最終回に向かう奈落家
■キャプション
自由になりたいと話すこの自由よ
人見城下の町のお祭りは人でごった返していた。
どうあってもはぐれずに
常に全員一緒に行動するというのは難しいし、
手間のコストがかかる。
お祭りは各自好きに楽しんで来て良いと、
奈落は分身たちに一時の自由を与えた。
あくまでコスパを踏まえてのことだ。
他の分身や家族たちはどうか知らないが、
神楽、神無、白夜の三人は一緒に行動する。
太鼓やお神輿などの
路上パフォーマンスを見ながら
町の中心部に歩いて行き、
途中の露店で食べ物を買って
歩きながら食べる。
神楽はリンゴあめ、
神無はイチゴシロップのかき氷、
白夜はからあげを食べている。
意外とキュウリの一本漬けを
食べている人が多くて驚いた。
途中、白童子が赤子の入った魍魎丸と一緒に
フライドポテトをシェアしている様子を見かけた。
一方、自由を与えた当の奈落は
想い人の桔梗にもしかしたら遭遇しないかと
淡い期待を抱いていたが、
この人の多さではムリだと諦め、
人見城で留守番をしている蔭刀のために
焼きそばとお好み焼きを買って
早々に城に帰還した。
彼は桔梗を想ってもいたが、
主君である蔭刀のことも大切に想っていた。
人見家の姉弟三人は
だいぶ歩いたので
広場の石の階段に座って休み、
買った物を食べ続けていた。
周りには近くのディスカウントストアで
缶のお酒を安く買った人たちが
神楽たち同様に座って、それを飲んでいる。
そこに悟心鬼がやって来る。
「ぐぐぐ、さっき奈落を読心した。
奈落は桔梗だけでなく
蔭刀も想っている。
それが奈落の自由の中身だ。
それを利用すれば
俺たちは完全に自由になれるかもしれん」
「へえ。お前にしちゃ役立つことするじゃねえか」
神楽がリンゴあめをかじりながら返答する。
内容は神楽もなんとなくわかっていることだったが、
彼女は悟心鬼を否定せずほめる。
「ぐぐぐ、俺も自由になりたいのだ」
「…今も自由だけど」
神無が氷入りのピンクのシロップになっている
かき氷を食べながら核心を突く。
「そうそう。自由って結局、一時的じゃね?
永遠ってねえよ」
現実的でドライな白夜。
からあげをもぐもぐする。
「お前はほんと鈍くせえな。なんか買って来いよ」
今を楽しめと神楽が悟心鬼に促す。
そして悟心鬼は近くの露店でレインボーアイスを買って来た。
姉弟たちは悟心鬼を交えて
買った物を食べながら座って話をする。
本当の自由になったら何がしたいか、
四人はやりたいことをお互い楽しく話した。
一時の自由であったが
とても楽しい自由のひとときであった。
夏の夕方の涼しさと
遠く響くお囃子の音が心地良かった。
おわり
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。