キヴォトスにウォーハンマー40kの世界の武器がやってきた!   作:eriza7170

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第十三話 それは拳ではなく、工事道具でもありません

 

 

翌朝。

 

シャーレ武器庫。

 

先生は。

 

一人で立っていた。

 

目の前には。

 

昨日から封印していた箱。

 

CHAINFIST

 

「……」

 

先生は。

 

まだ開けたくなかった。

 

しかし。

 

開けないわけにもいかない。

 

「……よし」

 

覚悟を決める。

 

箱を開ける。

 

そこにあったのは。

 

巨大な腕部装甲。

 

パワーフィストに似ている。

 

しかし。

 

拳の先には。

 

それ以上のものが付いている。

 

巨大な。

 

チェーンブレード。

 

何枚もの刃が。

 

回転機構によって動く。

 

「……」

 

先生は。

 

説明書を読む。

 

CHAINFIST

 

Powered close-combat weapon incorporating a chainblade.

 

先生は。

 

静かに箱を閉じた。

 

「……」

 

「これは」

 

「絶対に」

 

「日用品じゃない」

 

「先生」

 

背後。

 

声。

 

「……」

 

振り返る。

 

ネル。

 

ヒナ。

 

カリン。

 

アカネ。

 

シロコ。

 

ミカ。

 

そして。

 

ウタハ。

 

「……」

 

全員。

 

箱を見ている。

 

先生は。

 

嫌な予感しかしなかった。

 

「まだ何も言ってないよ?」

 

ネルが。

 

「チェーンフィストだろ?」

 

「……」

 

「昨日見つけた」

 

「……」

 

「すげぇな」

 

先生は。

 

ため息。

 

「とりあえず説明する」

 

全員。

 

聞く。

 

「これは」

 

先生は。

 

チェーンフィストを指す。

 

「パワーフィストに」

 

「うん」

 

「チェーンブレードを組み合わせたもの」

 

ネル。

 

「つまり?」

 

「もっと危険」

 

ネル。

 

「最高じゃん」

 

「……」

 

先生は。

 

頭を抱えた。

 

ウタハが。

 

近づく。

 

「構造を見てもいい?」

 

「動かさないなら」

 

「もちろん」

 

ウタハが。

 

装備を観察する。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

そして。

 

「なるほど」

 

「何?」

 

「パワーフィストの動力を」

 

「うん」

 

「チェーンブレードの回転機構にも使っている」

 

「そうみたい」

 

「つまり」

 

ウタハが。

 

真剣な顔になる。

 

「非常に合理的」

 

先生は。

 

嫌な予感。

 

「ウタハ」

 

「はい?」

 

「欲しい?」

 

「研究したい」

 

「ダメ」

 

「なぜ?」

 

「絶対に分解するから」

 

「……」

 

ウタハは。

 

少し考える。

 

「否定できないね」

 

試験場。

 

チェーンフィストは。

 

専用の固定アームに取り付けられた。

 

先生は。

 

全員に注意する。

 

「今回は」

 

「うん」

 

「絶対に素手で触らない」

 

「分かった」

 

「動作中は近づかない」

 

「分かった」

 

「絶対に」

 

先生は。

 

ネルを見る。

 

「勝手に起動しない」

 

ネル。

 

「……」

 

「ネル?」

 

「分かったよ」

 

「本当に?」

 

「本当に」

 

起動。

 

ヴゥゥゥン……

 

パワーフィストの動力が。

 

ゆっくり立ち上がる。

 

そして。

 

チェーンブレード。

 

ギュルルルル……

 

回転開始。

 

「……」

 

全員。

 

黙る。

 

音だけが。

 

訓練場に響く。

 

ギュルルルルルル……

 

ネルが。

 

「……」

 

「先生」

 

「何?」

 

「これ」

 

「うん」

 

「絶対に」

 

ネルが笑う。

 

「強いだろ」

 

「うん」

 

試験対象。

 

巨大な鋼鉄板。

 

先生が言う。

 

「一度だけ」

 

ウタハ。

 

「了解」

 

チェーンフィストを。

 

試験装置が振り下ろす。

 

――ギャリギャリギャリギャリ!!

 

金属を削る。

 

鋼鉄板が。

 

一瞬で。

 

切り裂かれる。

 

さらに。

 

拳が。

 

そのまま。

 

叩き込まれる。

 

――ドゴォン!!

 

鋼鉄板が。

 

大きく変形する。

 

「……」

 

沈黙。

 

ネル。

 

「……」

 

イオリ。

 

「……」

 

シロコ。

 

「……」

 

ミカ。

 

「……」

 

ヒナ。

 

「……」

 

そして。

 

カリンが。

 

ぽつり。

 

「……すごいですね」

 

先生も。

 

「……」

 

言葉が出なかった。

 

ネルが。

 

ゆっくり。

 

手を挙げる。

 

「先生」

 

「何?」

 

「私」

 

「うん」

 

「これ」

 

「うん」

 

「装備したい」

 

「ダメ」

 

「まだ最後まで言ってない!」

 

「どうせ同じだから」

 

「……」

 

ネルは。

 

少し考える。

 

「じゃあ」

 

「うん」

 

「パワーアーマーとセット」

 

「もっとダメ」

 

「なんで!?」

 

「危険だから!」

 

「でも」

 

ネルが。

 

チェーンフィストを見る。

 

「絶対かっこいいぞ」

 

「それは認める」

 

「じゃあいいだろ!」

 

「よくない」

 

しかし。

 

問題は。

 

ネルだけではなかった。

 

ヒナ。

 

「先生」

 

「何?」

 

「私も」

 

「……」

 

「少し興味があります」

 

「……」

 

「戦闘時の近接火力として」

 

「……」

 

「有効だと思います」

 

先生は。

 

ネルを見る。

 

次に。

 

ヒナを見る。

 

「……」

 

「ヒナまで?」

 

「必要性を考えています」

 

「そういうところが怖いんだよ」

 

イオリも。

 

「これ」

 

「うん」

 

「近距離戦なら」

 

「うん」

 

「強いよな」

 

「強い」

 

「じゃあ」

 

「ダメ」

 

「まだ何も言ってない!」

 

ミカ。

 

「先生!」

 

「……」

 

「これ!」

 

「うん」

 

「かっこいい!」

 

「……」

 

「持ってみたい!」

 

「ダメ」

 

「どうして!?」

 

「危険だから!」

 

「じゃあ動かさない!」

 

「それなら……」

 

先生は。

 

少し考える。

 

「装着だけなら」

 

「本当!?」

 

「ただし」

 

「うん!」

 

「絶対に動かさない」

 

「はーい!」

 

数分後。

 

ミカ。

 

チェーンフィスト装着。

 

巨大な腕。

 

チェーンブレード。

 

しかし。

 

電源は切ってある。

 

「……」

 

ミカは。

 

腕を見る。

 

「……」

 

そして。

 

「先生」

 

「何?」

 

「これ」

 

「うん」

 

「重い」

 

「そうだね」

 

「でも」

 

ミカは。

 

笑う。

 

「かっこいい」

 

先生も。

 

「まあね」

 

ミカは。

 

ゆっくり。

 

腕を上げる。

 

「……」

 

「先生」

 

「何?」

 

「これで」

 

「うん」

 

「抱きしめたら」

 

「ダメ」

 

「まだ何も言ってないよ?」

 

「分かるよ」

 

その後。

 

チェーンフィストは。

 

正式に。

 

「特殊装備」

 

として登録された。

 

使用条件。

 

厳格。

 

使用者。

 

限定。

 

保管。

 

厳重。

 

そして。

 

ユウカによって。

 

新しい規則が作られた。

 

【チェーンフィスト使用規則】

 

一、電源を入れる前に周囲を確認する。

 

二、使用中は絶対に人へ向けない。

 

三、整備は専門担当者のみ。

 

四、パワーフィストの代用品として使用しない。

 

五、チェーンソードの代用品として使用しない。

 

六、工具として使用しない。

 

七、薪割りに使用しない。

 

八、ドアの解錠に使用しない。

 

九、料理に使用しない。

 

十、「ちょっとだけ回してみる」を禁止する。

 

先生は。

 

十番を見て。

 

「……」

 

「これは必要?」

 

ユウカ。

 

「必要です」

 

「誰のため?」

 

ユウカは。

 

ネルを見る。

 

ミカを見る。

 

イオリを見る。

 

シロコを見る。

 

そして。

 

「全員です」

 

「……」

 

先生は。

 

納得した。

 

ところが。

 

その日の午後。

 

シャーレに。

 

一件の連絡が届いた。

 

ミレニアムサイエンススクールより。

 

内容。

 

「チェーンフィストの回転機構について研究したい」

 

先生は。

 

即座に却下した。

 

すると。

 

数分後。

 

再申請。

 

「分解しません」

 

先生は。

 

少し考え。

 

却下。

 

また再申請。

 

「観察だけします」

 

却下。

 

再申請。

 

「写真だけ撮ります」

 

却下。

 

再申請。

 

「3Dスキャンだけ」

 

先生は。

 

机に突っ伏した。

 

「……」

 

ウタハから。

 

メッセージ。

 

『先生、研究は楽しいよ』

 

先生は。

 

返信。

 

『知ってるよ』

 

夕方。

 

先生が。

 

武器庫へ戻る。

 

チェーンフィストを。

 

確認する。

 

「……」

 

ちゃんと。

 

封印されている。

 

「よし」

 

その時。

 

背後。

 

「先生」

 

「……」

 

ヒナ。

 

「何?」

 

「チェーンフィストですが」

 

「うん」

 

「一つ」

 

「何?」

 

「気になることがあります」

 

「……」

 

先生は。

 

嫌な予感。

 

「何?」

 

ヒナが。

 

装備の横を指す。

 

そこには。

 

小さな箱。

 

今まで。

 

見落としていた。

 

「これは?」

 

先生が。

 

近づく。

 

箱には。

 

文字。

 

THUNDER HAMMER

 

「……」

 

先生は。

 

黙った。

 

ヒナも。

 

黙った。

 

数秒後。

 

ヒナが。

 

静かに聞く。

 

「……」

 

「先生」

 

「うん」

 

「これは」

 

「……」

 

「拳ですか?」

 

先生は。

 

首を横に振った。

 

「ハンマー」

 

「……」

 

ヒナの目が。

 

少しだけ輝く。

 

「なるほど」

 

先生は。

 

嫌な予感しかしなかった。

 

「ヒナ」

 

「はい」

 

「先に言っておく」

 

「何でしょう?」

 

「これは」

 

先生は。

 

箱を見る。

 

「たぶん」

 

「チェーンフィストより」

 

「もっと面倒な武器だよ」

 

ヒナは。

 

少しだけ笑った。

 

「……楽しみですね」

 

先生は。

 

思った。

 

次は雷を撃つハンマーか。

 

キヴォトスの日常は。

 

今日も。

 

少しずつ。

 

40kになっていた。

 

――第十三話・終。

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