作った?」

 

「分からない」

 

「材質は?」

 

「分からない」

 

「内部構造は?」

 

「分からない」

 

ウタハが笑った。

 

「最高だね」

 

「待って」

 

「少しだけ分解していい?」

 

「ダメ」

 

「なぜ?」

 

「危ないから」

 

「爆発するから?」

 

「そう」

 

「ならなおさら興味深い」

 

「ダメ」

 

その瞬間。

 

ウタハの背後からユウカが現れた。

 

「ウタハ!」

 

「……」

 

「また変なものを分解しようとしてるでしょ!」

 

「してない」

 

「その手に持ってる工具は何!?」

 

「……」

 

「先生!」

 

ユウカが先生を見る。

 

「それ、何なんですか?」

 

先生は答える。

 

「ボルトガン」

 

「ボルトガン?」

 

「うん」

 

「普通の銃?」

 

「いや」

 

先生は説明書を見る。

 

「巨大な炸裂弾を撃つ銃」

 

ユウカの顔が固まった。

 

「……」

 

「……」

 

「……それ、シャーレに必要ですか?」

 

「僕もそう思う」

 

「廃棄しましょう」

 

「でも……」

 

ノノミが悲しそうな顔をする。

 

「せっかく届いたのに」

 

「ノノミさん?」

 

「一度くらい撃ってみたいです」

 

「ダメ!」

 

ユウカが即答する。

 

しかし。

 

その横でネルがニヤリと笑った。

 

「一発くらいならいいだろ」

 

「ネル!」

 

「だって気になるじゃん」

 

「気になっても撃っちゃダメ!」

 

アスナも手を挙げる。

 

「私も気になります!」

 

「アスナまで!?」

 

カリンは少しだけ考える。

 

「……安全な場所なら?」

 

「カリン!」

 

アカネも頷く。

 

「実験は必要でしょう」

 

「アカネまで!?」

 

シャーレの部屋が一気に騒がしくなる。

 

先生は頭を抱えた。

 

その時。

 

箱の底から。

 

もう一つの紙が出てきた。

 

先生が拾う。

 

そこには、たった一行。

 

FOR HUMAN USE ONLY.

 

先生は固まった。

 

「……人間用?」

 

全員が先生を見る。

 

ネルが首を傾げる。

 

「どういう意味だ?」

 

「分からない」

 

先生はもう一度銃を見る。

 

この銃は。

 

一体どこから来たのか。

 

誰が作ったのか。

 

なぜキヴォトスに送られてきたのか。

 

そして。

 

なぜ「人間用」なのか。

 

その答えを知る者は、まだ誰もいなかった。

 

ただ一つだけ。

 

先生には分かっていた。

 

この日から。

 

キヴォトスの日常に。

 

少しだけ。

 

ウォーハンマー40,000の物騒さが混ざり始めた。

 

そして翌日。

 

シャーレには、さらに三つの箱が届いた。

 

中身は――。

 

ラスガン。

 

プラズマガン。

 

そして。

 

チェーンソード。

 

先生は静かに天井を見上げた。

 

「……誰か、送り返す方法を調べてくれないかな」

 

その横で。

 

ウタハが嬉しそうに呟いた。

 

「チェーンソード……」

 

「ウタハ」

 

「まだ何も言ってないよ」

 

「顔に出てる」

 

「……少しだけ、分解してみたい」

 

「ダメ」

 

「残念」

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