キヴォトスにウォーハンマー40kの世界の武器がやってきた!   作:eriza7170

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第二十四話 戦車だけが帝国兵器ではありません

 

 

翌朝。

 

シャーレ。

 

先生は。

 

机の上に積まれた書類を見ていた。

 

一枚。

 

二枚。

 

三枚。

 

十枚。

 

二十枚。

 

「……」

 

先生。

 

「多いな」

 

ユウカ。

 

「当然です」

 

「……」

 

「昨日、戦車を動かしたんですよ?」

 

「一台だけだよ」

 

「一台の戦車を動かしただけで」

 

ユウカは。

 

書類を一枚持ち上げる。

 

「これだけあります」

 

先生。

 

「……」

 

「何の書類?」

 

「燃料」

 

「うん」

 

「整備」

 

「うん」

 

「施設利用」

 

「うん」

 

「安全管理」

 

「うん」

 

「弾薬管理」

 

「……」

 

「保険」

 

「……」

 

先生。

 

「戦車って保険入れるの?」

 

ユウカ。

 

「知りません!」

 

「……」

 

「だから調べてるんです!」

 

先生。

 

「ごめんなさい」

 

その時。

 

シャーレの外から。

 

ゴゴゴゴゴ……

 

という音。

 

先生。

 

「……」

 

ユウカ。

 

「……」

 

二人。

 

顔を見合わせる。

 

先生。

 

「まさか」

 

窓を見る。

 

巨大な車体。

 

履帯。

 

装甲。

 

そして。

 

砲塔。

 

先生。

 

「……」

 

「また戦車?」

 

外。

 

レマン・ラス。

 

その後ろ。

 

もう一台。

 

先生。

 

「……」

 

「これは?」

 

ウタハ。

 

「昨日見つけた車両です」

 

先生。

 

「……」

 

「昨日のうちに?」

 

「整備しました」

 

先生。

 

「……」

 

「早くない?」

 

ウタハ。

 

「ミレニアムの技術力です」

 

先生。

 

「……」

 

「便利だね」

 

その車両。

 

レマン・ラスとは。

 

少し違う。

 

砲塔。

 

小さい。

 

車体。

 

低い。

 

そして。

 

側面。

 

巨大なハッチ。

 

先生。

 

「……」

 

「これ」

 

ウタハ。

 

「キメラ」

 

先生。

 

「……」

 

「兵員輸送車です」

 

ネル。

 

「つまり」

 

「うん?」

 

「みんなを乗せて走れる?」

 

ウタハ。

 

「その通り」

 

ネル。

 

「……」

 

「最高じゃん」

 

ネル。

 

すぐに。

 

車両後部へ。

 

「何人乗れる?」

 

アカネ。

 

「かなりの人数です」

 

ミカ。

 

「私も乗れる?」

 

「もちろん」

 

シロコ。

 

「……」

 

「便利」

 

先生。

 

「何が?」

 

シロコ。

 

「移動」

 

先生。

 

「普通の車でいいよ」

 

シロコ。

 

「でも」

 

「うん?」

 

「こっちは」

 

シロコが。

 

装甲を叩く。

 

コン。

 

「撃たれても平気」

 

先生。

 

「……」

 

「確かに」

 

キメラ。

 

内部。

 

座席。

 

装備棚。

 

通信機。

 

兵員用スペース。

 

先生。

 

「……」

 

「意外と広い」

 

ネル。

 

「だろ?」

 

先生。

 

「ネルはなんで誇らしげなの?」

 

「分からない」

 

ヒナ。

 

車内を確認する。

 

「装甲も」

 

「うん」

 

「かなり厚いですね」

 

カリン。

 

「通常の銃火器では」

 

「そう簡単には貫通しないでしょう」

 

先生。

 

「……」

 

「つまり」

 

ミカ。

 

「安全なバス?」

 

先生。

 

「……」

 

「すごく物騒な言い方だけど」

 

「合ってる?」

 

「まあ」

 

アカネ。

 

車内を掃除している。

 

先生。

 

「アカネ」

 

「はい?」

 

「もう掃除してるの?」

 

「はい」

 

「気に入った?」

 

「とても」

 

「……」

 

「装甲車は」

 

アカネ。

 

「普通の車より」

 

「うん」

 

「泥が落ちにくいです」

 

先生。

 

「……」

 

「そこ?」

 

「はい」

 

そして。

 

初めての。

 

キメラ試運転。

 

運転。

 

シロコ。

 

助手席。

 

先生。

 

後部。

 

ネル。

 

ミカ。

 

ヒナ。

 

アカネ。

 

カリン。

 

ぎっしり。

 

先生。

 

「……」

 

「狭くない?」

 

ネル。

 

「全然」

 

ミカ。

 

「快適!」

 

先生。

 

「そう?」

 

ミカ。

 

「うん!」

 

シロコ。

 

「出発する」

 

先生。

 

「ゆっくりね」

 

「了解」

 

エンジン。

 

ゴォォォ……

 

キメラ。

 

発進。

 

ゴゴゴゴ……

 

レマン・ラスより。

 

軽い。

 

速い。

 

道路を。

 

滑るように進む。

 

先生。

 

「……」

 

「こっちは」

 

ヒナ。

 

「?」

 

「普通に便利だな」

 

ヒナ。

 

「そうですね」

 

ネル。

 

「戦車より使いやすい」

 

先生。

 

「当然だよ」

 

ミカ。

 

「お買い物にも使える?」

 

先生。

 

「……」

 

「使えると思う」

 

ミカ。

 

「じゃあ」

 

先生。

 

「?」

 

「今度これで買い物行こうよ!」

 

先生。

 

「……」

 

「街中に?」

 

「うん!」

 

先生。

 

「……」

 

「目立つよ」

 

ミカ。

 

「でも」

 

ミカ。

 

「かっこいいよ?」

 

先生。

 

「それはそう」

 

数分後。

 

基地。

 

停止。

 

先生。

 

「……」

 

「次」

 

「バジリスク」

 

ウタハ。

 

「はい」

 

先生。

 

「……」

 

「自走砲だよね?」

 

「はい」

 

「どうして?」

 

ウタハ。

 

「こちらも整備済みです」

 

先生。

 

「……」

 

「また?」

 

バジリスク。

 

巨大な車体。

 

後部。

 

巨大な砲。

 

レマン・ラスの主砲より。

 

さらに長い。

 

先生。

 

「……」

 

「これ」

 

ネル。

 

「遠くを撃つやつ?」

 

「そう」

 

「どれくらい?」

 

「かなり遠い」

 

「……」

 

ネル。

 

「すげぇ」

 

先生。

 

「これは」

 

ヒナ。

 

「直接戦闘より」

 

「うん」

 

「後方からの砲撃を想定した車両ですね」

 

先生。

 

「そう」

 

ミカ。

 

「じゃあ」

 

「うん?」

 

「敵が見えなくても撃てる?」

 

先生。

 

「理論上は」

 

ミカ。

 

「……」

 

「すごい」

 

先生。

 

「だから怖いんだよ」

 

ウタハ。

 

「ただ」

 

「うん?」

 

「実弾射撃は」

 

「……」

 

「ここでは行いません」

 

先生。

 

「……」

 

「よかった」

 

ネル。

 

「なんで?」

 

先生。

 

「この基地の演習場」

 

「うん」

 

「砲撃用としては狭い」

 

ネル。

 

「……」

 

「なるほど」

 

ヒマリ。

 

「先生」

 

「何?」

 

「ですが」

 

「うん」

 

「バジリスクの砲撃性能を」

 

「……」

 

「実際に確認する方法があります」

 

先生。

 

「……」

 

「ないよ」

 

ヒマリ。

 

「あります」

 

「ない」

 

「あります」

 

「ない」

 

ウタハ。

 

「シミュレーターなら可能です」

 

先生。

 

「……」

 

「それならいい」

 

ヒマリ。

 

「では」

 

「うん」

 

「データを」

 

「うん」

 

「取りましょう」

 

先生。

 

「……」

 

「シミュレーターだからね?」

 

「もちろん」

 

その日の午後。

 

ミレニアム。

 

バジリスク砲撃シミュレーター。

 

画面。

 

巨大な地図。

 

距離。

 

地形。

 

風向。

 

高度差。

 

ヒマリ。

 

「入力完了」

 

ウタハ。

 

「砲撃計算」

 

「完了」

 

先生。

 

「……」

 

「本当にゲームみたいだ」

 

ネル。

 

「撃つぞ!」

 

先生。

 

「シミュレーターだからね」

 

ネル。

 

「分かってる」

 

ボタン。

 

カチッ。

 

画面。

 

砲弾。

 

飛翔。

 

地形。

 

遠距離。

 

着弾。

 

ドォン!

 

全員。

 

「……」

 

先生。

 

「……」

 

ネル。

 

「……」

 

「これ」

 

「うん?」

 

「本物だったら」

 

先生。

 

「うん」

 

ネル

 

「大変だな」

 

先生。

 

「そうだね」

 

シミュレーター終了。

 

ウタハ。

 

「ところで」

 

先生。

 

「何?」

 

「バジリスクの隣に」

 

「うん」

 

「別の自走砲があります」

 

先生。

 

「……」

 

「まだあるの?」

 

「はい」

 

先生。

 

「……」

 

「何?」

 

「メデューサ」

 

先生。

 

「……」

 

「それから」

 

「うん」

 

「ハンター」

 

先生。

 

「……」

 

「名前だけで怖い」

 

夕方。

 

地上基地。

 

車両が並ぶ。

 

レマン・ラス。

 

キメラ。

 

バジリスク。

 

そして。

 

まだカバーを掛けられた車両。

 

先生。

 

「……」

 

「こうして見ると」

 

ヒナ。

 

「はい」

 

「本当に軍隊みたいだね」

 

ヒナ。

 

「元々軍隊の兵器ですから」

 

先生。

 

「……」

 

「そうだった」

 

ミカ。

 

キメラの上に。

 

座っている。

 

ネル。

 

レマン・ラスの前。

 

シロコ。

 

バジリスクの横。

 

先生。

 

「……」

 

「みんな」

 

「うん?」

 

「楽しそうだね」

 

ネル。

 

「そりゃそうだろ」

 

ミカ。

 

「こんなの」

 

「うん」

 

「普通は乗れないもん!」

 

シロコ。

 

「……」

 

「移動にも便利」

 

ヒナ。

 

「……」

 

「ただ」

 

先生。

 

「うん?」

 

ヒナ。

 

「これを街中で使う場合」

 

先生。

 

「うん」

 

「許可が必要です」

 

先生。

 

「そうだね」

 

ユウカ。

 

「道路使用許可」

 

先生。

 

「……」

 

「そうだね」

 

ユウカ。

 

「車両登録」

 

先生。

 

「……」

 

「そうだね」

 

ユウカ。

 

「燃料税」

 

先生。

 

「……」

 

「戦車に税金かかるの?」

 

ユウカ。

 

「分かりません」

 

「……」

 

「調べます」

 

先生。

 

「お願いします」

 

夜。

 

シャーレ。

 

先生。

 

今日の報告書を書く。

 

帝国軍車両確認

 

レマン・ラス

キメラ

バジリスク

その他多数

 

先生。

 

「……」

 

「『その他多数』」

 

「便利な言葉だな」

 

そこへ。

 

ノック。

 

「先生」

 

ヒナ。

 

「うん?」

 

「追加の報告です」

 

「何?」

 

ヒナ。

 

一枚の紙を渡す。

 

「格納庫の車両一覧」

 

先生。

 

「……」

 

見る。

 

そこには。

 

LEMAN RUSS

 

CHIMERA

 

BASILISK

 

MEDUSA

 

HUNTER

 

HYDRA

 

HELLHOUND

 

BANEBLADE

 

DOOMHAMMER

 

SHADOWSWORD

 

先生。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

ヒナ。

 

「先生?」

 

先生。

 

「……」

 

「戦車だけじゃないね」

 

ヒナ。

 

「はい」

 

先生。

 

「対空車両も」

 

「はい」

 

「火炎放射車両も」

 

「はい」

 

「超大型戦車も」

 

「はい」

 

先生。

 

「……」

 

「人類の兵器」

 

「うん?」

 

「思ったより」

 

「はい」

 

「多いな」

 

そして。

 

一覧の最後。

 

一つだけ。

 

黒く塗りつぶされている項目。

 

先生。

 

「……」

 

「これ」

 

ヒナ。

 

「私も確認できませんでした」

 

先生。

 

「……」

 

「何なんだろう」

 

二人が。

 

画面を見る。

 

しばらく。

 

沈黙。

 

そして。

 

基地の奥。

 

ゴウン……

 

何かが。

 

起動する音。

 

先生。

 

「……」

 

ヒナ。

 

「……」

 

二人。

 

顔を見合わせる。

 

先生。

 

「今日は」

 

ヒナ。

 

「はい」

 

「もう」

 

「はい」

 

「見ないことにしよう」

 

その夜。

 

地上基地。

 

巨大な格納庫。

 

暗闇。

 

カバーの下。

 

数え切れないほどの帝国軍車両。

 

そのさらに奥。

 

黒い項目で隠されていた。

 

一台。

 

いや。

 

一つの兵器。

 

静かに。

 

電源が入る。

 

SYSTEM ONLINE

 

そして。

 

表示される。

 

MALCADOR

 

さらに。

 

その下。

 

READY

 

誰も。

 

まだ知らない。

 

帝国軍の「普通の戦車」ですら。

 

キヴォトスにとっては。

 

十分すぎるほど非常識だったことを。

 

そして。

 

これから。

 

「戦車」からさらに。

 

帝国軍の航空機、超重戦車、特殊車両、そして最後の切り札

 

が。

 

少しずつ。

 

キヴォトスの日常へ。

 

姿を現していく。

 

――第二十四話・終

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