キヴォトスにウォーハンマー40kの世界の武器がやってきた!   作:eriza7170

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第十話 ボルトピストル争奪戦

 

 

朝。

 

シャーレ。

 

先生は。

 

机の前で固まっていた。

 

目の前に。

 

書類。

 

書類。

 

そして。

 

書類。

 

「……」

 

一番上。

 

ボルトピストル使用申請

 

二枚目。

 

ボルトピストル貸与申請

 

三枚目。

 

ボルトピストル訓練参加申請

 

四枚目。

 

ボルトピストルに関する研究許可申請

 

五枚目。

 

ボルトピストルを装備した場合の戦術運用案

 

先生は。

 

五枚目を閉じた。

 

「……どうしてこうなった」

 

ユウカが隣に立っている。

 

「昨日の夜からです」

 

「誰が最初に?」

 

「ネルさんです」

 

「次は?」

 

「ヒナさん」

 

「その次は?」

 

「カリンさん」

 

「……」

 

「イオリさん」

 

「……」

 

「シロコさん」

 

「……」

 

「そして」

 

ユウカが最後の書類を見る。

 

「ミカさん」

 

先生は。

 

机に突っ伏した。

 

「なんでミカまで……」

 

昼。

 

シャーレ訓練場。

 

先生は。

 

集まった生徒たちを見ていた。

 

ネル。

 

ヒナ。

 

カリン。

 

イオリ。

 

シロコ。

 

そして。

 

ミカ。

 

「……」

 

「先生」

 

ネルが言う。

 

「結局どうすんだ?」

 

「うん」

 

先生は腕を組む。

 

「一丁しかない」

 

「じゃあ」

 

ネルが言う。

 

「勝った奴が使えばいい」

 

ヒナが答える。

 

「それは公平ではないわ」

 

「じゃあどうする?」

 

「訓練で決める」

 

「模擬戦?」

 

「そう」

 

ネルが笑う。

 

「面白そうじゃん」

 

イオリも。

 

「私も参加する」

 

シロコ。

 

「私も」

 

ミカ。

 

「私もー!」

 

先生は。

 

ため息をついた。

 

「分かった」

 

「おっ」

 

「ただし」

 

先生は指を立てる。

 

「実弾は禁止」

 

全員。

 

「えー」

 

「当たり前」

 

「じゃあ何使う?」

 

「模擬弾」

 

ネルが不満そうにする。

 

「本物撃ちてぇ」

 

「ダメ」

 

「一発だけ」

 

「ダメ」

 

「……」

 

「ネル」

 

「分かったよ」

 

ルールは簡単。

 

シャーレの訓練場。

 

障害物。

 

遮蔽物。

 

模擬弾。

 

先に相手を倒した方が勝ち。

 

そして。

 

最後まで残った一人が。

 

ボルトピストルの優先使用権を得る。

 

「先生」

 

カリンが聞く。

 

「これ」

 

「何?」

 

「本当にボルトピストルが必要なんでしょうか?」

 

「……」

 

先生は考える。

 

「たぶん」

 

「たぶん?」

 

「みんな欲しがってるから」

 

カリンは苦笑した。

 

「なるほど」

 

開始。

 

ブザー。

 

ビーッ!

 

一斉に散る。

 

ネルは。

 

真正面から走った。

 

「おらぁ!」

 

「ネル!」

 

先生が叫ぶ。

 

「戦術は!?」

 

「知らねぇ!」

 

銃声。

 

模擬弾が飛ぶ。

 

ネルは。

 

壁の裏に滑り込む。

 

「……」

 

そして。

 

一瞬。

 

顔を出す。

 

「そこ!」

 

バン!

 

ミカが回避。

 

「危なっ!」

 

「逃がすか!」

 

ネルが追う。

 

ミカは。

 

笑いながら逃げる。

 

「ネルちゃん怖ーい!」

 

「待て!」

 

別の場所。

 

イオリ。

 

「……」

 

慎重に進む。

 

角。

 

確認。

 

誰もいない。

 

「よし」

 

その瞬間。

 

「イオリ」

 

後ろから。

 

シロコ。

 

「なっ!?」

 

バン!

 

模擬弾。

 

イオリは慌てて伏せる。

 

「いつの間に!?」

 

「……」

 

シロコは。

 

無言で走り去る。

 

「待て!」

 

イオリが追う。

 

一方。

 

ヒナ。

 

「……」

 

彼女は。

 

建物の二階から。

 

戦場全体を見ていた。

 

「……」

 

静か。

 

冷静。

 

誰がどこにいるか。

 

ほぼ把握している。

 

そして。

 

「……ネル」

 

ネルの位置を確認。

 

「……シロコ」

 

「……イオリ」

 

ヒナは。

 

ゆっくり銃を構える。

 

しかし。

 

撃たない。

 

なぜなら。

 

彼女の目的は。

 

優勝だけではない。

 

ボルトピストルが本当に自分に必要なのか。

 

それを。

 

自分自身に確かめることだった。

 

十分後。

 

残っているのは。

 

ネル。

 

ヒナ。

 

シロコ。

 

そして。

 

ミカ。

 

「……」

 

四人。

 

ネルは。

 

笑っている。

 

「いいね」

 

ミカは。

 

物陰から顔を出す。

 

「先生ー!」

 

「何?」

 

「これって優勝したら本当に使える?」

 

「訓練用としてね」

 

「やった!」

 

ヒナが言う。

 

「ミカ」

 

「なーに?」

 

「油断しない方がいい」

 

「分かってるよ」

 

ミカは笑う。

 

「でも」

 

「?」

 

「こういうの」

 

ミカが銃を構える。

 

「楽しいから」

 

戦闘再開。

 

ネルが突撃。

 

ミカが逃げる。

 

シロコが横から狙う。

 

ヒナは上から。

 

「……」

 

誰も撃たない。

 

全員。

 

相手の隙を待っている。

 

先生は。

 

遠くから見ていた。

 

「……」

 

「先生」

 

ユウカが隣に来る。

 

「どう?」

 

「みんな本気ですね」

 

「うん」

 

「ただの銃一丁なのに」

 

「……」

 

先生は。

 

ボルトピストルを見る。

 

「キヴォトスでは」

 

「はい」

 

「強い武器ほど」

 

「はい」

 

「欲しがられるからね」

 

ユウカが笑う。

 

「でも」

 

「うん?」

 

「本当に強い人は」

 

「……」

 

「武器そのものより、どう使うかを考えるんじゃないですか?」

 

先生は。

 

ヒナを見る。

 

ネルを見る。

 

シロコを見る。

 

「……」

 

「そうかもしれない」

 

その時。

 

ネルが動いた。

 

「今だ!」

 

真正面から。

 

ヒナへ突撃。

 

ヒナは。

 

一歩下がる。

 

そして。

 

撃つ。

 

バン!

 

ネルの肩。

 

命中。

 

「くっ!」

 

ネルが止まる。

 

その隙に。

 

シロコが横から。

 

バン!

 

ネル。

 

脱落。

 

「ちくしょう!」

 

ネルが笑う。

 

「やられた!」

 

先生が宣言。

 

「ネル、アウト」

 

ネルは。

 

地面に座る。

 

「……」

 

「どう?」

 

先生が聞く。

 

「悔しい」

 

「うん」

 

「でも」

 

ネルは笑った。

 

「面白かった」

 

残り三人。

 

ヒナ。

 

シロコ。

 

ミカ。

 

ミカが。

 

静かに動く。

 

いつもの明るさは。

 

少し消えている。

 

「……」

 

ヒナが見る。

 

「ミカ」

 

「……」

 

「そこにいるのは分かってる」

 

「……」

 

返事がない。

 

シロコが。

 

反対側から回り込む。

 

「……」

 

ミカは。

 

完全に気配を消している。

 

「……」

 

ヒナが。

 

少しだけ目を細める。

 

「……そういうこと」

 

彼女は。

 

わざと別方向を見る。

 

そして。

 

一歩。

 

前へ。

 

その瞬間。

 

ミカが飛び出した。

 

「今!」

 

バン!

 

しかし。

 

ヒナは。

 

すでにそこにいなかった。

 

「えっ?」

 

「……」

 

ヒナは。

 

ミカの背後。

 

バン!

 

命中。

 

ミカ。

 

アウト。

 

「えー!」

 

ミカは叫ぶ。

 

「今のずるい!」

 

「何が?」

 

「読まれてた!」

 

「戦術だから」

 

「むー!」

 

最後。

 

ヒナ。

 

シロコ。

 

二人だけ。

 

先生は。

 

息を呑む。

 

「……」

 

シロコが動く。

 

静かに。

 

低く。

 

遮蔽物から遮蔽物へ。

 

ヒナも動く。

 

二人とも。

 

無駄がない。

 

数十秒。

 

何も起きない。

 

そして。

 

シロコが。

 

一瞬だけ。

 

姿を見せた。

 

ヒナが撃つ。

 

バン!

 

シロコが。

 

横に転がる。

 

「……」

 

「……」

 

しかし。

 

シロコは。

 

倒れていなかった。

 

「……」

 

ヒナは。

 

気づく。

 

「囮……」

 

その瞬間。

 

シロコが。

 

別方向から現れる。

 

バン!

 

ヒナ。

 

命中。

 

「……」

 

先生。

 

「ヒナ、アウト」

 

シロコは。

 

静かに銃を下ろした。

 

「勝った」

 

ネルが叫ぶ。

 

「シロコ!」

 

「ん?」

 

「お前が優勝か!」

 

「うん」

 

ネルは笑う。

 

「やるじゃん」

 

「ありがとう」

 

ヒナも。

 

シロコに近づく。

 

「おめでとう」

 

「ありがとう」

 

「……」

 

ヒナは。

 

ボルトピストルを見る。

 

そして。

 

「それ」

 

「うん?」

 

「使ってみて」

 

シロコが驚く。

 

「いいの?」

 

「あなたの方が」

 

ヒナは微笑む。

 

「必要そうだから」

 

シロコは。

 

少しだけ考える。

 

そして。

 

首を横に振った。

 

「……」

 

「どうしたの?」

 

「私は」

 

シロコは。

 

ボルトピストルを見て。

 

「これじゃなくてもいい」

 

先生が驚く。

 

「シロコ?」

 

「うん」

 

「欲しかったんじゃないの?」

 

「欲しかった」

 

「じゃあ」

 

「でも」

 

シロコは笑った。

 

「勝てたから」

 

「……」

 

「それで十分」

 

ネルが。

 

「……」

 

少し黙る。

 

そして。

 

「……なんか格好いいこと言ってんじゃねぇよ」

 

「?」

 

「余計欲しくなるだろ」

 

結局。

 

ボルトピストルは。

 

正式には。

 

誰の専用品にもならなかった。

 

シャーレの武器庫に保管され。

 

必要な訓練の時だけ。

 

貸し出されることになった。

 

ただし。

 

ユウカによって。

 

厳重な管理台帳が作られた。

 

【ボルトピストル貸出規則】

 

・使用許可必須

・実弾使用は許可制

・弾薬はユウカ管理

・私物化禁止

・無断持ち出し禁止

・銀行強盗への使用禁止

・パン焼き禁止

・「ちょっとだけ撃つ」は禁止

 

最後の項目について。

 

先生は。

 

「これ必要?」

 

と聞いた。

 

ユウカは。

 

「必要です」

 

即答した。

 

数日後。

 

先生は。

 

武器庫の整理をしていた。

 

ボルトピストルを戻す。

 

その横には。

 

アスタルテス用ボルトガン。

 

さらに。

 

まだ箱に入ったままの武器。

 

先生は。

 

一つの箱を見つける。

 

そこには。

 

POWER ARMOUR

 

と書かれていた。

 

「……」

 

先生は。

 

ゆっくり。

 

箱を開ける。

 

中にあったのは。

 

巨大な装甲服。

 

黒い金属。

 

巨大な肩。

 

背中には。

 

大型の動力装置。

 

そして。

 

胸部。

 

AQUILA

 

先生は。

 

しばらく。

 

言葉を失った。

 

「……」

 

今までの武器とは。

 

意味が違う。

 

これは。

 

武器ではない。

 

アスタルテスそのものを、戦場へ送り出すための装備。

 

先生は。

 

そっと箱を閉じた。

 

「……」

 

その背後。

 

「先生?」

 

声。

 

振り返る。

 

ヒナ。

 

「何を見てるの?」

 

「……」

 

先生は。

 

少し迷った。

 

そして。

 

「新しい装備」

 

「どんな?」

 

「パワーアーマー」

 

ヒナの目が。

 

わずかに見開かれる。

 

「……」

 

「どうしたの?」

 

「……」

 

ヒナは。

 

箱を見る。

 

「それ」

 

「うん」

 

「生徒が着られる?」

 

先生は。

 

答えなかった。

 

ヒナは。

 

少しだけ笑う。

 

「……」

 

「先生」

 

「何?」

 

「一度だけ」

 

「うん」

 

「試着してもいい?」

 

先生は。

 

深いため息をついた。

 

「……ユウカに相談してからね」

 

ヒナは。

 

素直に頷く。

 

「分かった」

 

しかし。

 

武器庫の外。

 

廊下の向こうでは。

 

すでに。

 

ネル。

 

イオリ。

 

シロコ。

 

カリン。

 

そして。

 

ミカまで。

 

箱を見ていた。

 

「……」

 

ネルが。

 

小声で言う。

 

「パワーアーマー?」

 

イオリ。

 

「アーマー?」

 

シロコ。

 

「着られる?」

 

ミカ。

 

「変身できるの!?」

 

先生は。

 

まだ知らなかった。

 

翌日。

 

シャーレ武器庫に。

 

新たな申請書が。

 

十七枚。

 

届くことを。

 

――第十話・終。

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