特別招待客席:二つの双子、交錯する絆と
披露宴会場の最上段に設けられた、一際格式高い特別招待客席。
そこには、現・征夷大将軍である煌武院悠陽、その双子の妹である御剣冥夜、そして冥夜の友人として国連軍衛士・白銀武をはじめとする伊隅ヴァルキリーズの面々が座っていた。
「……素晴らしい式だな、冥夜」
悠陽がそっと、隣の冥夜へ向けて微笑みかけた。
将軍としての仮面を外し、一人の姉として妹の隣にいられる平和な世界。二人の視線の先には、シスコンの兄(ユウヤ)に邪魔されながらも幸せそうに笑う新婚の二人(恭夜と唯依)、そして彼らを優しく見守る姉(恭子)の姿があった。
「ええ、悠陽様。……本当に、見事な光景です」
冥夜の気高い瞳が、微かに潤んでいた。
悠陽と冥夜は、帝国の宿命によってその存在を隠され、長きにわたり「離れ離れの双子」として生きてきた。だからこそ、血筋や国家の不条理によって一度は引き裂かれながらも、自らの力で運命をねじ伏せ、再び「家族」として一つになったユウヤ、唯依、恭夜、恭子の姿が、我がことのように嬉しかったのだ。
「俺たちの世界は、あいつらが造ったフェイズⅢ(翼)に救われたんだ。血筋なんか関係ねえ、あいつらは本物の家族だよな」
武が誇らしげに胸を張り、ジョッキを掲げる。悠陽と冥夜は深く頷き、心からの敬意と祝福を込めて、雛壇の家族へと静かにグラスを掲げた。
ブーケトス:戦場より苛烈な「乙女たちの局地戦」
感動的な披露宴が終わり、式場の美しい中庭で行われたブーケトス。
唯依が照れくさそうに背を向け、純白のブーケを高く放り投げた──その瞬間、幸福な空気は、一瞬にしてBETA戦線をも凌駕する「絶対防衛戦」へと変貌した。
「そこを退きなさい、小娘どもォッ!! 婚期を逃しかけている私の執念を舐めるなーーーッ!!」
凄まじい風を切り、鬼神のごとき形相で最前線へ突っ込んできたのは、横浜基地の訓練兵団先任教官・神宮司まりもだった。完全に「3D機動」の動きでドレスの裾を翻し、猛烈な跳躍を見せる。
「そうはさせるか、まりもッ! 国連軍の、伊隅ヴァルキリーズの意地を見せてやる! 狙うはブーケの一点突破だッ!!」
伊隅みちるが、まるで突撃前衛(ストライク・バンガード)のような完璧なポジショニングでまりもの進路をブロック。その後ろからは、速瀬水月や涼宮遙、さらにはアルゴス小隊のタリサまでが「お前らにはまだ早いだろ!」と叫びながら、殺気全開で肉弾戦(スクラム)を繰り広げている。
ドゴォッ! バキィッ! と、ドレス姿の美女たちから鳴り響いてはならない衝撃音が響き渡る。
「……おい恭夜。アイツら、素手でBETAの突撃級をへし折るより良い動きしてないか?」
「ああユウヤ……。戦術機(不知火)に乗ってる時より予測不能な機動だ。近寄ったら確実に死ぬぞ……」
新郎と義兄がガタガタと震えながら引いている中、空中でまりもとみちるの手が、同時にブーケへと伸び──。
運命を乗り越えた者たちと、それを支えた戦友たち。
世界を救った英雄たちの戦後は、これからも最高に賑やかで、どこまでも幸福な光景と共に続いていくのだった。