キヴォトスにウォーハンマー40kの世界の武器がやってきた! 作:eriza7170
格納庫の奥。
巨大な扉。
先生たちは。
その前に立っていた。
「……」
ネル。
「開けようぜ」
先生。
「……」
「待って」
ネル。
「何?」
先生。
「この先に何があるか」
「うん」
「分からない」
「だから?」
「だから慎重に」
ネル。
「了解」
ミカ。
「慎重に開けよう!」
先生。
「ミカの場合」
「うん?」
「慎重って言葉の意味が少し違うんだよ」
「そう?」
「そう」
ウタハが。
扉の制御盤を見る。
「電源」
「生きています」
先生。
「……」
「本当に?」
「はい」
「何年前の設備なの?」
「分かりません」
「……」
「怖いな」
ヒマリ。
「興味深いですよ」
先生。
「ヒマリは何でも興味深いって言うね」
「未知ですから」
「だから怖いんだよ」
制御盤。
スイッチ。
カチッ。
しばらく。
何も起きない。
ネル。
「……」
「壊れてる?」
ウタハ。
「待って」
ゴゴゴゴゴゴ……
低い音。
格納庫全体が。
震える。
ミカ。
「……」
「動いた!」
巨大な扉が。
ゆっくり。
上へ。
ガガガガガ……
天井へ。
収納される。
そして。
その先。
「……」
全員。
黙る。
そこには。
長い。
地下トンネルが。
続いていた。
幅。
巨大。
高さ。
大型車両が。
余裕で通れる。
壁には。
古い照明。
一つ。
また一つ。
順番に。
点灯していく。
パッ。
パッ。
パッ。
奥へ。
奥へ。
ずっと。
続いている。
先生。
「……」
「これ」
ウタハ。
「車両用地下道路ですね」
先生。
「……」
「つまり」
ヒナ。
「地上へ繋がっている可能性があります」
先生。
「……」
「可能性じゃなくて」
ネル。
「出口だろ」
先生。
「……」
「そうだね」
シロコ。
トンネルを見る。
「……」
「かなり長い」
先生。
「うん」
シロコ。
「戦車で走りたい」
先生。
「……」
「やめよう」
シロコ。
「どうして?」
「まだ安全確認してない」
「……」
「分かった」
ウタハ。
小型ドローンを飛ばす。
「先行させます」
ドローン。
ブーン……
トンネルへ。
カメラ映像。
モニターに映る。
直線。
分岐。
さらに。
大型扉。
そして。
巨大な空間。
先生。
「……」
「広いな」
ウタハ。
「かなり大きいです」
ヒマリ。
「地上側の車両基地でしょう」
先生。
「……」
「車両基地?」
「はい」
「……」
先生。
「戦車を出すための基地?」
ウタハ。
「おそらく」
先生。
「……」
「じゃあ」
ユウカ。
「はい?」
先生。
「地下格納庫から」
「うん」
「戦車を出して」
「はい」
「地上の基地に移動できる」
「そうなります」
先生。
「……」
「つまり」
ネル。
「戦車で出かけられる」
先生。
「そういうことじゃない」
しかし。
ミカが。
「先生!」
「何?」
「これ!」
指差す。
壁。
大きな表示。
AUTHORIZED MILITARY VEHICLES
その下。
車両名が。
並んでいる。
LEMAN RUSS
CHIMERA
BASILISK
BANEBLADE
さらに。
その下。
見たことのない名前。
先生。
「……」
「まだある」
ネル。
「何?」
先生。
「……」
「分からない」
ヒマリ。
画面を拡大する。
「……」
「これは」
「うん?」
「車両一覧ですね」
先生。
「分かる?」
「一部だけですが」
ヒマリ。
「非常に大型の車両が含まれています」
先生。
「……」
「例えば?」
ヒマリ。
「……」
少し。
黙る。
「……」
「何?」
「後で確認しましょう」
先生。
「その言い方」
「はい」
「絶対ろくでもないものがあるよね?」
ヒマリ。
「否定はできません」
トンネル。
調査開始。
全員。
徒歩。
ネル。
「……」
「長ぇ」
ミカ。
「まだ着かないね」
ヒナ。
「かなり深い場所にあります」
カリン。
「ここまで地下に施設があるとは……」
アカネ。
「掃除が大変そうですね」
先生。
「そこ?」
「はい」
途中。
小さな部屋。
扉。
先生。
「……」
「何だろう」
開ける。
中。
ロッカー。
机。
古い装備棚。
そして。
壁に。
巨大な紋章。
二つ頭の鷲。
先生。
「……」
「帝国のマークだ」
ヒナ。
「帝国?」
「ウォーハンマー40kの」
ネル。
「……」
「つまり」
「うん」
「ここ」
「うん」
「本当に帝国軍の基地だったんだな」
先生。
「……」
「そうみたい」
さらに。
部屋の奥。
壁一面。
古い掲示板。
そこには。
兵士たちの写真。
整列。
装甲車。
戦車。
巨大な兵器。
そして。
一枚。
巨大な人型の兵士。
ネル。
「……」
「これ」
先生。
「スペースマリーン」
ヒナ。
「……」
「大きい」
先生。
「かなりね」
ミカ。
「ターミネーター・アーマーより?」
先生。
「違う」
「……」
「もっと大きい」
ネル。
「……」
「じゃあ」
先生。
「うん?」
「これ」
ネル。
「普通の人間?」
先生。
「……」
「そういう設定」
ネル。
「……」
「40k怖ぇな」
先生。
「三回目だね」
さらに奥。
地上への出口。
巨大なハッチ。
先生。
「……」
「ここか」
ウタハ。
「開けられます」
先生。
「……」
「開けてみよう」
ヒナ。
「安全確認は?」
先生。
「もちろん」
ドローン。
先行。
地上。
異常なし。
先生。
「……」
「じゃあ」
ウタハ。
スイッチ。
ゴゴゴゴゴ……
巨大なハッチ。
開く。
光。
地下へ。
一気に。
差し込む。
「……」
全員。
目を細める。
そして。
外。
そこにあったのは。
巨大な。
舗装された道路。
広大な。
地下基地用の。
地上施設。
周囲。
山。
森。
遠く。
キヴォトスの街並み。
先生。
「……」
「ここ」
ヒナ。
「シャーレの近くです」
先生。
「……」
「そんな場所に」
ウタハ。
「軍事基地が」
先生。
「……」
「ずっと眠ってた」
地上。
車両用ハンガー。
巨大なシャッター。
燃料設備。
整備施設。
弾薬庫。
管制塔。
通信アンテナ。
そして。
広大な演習場。
先生。
「……」
「これ」
ユウカ。
「……」
「先生」
「うん」
「これ」
「うん」
「シャーレの予算で維持するんですか?」
先生。
「……」
「考えたくない」
ユウカ。
「ですよね」
ネル。
「先生」
「何?」
「レマン・ラス」
「うん」
「外に出してみようぜ」
先生。
「……」
「試運転?」
「そう」
「……」
先生は。
地上の広い道路を見る。
そして。
レマン・ラスを見る。
「……」
「一台だけ」
ネル。
「やった!」
先生。
「ただし」
「うん」
「武装禁止」
「分かってる」
「低速」
「分かってる」
「勝手に速度を上げない」
「……」
ネル。
「分かってるって」
先生。
「その間は何?」
レマン・ラス。
エンジン始動。
ゴォォォォォ……
地下基地から。
ゆっくり。
地上へ。
ゴゴゴゴゴ……
巨大な履帯。
地面を踏む。
キヴォトスの太陽。
装甲に。
光が反射する。
先生。
「……」
「外に出た」
ヒナ。
「はい」
ネル。
「……」
「すげぇ」
ミカ。
「……」
「かっこいい!」
シロコ。
「……」
「乗りたい」
先生。
「さっき乗ったでしょ」
「外で」
「ダメ」
演習場。
レマン・ラス。
ゆっくり。
走る。
ゴゴゴゴゴ……
旋回。
停止。
バック。
方向転換。
そして。
停止。
ネル。
「……」
「完璧」
先生。
「うん」
「これなら」
ネル。
「うん?」
「街まで行ける」
先生。
「行かない」
「……」
「どうして?」
「戦車で街に行ったら」
先生。
「……」
「大騒ぎになるから」
その時。
遠く。
空。
何かが。
飛んでいる。
「……」
先生。
「?」
シロコ。
「飛行機?」
ヒナ。
「……」
「違います」
ウタハ。
「大型機です」
先生。
「……」
空を。
横切る。
巨大な影。
翼。
エンジン。
そして。
機体下面。
複数の武装。
先生。
「……」
「まさか」
ヒマリ。
「……」
「どうやら」
先生。
「何?」
ヒマリ。
「この基地」
「……」
「地上車両だけではないようですね」
先生。
「…………」
ネル。
「飛行機もあるの?」
先生。
「……」
「見なかったことにしたい」
ミカ。
「私は見たい!」
先生。
「だよね……」
基地管制塔。
突然。
電源が入る。
ピッ。
古いモニター。
一つ。
また一つ。
点灯。
そして。
基地全体に。
機械音声。
《BASE SYSTEM ONLINE》
《VEHICLE DEPOT: OPERATIONAL》
《ARMORY: OPERATIONAL》
《AIR SUPPORT: STANDBY》
先生。
「……」
「エアサポート?」
ヒナ。
「……」
ネル。
「……」
ミカ。
「……」
全員。
顔を見合わせる。
先生。
「……」
「今日は」
「もう帰ろう」
ネル。
「えー!」
先生。
「帰る!」
しかし。
管制塔のモニター。
最後の一枚。
表示。
ORBITAL SUPPORT
そして。
その下。
STATUS: STANDBY
誰も。
まだ。
それが何を意味するのか。
知らない。
シャーレ地下に眠っていたのは。
帝国の武器庫ではなかった。
戦車基地。
兵站施設。
航空基地。
そして。
もしかすると。
それ以上の何か。
キヴォトスの日常は。
少しずつ。
宇宙規模へと。
足を踏み入れ始めていた。
――第二十三話・終。