作者の猫のこたつです。
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第1話:王国の朝
1933年 3月8日
イタリア王国 王都 ローマ
新しい朝、素晴らしい朝。
照りつける日は暖かく、吹き抜ける風は涼しくちょうどいい。
このローマに新たな春がやってきた!
「いやー…暖かい、イタリアに住んでてよかったー!」
私、カリハ・スリーデントは欧州南部に位置し、温暖な気候とその気候を生かした素晴らしい特産品の多い王国――
イタリア王国に住んでいる。
まあ、王国とは言っても、10年くらい前にローマ進軍?ってやつが起きちゃって、ファシズム大評議会って言うのが政権を取ってるんだけど…
「なーんか今朝変な夢を見た気がする…殆ど覚えてないしいっか、夢なんて忘れちゃうし。」
そう、なんだか変な夢を見た。
感覚としては…少しだけ、怖い感じだったってことは覚えてる。
だけれど、だからって私が今日何もしないなんてことはない。
それに今日はすごく重要だから!
「それに今日はいろいろ準備もしないとね、今日はもう狩人の試験だから!」
一人しかいないのにこう呟くのは孤独を感じないため…まあいいや、そんなことはどうだってよくて。
自分の部屋にある手持ち鞄に、魔鉱石や簡易銃、ナイフや食料品等を詰め込む。
魔鉱石は中に魔力の入った石。
綺麗でたまに詳細の知らない人がアクセサリーを作ってたりするよ。
綺麗ではあるけど、魔力勿体なくないのかな…って思っちゃうんだよね。
鞄の中に色々適当に入れてしまったけれど、入ったしいっか!
「にしても、ついに私も狩人になれるなんて…」
狩人とは、獣を狩る者たちを指す。
5級から1級まであって、1級が一番上。
試験を受けてなるもので、試験内容は筆記と実技。
筆記はとりあえずなんとかなるんだけど、実技の方が問題だったりする。
一見ただ自分の実力を見せるだけ…かと思うけど、これがまた面倒なことになっていたりする。
毎年かなり分野が変わるもので、一昨年は技巧を見ていた癖に去年はその者の出せる最大攻撃とか…
いくつかのジャンルで決まってるとかじゃないから、対策がしづらいって高校の同級生が言ってたなぁ。
「まあ、なれると決まってはいないけど、私なら絶対なれる!」
根拠の無い自信をとりあえず言っておいて、緊張を和らげる。
こう見えても緊張はするタイプ。
まあでも大丈夫、私の知り合いが楽に受かってたから!
なんて思ってたら。
「おーい、起きてるか?もうすぐ狩人の試験だぞ。
確かにお前の家は試験会場から近いが…早めに来ておいて損はないぞ。」
そんな声が玄関あたりから聞こえる。
私のことを狩人として訓練してくれて、さっきも言った私の知り合いの狩人――
「ベグ、ちょっと待ってて!今すぐ行くから〜!」
彼の名前はベグ。ベグ・ベルタという。
私より3歳上の21歳で、狩人としては1級。
魔具の扱いにも長けていて、頭の上がらない男だ。
そういう訳で、私は準備した鞄を持ち、使っている魔具を持って玄関へ降りた。
魔具っていうのは、自分の魔力を入れることで刃を大きくしたり、変形させたり色んな事ができる武器。
魔力を持つ大抵の狩人はこれを使ってるよ。
まあでも素手だけで獣を狩る山育ちもいるけどね…
「会場は軍大学だ、お前が次に入る学校だな。」
「じゃあ、実質下見ってことだよね!」
「お前は普通に下見に行くことができないのか?」
そんな会話を交わしつつ、街を歩いていく。
街は賑わっていて、朝は早いがかなり沢山の店がもうやっていた。
近頃はナポリから流行りに流行って北部まで流行が来たナポリピザの店が賑わっているらしい。
「あれ後で食べてみていい?いいよね?」
店を指差しながら、軽い足取りでそう言う。
少し遠いが、遠くてもその匂いが来る。
匂いだけでも美味しそう!
「後でだ、まさか試験前に飯を食って不合格なんて、アメリカのコメディ映画でも少ないだろうな?」
「ケチ!絶対あとで奢らせるから!」
「はいはい、分かったから。もう着くぞ。」
その言葉の後に、ある建物が見える。
幾人もの王国の士官を支え育てた学校が、そこにあった。
その建物は大きく、厳かな雰囲気を漂わせ、入るのすら恐怖に感じるような所だった。
石材系で作られているからかな…
「迫力あるなぁ…ここいかなきゃダメ?」
「なりたくないなら回れ右して帰ってもいいぞ。」
「精一杯頑張らせていただきます!」
そんな訳で、その建物に入っていく。
「行ってこい、また後で会おう。」
「はーい。」
そう言って、別れようとした。
でも、何か引っかかる……待って、あいつまた後でって言った?
別に試験後に会おうとかでもいいのに?
「ちょっと待って、また後でってどういう――」
そう聞き返そうと後ろを向いた時には、ベグはもう居なかった。
無駄に足が速いんだから!
「いやいや、まさか…まさか試験監督者とかじゃないでしょ…」
確かに1級の狩人ではある。
でも、でもだよ!そんなに早くなるものかなぁ!
というか、監督するにしてもどっち?どっちも…?
そんな事を思案しながら、諦めて中に入った。
大学の中は、意外にも木造の造りだった。
外の外壁は石材系でできていたから、印象がかなり変わる。
「えーっと、試験部屋はっと…」
自分が以前書いたメモと建物の案内図を見比べながら、どこに試験部屋があるのかを探す。
無駄って言っちゃあれだけど、中々に広い。
広すぎるかもしれない。
「こっち…?いやこっちかな…」
そんな感じで建物内を右往左往していた時、足音が聞こえる。
誰だと思ってその方向に目をやると、そこには二十代になったばかりのような、そんな人がそこにいた。
「あなた…は、誰?」
中々にその…顔が良かったので、びっくりしてしまった。
「私はキャッツ。今回の試験の監督者だよ。君は受験者の…カリハちゃんかな?」
そう、目の前の男――キャッツは自己紹介した。
なら、ベグは試験監督官じゃないってことかな…
2人でやる…可能性もあるけど、でも無さそうだし…
というかこの人、私と初対面なのにちゃん付けした…?
「はい、私はカリハ、カリハ・スリーデントと申します!
その…失礼を承知で聞くんですけど…」
「どうかしたの?」
「…どこかわからなくて…」
恥ずかしい…言っててずっと恥ずかしいよ…
方向音痴じゃないと思ってたんだけど、自分のことって意外にわからないものだな…
「そっか、分かった。
試験監督者として、君を部屋まで連れて行ってあげよう。」
彼は一瞬困った顔をしていたが、すぐに表情を変えてそう言った。
「こっちだよ。ついてきて。」
そう言って、キャッツは階段を上がる。
その後をついて行きながら、周りを見る。
〇〇室や〇〇用教室など、そう言った部屋に分けられていることがよく分かる。
その部屋の詳細について話しながら、試験部屋まで歩いていた時。
「そういえば、その魔具いいやつでしょ。」
彼が、歩きながらそんな事を聞いてくる。
少しびっくりしてしまった。
あまり魔具について聞かれることはあまり無かったから、それについて聞かれるのは慣れていなかった。
「この魔具ですか?お母さんから貰ったんです。
私の母親も狩人で、2級だったかな。」
「ヘルト・スリーデントさんかな?」
「えっ、そうですけど…よく知ってますね、お母さんが活躍してたのって十数年は前ですよ。
若く見えるのに、そんなに前から狩人だったんですか?」
彼は少し後悔したようで、でも笑いながら言葉を紡ぐ。
「ああ、若く見えるかな?
君みたいな子に言われると気分が上がるね。」
「口説くのやめてください!もう…女誑しですか?」
「いやいや、そんなことはないんだけどねぇ…」
「とりあえず…まあ、多分この魔具はいいものですよ。
知り合いの鍛冶屋に頼んで、かなり使ったけどいいものを作ってくれたって言ってたから…」
少し前のことを思い出しながら、魔具を見る。
長い持ち手に、その先には中々に大きな刃が付いている。
魔力をいれると、魔力でできた刃が大きく広がる。
それでリーチが伸びるから、戦い方は距離を取りつつ魔力でできた刃で斬る…といった感じだ。
「そうなんだね。いや、なかなか珍しい形と機構をしていたから、興味を持ってね。」
そんな話をしていたら、いつの間にか着いていた。
「さ、入って。まだ時間じゃないから、ゆっくりしてていいよ。」
「じゃあ、お言葉に甘えておきます。」
部屋の中に入ると、そこには多くの…ととは言っても数十人だが、試験を受ける人達が居た。
5×5で並ぶ机の中で、自分が座るのは黒板から見て左から2列目、前から2つ目の席だった。
鞄を置いて、魔具を壁に立て掛ける。
周りを見てみると、魔具を持っている人は少ないように見えた。
小型の物でも持ってるのかな。
そんな事を考えている内に、時間になったらしい。
キャッツが扉を空けて入ってきた。
「皆揃った?まあ時間無いからもう配っちゃうよ〜。」
試験用紙だと思われるものを前の机に広げ、人数分を持ってそれぞれに配った。
「じゃあ、始めるよ。」
最後まで読んでいただきありがとうございます!
字数も増やしていきたいと思っておりますので、これからも読んでいただけると幸いです!