怪物戦争   作:猫のこたつ

1 / 2
作者の猫のこたつです。
初投稿作品なので、変な文章があると思いますがご容赦ください。


プロローグ
第0話:壊れた世界の夢


 

19XX年 X月X日

 

変な夢。

自分自身が浮いていて、その真下には遠く離れた地上があった。

だと言うのに、その地上の光景は気味が悪いほどによく見える。

 

その世界を少し見た。

なんだか、百年前の大戦争にも思えたけれど、そうじゃなさそうだ。

何故なら、こんなに文明は進んでいない。

怪物がいたような形跡すらない。

ならば、ここは何だ?

 

その世界は、酷く壊れていた。

だからこそ、昔の戦後を幻視したのだろう。

確かに、そこには生きた人々がいた。

見たこともない、高い建物も建っていた。

 

それでも、彼らが幸せであったとは思えなかった。

 

変な機械みたいな人間達が、どうしてか人を襲っていた。

見れば見るほど、吐き気がする。

でもそれは、死体とかへの嫌悪ではなく――

 

悲しみを感じない私が、何処までも気持ち悪かったからだ。

 

私がおかしいのか?それとも、これが夢だと思うからなのか?

皆が必死に戦っているところを見ても、なぜ涙が出ないのだろうか。

 

それに、私はこれが夢だと思うのに、何故起きれない?

まさか、これが現実の事だって言うのか?

そんなはずない、魔力がどんなにある人間でも、魔力は不可視の物体としてしか実体化させれないはずだ。

 

疑問をぶつけても、答えが返ってくるわけはなかった。

何故なら、夢というのは私自身の空間だからだ。

私しか居ないのに、私が知らないことの答えをどうやって知り得れるのか?

 

そうだ、無駄だってわかってる。

それでも知りたい。

何故私は、この様な夢を見て。

ここで悩んでいるのか。

 

その時、何かの声が聞こえた。

 

「この世界のことが知りたいのか。」

 

 

「何を…言ってる?お前は誰だ?」

 

その声は、くぐもっているようで、何か混じり合ったような、男とも女とも言えるような、不明瞭なのにはっきりと聞こえる気持ちの悪い声だった。

それに、その姿は一つとして見えない。

 

「答えろ!お前は誰だ?この夢は何だ?何故私は起きれない!?」

 

 

「一つずつ答えよう。」

 

またそんな声が聞こえる。

 

「まず、私が何者かだが…そうだな、言っても信じてくれないだろうが――

私は、神に近しい存在だ。」

 

意味がわからない。

そんなやつが、ただの人間の私にこんな悪趣味な夢を見せて、話しかけてしてるとでもいうのか?

 

「君の思考は殆どが正しい。」

 

 

「はっ――?」

 

こいつは、まさか今、私の思考を――

 

「すまない、失礼ながら見させてもらっている。土足で人間の思考に踏み切ったことに対し、謝罪しよう。だが、君を知る上では大切であると思ってね。」

 

悪趣味にも程がある。

私の思考を分かってるくせに、この夢を止めないとは。

 

「次に、この夢は夢であり夢でない。

説明が難しいな…そうだな、別の世界と言えば分かり易いだろうか。

リアルタイムとは言わないが、ある世界、ある時間を流している。

そして、なぜ起きれないかに関してだが…私が少し起きれぬようにしている。

君と話したくてね。」

 

 

「何故私と?それに、こんな物を見せなくてもいいだろうが。」

 

理解に時間はかかるのものの、とりあえずこいつは私に興味があるわけだ。

 

「君はこれを見てどう思うのか…そう考えてね。

そうだな、うむ…一つ言うのなら、君には才能があるということだ。

戦闘、魔力、剣術、射撃。

そんな人間あまり居ないものでね。」

 

 

「はっ、悪趣味。ひっどいな。

私が特別だからって、精神も試してから話しかけようと思ったわけか?」

 

 

「まあそうなるかもしれないな。

それに、君は忍耐強く生きなければ、生きていけない。」

 

「何故だ?」

 

「そうして生きなければ、きっと君は死んでしまうだろうからね。

まあ、人間の死も私の好物だが…それよりも、人が面白い物語を紡ぐ方が、私の舌に合っている。」

 

何も具体的には話さない癖に、自分のことを語るのは上手…

本当にこんな人間がいたら、一発殴り飛ばしてやりたいな。

 

「お前の味の好みで、私は様々な味付けをさせられるってわけか?」

 

 

「その可能性もあるな。

いや、その可能性が高いと言ったほうがよいか。

それに、味付けをするならもう少し後だ。

恐怖や絶望には鮮度がある。私は鮮度のいいほうが好きだ。君だって、新鮮でないただの魚をパスタにでもぶち込まれたら嫌だろう?

 

 

「はっ、たとえが上手いな。味も口もいいわけだ。」

 

 

「褒め言葉として受け取ろう。

話の続きだが、今見せているこんな光景では君が揺るぎはしないこともよく知っているつもりだ。

だからこそ、私は好きなものを好きなだけ虐めて味を付けてからいただく。」

 

「何処までも人を試したり弄ぶんだな、お前は。

なんだか、お前の正体に気付いてきた。

それに、想像していたお前の性格よりももっと悪趣味だ。」

 

ああ、怪物の噂は聞いている。

かつての大戦争で、かの帝国を滅ぼした第二の原因ともされる。

まあ、帝国の敵からすると味方側だったわけだがな。

 

「君もだと思うがね、■■。

趣味が悪いとは言わないが、生まれのせいだと自身の境遇の土地や人に擦り付ける君こそ悪趣味だ。

それに、実験された人々に対しても悲しまず、ましてや自分自身の糧となってくれて嬉しかった…だろう?」

 

「私のことをどれだけ読んだ!」

 

周囲に物はないが、怒りが収まらずに空を殴った。

そして、さっきの言葉を訂正しよう。

今こいつに実体があったなら、何発何十発とこいつに原型がなくなるまで拳を振り下ろしていただろうな。

 

「全てと言ったら、怒るかね?」

 

 

「もう最高点だ、クズ野郎。

それで?神に近しい存在が?私みたいな矮小な人間に意見を言うと?

神も落ちたな!人間一人にここまで労力を使うとは!」

 

 

「何、そう喧嘩を売りに来たわけじゃない。

ただ私は、行く末を見守りたいのだよ。」

 

 

「行く末だと?」

 

「君の実験で得たその永遠を…どう活かして生きていくのかをね。」

 

そんな事を言われた瞬間、下に映っていた世界が、歪む。

いや、歪むだけではない。

世界に亀裂が入る。そこから崩れるように、黒い空間が顔を覗かせる。

 

「何をした?」

 

「何、ただ一時の夢から覚めてもらうだけだよ。

ああ、それと…私のことは、少し忘れてもらうことになるがね。

私的に重要だと思う部分以外を抜き取っておこう。」

 

つまり、こいつは今――

 

「記憶を消すつもりか!」

 

実体のない相手にどうすればよいかもわからない。

だが、抵抗しないのは軍人の名が廃る。

ならば何でもいい、恨みや怒りでも拳に乗せてしまえ!

 

「そうだ、だがもう遅い。勇敢であったな、■■よ。」

 

その言葉の最後を聞いた瞬間に、夢に落ちるように、だが夢から覚めるのに。

目の前と意識が、暗転した。

 

 

 

 

 

目が覚めると、自分の部屋だった。

何も変わらない、自分自身の家。

柔らかいベッドに、暑いからと蹴っ飛ばしたと思われるシーツ。

何も変わらない、いや変わるはずのない自分自身の部屋。

 

なのに、何か忘れてしまったような変な気分を覚えた。

 

「…そんなことはない。絶対に。」

 

ベッドから起き上がって、少し歩く。

時計は朝の5時。

正直少し早いが、準備には丁度いいかもしれない。

 

「さてと、着替えようか。」

 

軍服に目をやり、気持ちを切り替える。

私はこの国を守る、王国陸軍の一兵だ。




ここまで読んてくださった方、ありがとうございます!
一応続きを書く予定ではありますが、かなり不定期になると思いますのでゆっくりお待ちいただけると幸いです。
全然文字数が無いので、書くたびに増やせていければと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。