アニメ化が見たかったのが後から効いてぺしょって遅くなっちゃった。
微かな夕陽 100万回再生おめでとう!!!
「ええっとここって……ココちゃんの?」
「かなたそちゃん達!? それに、あくあさん……だよね? どうして連れてきちゃったの?」
あくあがかなたそちゃんたちに連れてこられたココの部屋。そこで休んでいたこなたが突如現れたかなたの憧れたアイドルにドキドキしながら尋ねる。
「「「「「きゅ! きゅ! きゅきゅーん!!!」」」」」
「ええー!? おねぇちゃんが!? どどどうしよう!? こなたもこの先何が起こるか知らないのに〜!?」
「いや、今のでわかるんかい! いや、思わずつっこんじゃったけどえっと……?」
「あ! 初めまして! かなたちゃんがお世話になってます! 双子の妹の天音こなたっていいます!」
「えっ? え!? あああ湊あくあですっ! こちらこそかなたちゃんにお世話になってまして……!?」
あくあがこなたの容姿を見て思わず二度見するも、こなたは気づかず。
「かなたちゃんの妹……さん? お姉さんじゃなくて?」
「よく言われるんですけど違うんですよ〜? こなたがお姉ちゃんだったら〜……って、そうじゃなくて! もう、こなたのばか、ばか、おば〜か!」
自分の頭にぽかっぽかっと擬音が見えるかのような遅さで振るわれる拳に対して、たゆんと揺れる胸元でここまで差がある事あるんだなぁとあくあが思い
「ってそうだった! なんかいきなり拘束するって言われて、かなたちゃんが魔法少女みたいな格好で空から降りてきてここに連れてこられたけど……か、かなたちゃんは大丈夫なの?」
「こなたにも分からなくって……おねぇちゃん大丈夫かな〜!?」
その時部屋のドアがバタンと開かれ、あくあとこなたが視線を向けるとそこにはクロヱを抱いたかなたの姿があった。
無事に帰ってきてくれた事にこなたが安堵するも、涙の後が見えるかなたの表情や眠ったように気を失っているクロヱに気づき
「お、おねぇちゃん……? クロヱさんは無事……なんだよ、ね?」
テーブルにクロヱを横たわらせ、そのまま後ろに倒れ込み床に座り込むかなた。手を拡げたまま自分の手のひらを見つめ、次第に震えと共に後悔がこぼれ落ちる。
「おねぇちゃん!?」 「かなたちゃん!?」
「………………沙花叉を、守りたかっただけなのに……」
「きゅぅ……」
かなたそちゃんが割れてしまったクロヱのホロウィッチボトルを頭上に持ち上げこなたがそっと受け取り涙が滲んでしまう。
「クロヱさん……」
「違うんだ……違うんだよこなた! ……僕が、沙花叉のホロウィッチボトルを壊したんだ!」
床に手をつき、どこか懺悔するようにかなたが話しだす。
「関わらせないようにしても、一緒に戦ってもらっても沙花叉は消されちゃう……だから、沙花叉を助ける為に……消されないようにするにはこうするしかなかったんだよ……でも、そのせいで沙花叉のホロが消えちゃった」
「じゃあ、クロヱさんはいま……」
「分かんないんだよ! 僕が予知夢を見たのは沙花叉が消えちゃうとこまで! ここから先の未来は僕にも分からない……沙花叉がまたホロウィッチの事を忘れちゃうかもしれないし、もしもこのまま目覚めなかったりしたら……」
「そんな!?」
「ホロキャス界も、沙花叉も、守れなかった!! 僕が……!」
「かなたちゃん!」
あくあがかなたの肩を掴み目線を合わせ、かなたが逸らそうとするも、あのあくあが必死に伝えてくれようとしている言葉から逃げちゃいけない。そう思う程憧れた姿は眩しく、優しかった。
「何が起こってるかも、ホロウィッチ? とかもよく分かんないけど! あてぃしの知ってるかなたちゃんは! どんな時でも夢を諦めない! どんな逆境も切り抜けてきたじゃん!」
「あくたん……でも、僕のせいで」
「例えそうだとしても! そうやって落ち込んでるのがかなたちゃんの信じるアイドルの姿なの!? みんなを助けたいって手を差し伸ばせるヒーローの姿なの!?」
「っ! そんなわけない! みんな……あくたんや沙花叉もずっと誰かの為にって輝いてた! だから憧れたし……僕も、そうなりたいって思ったんだ」
「え!? あー……そ、そういえばそうだった。うわぁ〜恥ずかしっ!」
かなたが自分を推してくれていた事を思い出し、思わず赤面しフードを被り思わず転げ回りそうになってしまいそうになるも追い討ちをかけられるように言葉が続く。
「わーお! あくあちゃん意外と大胆なんだねー知らなかったなぁ」
「し、シオンちゃん!? ななな何で!?」
部屋の入り口シオンが扉を背に立っており、にやにやと笑いながらあくあに近づき
「自分の推しに対して自分がどう輝いてたか説明させるのって、ねぇねぇ? どんな気持ち?」
「あああああああああああああ!!?」
「かなたちゃんもおひさ〜……ごめんね。シオンが沙花叉の事焚き付けちゃったのかも」
「シオン先輩……焚き付けちゃったって……?」
シオンがクロヱに目を向け僅かに表情を伏せ、予知夢を見ているかもしれない事を伝えてしまったと話されるも首を横に振り
「……どの予知夢でも沙花叉は助けに来てくれたんです。だから、シオン先輩のせいじゃないですよ。僕が」
「かなたさ〜ん? 吾輩達より先に世界と戦うとか言うのやめてもらっていいですか〜?」
割り込むように響く新たな声、ラプラスがニヤリと笑い
「ラプちゃんまで!?」
「かなたさんのおかげで吾輩たち、ネットで秘密結社よりよっぽど秘密結社っぽい事してるやつ現るって言われてんですから! なぁ?」
振り返るもそこに誰もおらず、首を傾げ振り返ると
「こなたちゃんって……かなた先輩の 双 子 の妹ちゃんなんだってね……?」
「そうなんですっ! ルイさんのことは仕事ができて歌が上手で大人のお姉さんだってかなたちゃんから聞いてて……こんなにかっこいいなんて言ってなかったから、こなたの心臓どきどきしちゃう〜!」
「かなこないいぃ……!!」
こなたに近づくルイが欲望に負け、床と一体化しそうになり
「これがホロウィッチになれるっていうホロウィッチボトルかぁ〜! ちょっとなら貰っちゃっても〜?」
「ギュッ!!!」
「ぎにゃーあ!? じょ、冗談だって……かなたそちゃん! あは、アハハ……」
クロヱのホロウィッチボトルを摘もうとすると、かなたそちゃんが尻尾を掴み涙目になりながら少し縮んだ気もする尻尾を摩っていたり
「え、あー、えっと、う、あ、あくあ先輩! 大丈夫ですか……?」
「ん、や、大丈、あはは〜……久しぶり! だよね……? いろはちゃん」
「はい! ……や〜、いつ以来……だったかちょっと今思い出せないですけど……!」
「そ、そうだよね!? あてぃしもいつだったかちょっと出てこないなぁー!?」
「…………クッキー食べますか?」
「あ、ありがと……あ美味し……」
床に転がるあくあをいろはが手を取り座らせ、若干の気まずさを感じながらもハムスターのようにクッキーを齧っている姿があったりして
「自由すぎるっ!!?」
「ラプちゃん、それにみんなもどうしてここに……?」
思わず項垂れたラプラスに尋ねると、やや涙目になった顔を上げ
「吾輩たちもシオンに助けて欲しい! って呼ばれたんで……何すんの?」
「本当は無茶しそうな沙花叉を止めて欲しいって思ったんだけど……事情が変わったみたいだし、沙花叉のホロウィッチボトルを元に戻すのを手伝って欲しいかな」
「直せるの!? シオン先輩、一体どうやって……!」
かなたが思わず立ち上がりシオンに迫ると、シオンが懐から一冊の本を取り出しページを開く。そこに書かれていたボトルの絵やかなたには読めない言語で書かれている文字をシオンが読み進めていく。
「優れた魔女の知識と願いが強きホロの輝きと呼応するとき、魔法の瓶が生み出される……そう、フブちゃんとラミィのボトルを作った時の魔法だよ」
「でも、強きホロの輝きなんて僕にはもう……」
かなたのホロウィッチボトルの輝きは戦い続け、クロヱのホロウィッチボトルを砕いてしまったあの時心が折れて消えてしまったと思っていた。取り出したボトルは僅な灯火のような小さな輝きを、確かに照らしてくれていた。
「どうしてホロウィッチボトルが……!? あっ……」
「そう、かなたちゃんの心はまだ折れてない。ここにいるみんなだけじゃない! 離れていても、会えなくても、別の道を歩いていてもみんな心で繋がってる! ホロライブの仲間なんだから!」
こなた、ラプラス、ルイ、こより、いろは、あくあ、シオンを見て、その中の誰も絶望なんてしていない。みんなが笑顔でかなたを見守ってくれている。
横たわる沙花叉に目を向け、拳を握りしめる。
1人で戦おうとした悪夢を終わらせる為にみんなが集まってくれた。同じ未来を見ようとしてくれた。だったらこんなところで諦めちゃいけない!
かなたの持つホロウィッチボトルの輝きがゆっくりと強くなっていく。ボトルをクロヱの胸に近づけようとすると、スッと手を伸ばされ
「ラプちゃん……?」
「かなたさんの輝きはまだ取っとかないとですよ。ここからは吾輩達ホロックスの出番ですから!」
ラプラスが袖に隠れた左手を上げ、クロヱのホロウィッチボトルに向けて手を伸ばす。
「そうだね。かなた先輩の輝きでクロヱが浄化されちゃうかもしんないですし」
ルイの瞳がオレンジ色に変わり、左手をクロヱのホロウィッチボトルへ手を伸ばす。
「こよ達ホロックスの輝きもかなたんに負けないんだぞ〜? って見せてあげないとね!」
こよりが左手を伸ばし、かなたそちゃんが駆け出しそうになり少しぎょっとするも腕を組んでうなづいてくれたのを見て、しっかりと手を伸ばす。
「えへへ〜! こういうのなんか久しぶりでござるな〜!」
いろはが手を伸ばし、4人がクロヱを囲んでXの形に手を伸ばすのを見てシオンが語りかける。
「みんな、イメージして……強い心の輝きがその人の持つホロをより大きくしてくれる。みんなで過ごした思い出や時間が沙花叉の心の輝きを強くして、ホロウィッチボトルを元に戻せるはず!」
4人のイメージが重なる。
右も左も前も後ろもまだ分からなかった。姿や形、やりたい事や特技だって違う。
そんなバラバラの5人だった。でも、同じ歩幅で隣を歩いてこれた。
どんな下らない作戦だって、顔を合わせ真剣に向き合ってお互いの事を誰よりも信じてた。
一つずつ積み上げてきた欠片がホロックスっていう形になって大切な居場所になっていた。
互いにとことんふざけあった日や少し照れ臭く抱きしめあった日や、喧嘩して泣いて傷つけあってしまった日だってあった。
そんな何でもない当たり前の日々が、どんなに輝く宝石よりも大事だったんだ。
4人のホロがクロヱに向かって流れだし、ホロウィッチボトルが輝きだす。
戻ってこい、帰ってこい、必死で生きろ! みんなで笑える明日を迎える為に!
想いが強くなる程輝きが強くなり、全力で走り続けているかのような疲労感にふらつきそうになるも声を上げる。
「……刮目せよ! そこに跪け!」
ラプラスがシオンに目配せをし言葉が続く。
「掃いて捨てるような現実を!」
「一刀両断叩き切る!」
「終わりなき輪廻に迷いし子らよ!」
「漆黒の翼で誘おう!」
「我らエデンの星を統べる者!!」
「「「「秘密結社 ホロックス!!!」」」」 「でござる〜!」
シオンが荒ぶるホロを魔法陣で補助し、ボトルの形になってきたのを見て最後の魔法を唱え杖を振る。
「あと少し……! みんな頑張ってよ!」
「うぇ!? いやこれ結構疲れ、ああもう! 皆の者かかれー!」
「「「Yes,My Dark!」」」
掛け声と共に部屋全体を照らし出す程輝き、ホロウィッチボトルの形が変わる。
透明だった色が紫になり、縁を黒が彩りラプラスの座る椅子のような形になると中に赤い液体が満たされる。輝くホロがXの形を作り、蓋となりホロウィッチボトルをホロクロニクルウィッチボトルへと姿を変える。
「……ッ! ありがとう、みんな! 諦めなければ夢は叶うんだって! ……見せて貰ったよ! 僕だけじゃこの夢は見られなかった……!」
「ど、どうですかかなたさん! ホロックスもやる時はやるんすよ……!」
ラプラスが膝を震わせながらかなたに指を突きつけるも、威厳も何もない。仲間の為に全力で頑張るラプラスの姿にかなたが堪えきれず笑い
「ラ、ラプ、ちゃんそれ産まれたての子鹿みたいになってんじゃん!」
「だってあれめっちゃ疲れるんすよー! あととっ!?」
ラプラスの足がもつれ倒れそうになるのをこなたが優しく抱きしめる。思わぬ抱擁に身体が固まり、顔を見上げると涙をこぼしそうになるこなたの顔が目の前に迫り
「ありがとうね……! ラプ君たちのおかげでおねぇちゃんやクロヱさんが助け、られて! うわぁぁぁん!!」
「ヒュ」
抱きしめられた喜びや耳元で囁かれた感謝で気絶したラプラスを見て
「ちょっと総帥っぽいなって思ったらこれだから……。締まらなくてすいませんね本当」
「ラプちゃんらしいっちゃらしいんだけどねぇ」
「こら〜! すいません、こなたちゃん! ほら、離れ力強っ!?」
「大丈夫だよ〜頑張ってくれたんだし……ね? よしよし」
頭をこなたが撫でる度にラプラスの身体が跳ねるのを他所に、シオンがホロクロニクルウィッチボトルを手に取り確かめる。
クロヱの『シャチ』ラプラスの『総帥』ルイの『瞳』こよりの『頭脳』いろはの『侍』5つのホロが混ざり、重なったこのボトルなら大丈夫。安心して任せられる。ほっと安心し、クロヱにボトルを握らせる。
「沙花叉の事はシオン達に任せて! かなたちゃんはホロウィッチとしてみんなを……世界を助けてあげて」
「シオン先輩……本当にありがとう! 僕行ってくるよ!」
駆け出すかなたの背中を見送り、あの日とは逆になっちゃったなぁとシオンがクロヱの横に座り頭を撫でる。
「ほんと守れて良かった……あとは任せたよみんな」
ぴくりと指が動いた気がした。
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「はぁ……はぁ……ころさん大丈夫かな……?」
AZKiが振り返り先程別れてしまったころねを心配し、再び歩き出す。
『あずちゃんあずちゃん! こぉねなんかパパになってると何も効かないみたいだしさっきのバビューンって飛んだやつ! あれで先に行っちゃって!』
『えぇー!? ころさん本当に大丈夫なの!?』
『余裕余裕っ! かなたとクロヱの事任せたよー! うおおー! チョーイイネ!』
そう言って迫り来るドローンを側転からのバク宙、飛び蹴りを繰り出し壊していたのを思い出す。
頭を振り、かなたとクロヱを想いながら集中する。
ホロアースと変わってしまった世界で人を思い浮かべると頭の中で『地図』が浮かび上がり、その居場所をイメージする事が出来ればそこへ飛ぶように移動する事ができた。
こなたと鉢合わせた時も『地図』が浮かび上がり逃げるこなたに追いつけた。
「お願いもう一度だけ……!」
そう願い瞳を閉じ、祈るように手を合わせるAZKi。
頭上に迫るドローンの音が突然消え、身体をひょいっと抱えられ驚き目を開くと
「会長!? どうしてここに!?」
「文字通り飛んできたらAZKi先輩を見かけたんでこー勢いで? っと!」
ココがAZKiを抱えたままビルや建物を飛び越し、雲を突き抜けるとその身体は大きく空を自由に飛ぶ龍の姿となっていた。
「AZKi先輩、あいつの……かなたの居場所って分かります?」
「うん……! あずきもかなたんの所に向かってたらドローンに追いかけられてて」
「ワッツ!? だったら道案内お願いしますよ〜! そぉれ!」
「うん! 行こう! かなたんの所まで!!」
翼の羽ばたきがドローンを吹き飛ばし、空を舞う。彼方まで届く咆哮がAZKiのスカートのポケットに入れられた羽根を震わせ静かに光を放ち始めた。
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ミスラが街全体を見下ろせる程高い建物の屋上で手元のタブレットを操作していると、空を飛ぶ翼の音が聞こえ後ろを振り返る。
「過去は消え、友を討ち、ただ1人世界の敵となった……そんな状態でまだ抗うのですか? 天音かなた?」
地面に降り立つかなたがガーディアンアームを見つめ、拳を握る。
「僕は……焦ってたのかもしれない。沙花叉を助けられなくて、繰り返して、また1人で抱え込んじゃうところだった。だから君のことも見てなかったのかもしれない」
「一体何を言って……?」
「君の名前がミスラって事しか知らないって思って……ねぇ、どうしてホロキャスをホロアースに変えちゃったの……?」
「……いいでしょう。何も知らずに消されるのは嫌なものですからね」
ミスラがタブレットを操作し、周囲の空間が改変され広い空間となるもその空間には何も無くあるのはただ白い壁と床だけだった。
「ココは……?」
「私がホロアースと呼ぶ空間がここです。……COVERができる前から構想されていたホロアースは現実と仮想が混ざり合い、より素晴らしい物になるはずでした。しかし……」
空間に人々が集まり話し合う姿が見え、1人また1人と居なくなり残ったのはパソコンに映るホロアースと書かれたページだけ。
「あの頃の技術ではホロアースは構想の域を出ず……そして、忘れさられたホロアースに代わりホロキャスが生まれ、ホロキャス界と呼ばれる1つの世界を作る程にCOVERは大きくなりました。私を忘れて」
「それじゃあ君は……!」
「ええ、私はホロアースを管理しそこに生きる全ての人たちを支える為に作られ、その日を迎える事ができなかったただのなりそこないです」
かなたの脳裏によぎるのはかって戦い、今共に新たな道を歩くと決めた少女、ホロキャス界そのものであり、ただ友達が欲しかっただけの女の子ヌシ子。
ホロキャスとホロアース。
2つの世界に生まれ、望まれたのに実現する機会すら与えられなかったミスラ。望まれた世界が壊れホロキャスを通して再び世界と繋がる事ができたヌシ子。
「ホロウィッチの戦いは配信を通して私の元まで届いた。そして、私はホロキャス界について調べ気づいてしまった。彼女と私。どうして私を助けてくれなかったのに? と」
「それは……僕たちも知らなかったから」
「そう! 誰も私を知らない! ……勝手に作って期待して忘れておいて! なのにどうしてあの子だけ! だから変えてやったんです……この間違った世界を!」
ホロアースボトル インフューズ!
ミスラがタブレットを操作すると辺りの空間が元の場所、建物の屋上に戻りホロウィッチボトルに似たボトルが現れ、掴み取ると姿が変わる。
黒と白、現実と理想が『仮想』によって混ざり合う。変身と同時に握られていたムラサメマルを振りかぶり、動揺するかなたに向けて斬撃が飛ばされ
「
「ッ!!!」
その一撃に乗せられた想いは強く、ガーディアンアームが軋むような音を立て踏ん張るかなたの足をじりじりと後ろに下がり、屋上から片足がずり落ちてしまったのと同時に爆破し、衝撃でかなたの姿は元に戻ってしまった。
変身が解けホロが羽のように舞い、かなたの身体が重力に従って堕ちていく。
気を失いそうになる中、右手を必死に伸ばすも掴む事ができなかった。
堕ちていく恐怖よりも何も言えなかったという後悔に目を閉じてしまったかなたの耳に確かに聞こえた。
「「…………届けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」
ガシッと掴まれたかなたの右手。助けたかった。頼りたかった。守りたかった。いつもの揶揄うような表情じゃなく、眠ったように穏やかな表情でもない。ただただ必死に手を掴んでくれたクロヱの姿がそこにあった。
「沙花、叉……! シオン先輩も……!」
「勝手に暴走して沙花叉の事倒しておいて負けそうになってるとか洒落になんないんですけど!? ねぇ、何やってんですかマジで!」
「ちょちょ!? 落ちるからあんま暴れないでって沙花叉さぁ!? 一旦下まで降りるよー!」
箒に乗ったままクロヱが暴れだしそうなのを宥め、ゆっくりと降下し、大地に降り立ったかなたがすぐに沙花叉に抱きつき
「ごめん……! 本当にごめん! 沙花叉に助けて貰ってばっかりで……目が覚めてよかった……っ!」
「あーもう! すぐ泣くんだからかなた先輩はさぁ……そんなんじゃ怒るに怒れないじゃん」
「なーに言ってんのさ? 目が覚めてすぐかなた先輩は!? って飛び出してきたくせに」
「ちょ、シオン先輩!? ……いや、なんすかその目は?」
慌てる沙花叉をジッと見て、かなたが顔を赤らめ
「……沙花叉、僕のこと好きすぎじゃん」
「はぁ〜!? だーれがこんな勝手に突っ走る乳なしゴリラの事好きになるんすか? 勘違いさせちゃったかなぁ〜? さーせん」
「はぁー!? 僕の事何度も助けに来てくれておいてそっちこそ何言ってんのさ! 自己犠牲も大概にしろよこの牛ちちが!」
「どっちも好きすぎで草」
「「どこが!? ぐぬぬ……!!」」
取っ組み合いになりそうになるかなたとクロヱ。
2人がいがみ合っているとノイズが走り、スピーカーを通して聞こえるかのような声が響く。
『どうして……どうして私は1人だったのに、あなた達は……!』
ミスラの叫ぶような声と共に世界が震え、書き換えられる。
ホロキャス界に現れたコラプサー達『鳥』『音楽家』『アーチェリー』『格闘家』『熊』『バイク』『スノボー』『お化け』『スマホ』『猿』そして、『海賊と天使』倒したはずのコラプサー達が次々とよみがえり街を破壊しようと散らばり始める。
「これって……!」
「どいつもこいつもなんか見たことしかないやつばっかりなんですけど!?」
「こんな数かなたちゃんと沙花叉だけじゃ……!? シオンも変身さえできれば……」
かなたとクロヱが前に立ちボトルを構える。
「大丈夫だよ、シオン先輩! だって……!」
「そうですよ、なんてったって……!」
「沙花叉がいるなら!」 「かなた先輩がいるなら!」
「もう1人じゃない! 一緒に戦って背中を押してもらえるならどこまでだって!」
「2人でならどんな荒波だって乗り越えていける!」
「「それがホロウィッチだから!!」」
2人のホロの輝きが強く、世界の壁すら越える程大きく光を放つ!
『やっーと見つけた! みんなお願い!!」
『うん……! 任せたよ、ホロウィッチ!!」
ホロアースによって書き換えられてしまったホロキャスから読み取られたコラプサー達。かなたとクロヱのホロの輝き。2つの要素が合わさり、閉ざされてしまったホロキャス界と現実が再び繋がりキセキを結ぶ!
「んにぇ!?」「あああんな高いとこから落ちるなんて聞いてないんですけど!?」「いったーい!!」「船長のケツがぁー!?」
上から落ちてきた4人に続きルーナがパラソルを開き、ゆらゆらと降りて
「まったくやれやれなのらね! ここはカッコよく登場するとこでしょ!」
「だって上から落ちるなんて聞いてないでしょんなたん!?」
「お、おーいみこさーん? 生きてるー?」
「みこ顔から落ちたんですけど!? ちゃんと鼻ついてる!?」
ルーナやラミィ、フブキにみこ、マリン。視界に涙が滲み、声が震え思わずその場にへたり込んでしまう。
「……無事でよかった……!」
「先輩方遅くないですかー? 今まで何やってたんですか?」
「えっとそれはね、あー……」
マリンがかなたを抱きしめ背中を叩き、頬に両手を当て顔を見合わせるとそのまま頬を縦横無尽に引っ張りだす。
「よくもやってくれたなこのばかなた!! なーにがホロキャス界が危ないみたい! みんなも早く来て! だ!? 行ってみたらお前居ねーし、こっちには帰ってこれないわでマリンの純情を弄びやがって〜!!!」
「いっ!? ご、ごめんって! これにはわけが……」
逃れようとするかなたの肩を右をラミィ、左がルーナと抑え
「そうだよ! ヌシ子ちゃんが魔法で見せてくれたけど、テロリストみたいになってるしラミィがどれだけかなたの事を心配した事か……!」
「天音ちゃはいっつも無茶するしがんばりすぎちゃうけど、まさかんなたんたちをだましてまで勝手に飛び込んでいっちゃうなんて……も〜!」
2人からも引っ張られ慌てるかなたがクロヱに助けを求めるも、冷めた目線でシオンの元まで下がり
「うっわぁ……かなた先輩、沙花叉の事だけじゃなくて先輩方までだましてたとか……うわぁ」
「いやー流石にそこまでとは分かんなかったかなぁ……世界の敵ってのも案外間違ってないのかも」
「うっ!? だ、だってさ〜」
「いやぁーかなたんも悪ですなぁ」
「全くだにぇ……ってちがーう! 早くコラプサーをなんとかしないと!」
「あ、シオンたん! これ!」
「っと、船長これ!? シオンのホロウィッチボトルじゃん! しかも輝いてるし!」
シオンの手のひらにあるホロウィッチボトル、三日月の蓋が付いたそれは間違いなくあの日シャイニーベーカリーに置いていったはずの物。なのに失ったはずの輝きを取り戻し、ホロが満ちて光り輝いていた。
「……あの日からずっとどうにかなんないのか探してて、ホロウィッチの戦いが終わった後にヌシ子ちゃんにお願いしてたんだ。でも、魔法の力は戻らなくて……さっきホロキャス界でシオンたんが沙花叉のボトルを直してる時に急に光りだして」
「ヌシ子ちゃんが言うにはシオンちゃんの魔法を好きな気持ちがずっと変わらずボトルに残ってて」
「ホロウィッチボトルがシオンたんの気持ちに応えてくれたんだって! ホロックスのみんなでボトルを作ってた時もすっごく綺麗でラミィ感動しちゃったもん!」
「そっか……そうだったんだね……!」
「シオン先輩〜〜〜〜〜っ!!!」
飛びつくクロヱをひょいっと避け、涙をぬぐいボトルを握る。
「さ、それじゃあ行こっか? 世界を救いにさ」
「…………!!!」
「避けられたのに限界化してるのらね……ほら、天音ちゃも! いつまで座ってるの! は〜や〜く!」
「ええっと、みんな、僕がっ!? ったいな!? いきなり何すんのさ!」
「そんなの後で聞いてやるから今は他にやる事があるでしょ? な?」
背中を叩かれ振り返り、みんなの顔を見る。迷いも後悔もたくさんある……でも、今は!
「みんな……行こう!」
ホロウィッチボトル インフューズ!!!
「みんなの願いを咲かせる祈り!」
『巫女』の『ホロ』 魔法少女みこ!!
「あま〜い幸せおすそわけ!」
『姫』の『ホロ』 魔法少女ルーナ!!
「きらめくお宝ロックオン!」
『海賊』の『ホロ』 魔法少女マリン!!
「心躍らすトリックスター!」
『狐』の『ホロ』 魔法少女フブキ!!
「積もり重なる純白の愛!」
『雪』の『ホロ』 魔法少女ラミィ!!
「眠れる神秘を我が物に!」
『魔女』の『ホロ』 魔法少女シオン!!
「荒波をゆく奔放の牙!」
『シャチ』の『ホロ』 魔法少女クロヱ!!
「この手を差し伸べつかんで握る!」
『天使』の『ホロ』 魔法少女かなた!!
ホロウィッチ