ケロロ軍曹短編集   作:カッパガエル

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本作は虫食表現がございます
ご注意ください


サバイバルクッキング〜野生味に嫌味を添えて〜

ポリポリ

 ポリポリ

 ケロロは銀色の袋から何かを口に放り込んで食べている

その顔をは何を考えているかよくわからない

 普段からもよくわからないとは言ってはいけない

 

「「ただいまー」」

 

 ケロロが振り向くとそこには買い物袋を手にしている夏美と冬樹の姿がある

 

「おー冬樹殿に夏美殿おかえりなさいであります」

 

「うん…てボケガエルなに食べてんのよ」

 

 夏美は怪訝な顔で問う。今の時間におやつを食べたら夕飯が食べれなくなるではないか

 

「これでありますか?ちょっと懐かしくなって買ってみたのでありますよ」

「よければおひとつどうでありますか?」

 

 そして銀の袋から出したそれを認識した瞬間

 夏美は顔を青ざめて引く

 

「アンタそれ…虫じゃない!!」

 

そこにあったのは真っ直ぐ伸びた甲殻に包まれた薄茶色い芋虫である

 

 冬樹はケロロに近づきそれを躊躇いなく口にする

 夏美が驚愕する中で冬樹は答える

 

「うん、やっぱりミルワームだね、これどこで売られてたの?」

 

 冬樹は好奇心旺盛で将来は世界を旅して遺跡巡りしたいと考えるほどだ。その中で昆虫食に対しても抵抗感はない

 

「奥東京動物園でありますよ。パトロールしてたらたまたま見つけて懐かしくなってつい買ってしまったであります」

 

 夏美は改めて目の前の男がカエルだと思い知らされた

 そんな夏美の心理を感じたのかケロロは眉間に皺を寄せて答える

 

「いや我輩がカエルだからじゃないでありますよ。軍人としては極限状態だと希少なタンパク質だから食べたことがあるだけであります」

「それ差っ引いてもこれは美味すぎるでありますがな」

 

 そう言われて冬樹は首を傾ける

 食べてみて思ったがフライにしてから袋詰めして大分経つのか油が回りすぎてる気がする

 独特の木の皮みたいな風味と雑味も感じられて食べれはするがあまりおいしくは感じなかった

 揚げたてだとまた違うのだろうか?

 

ケロロは苦笑しながらもかつての思い出を語りだす

 

 

 ガマ星雲にあるとある星

 ここは惑星全域が熱帯雨林となっているジャングルの惑星だ

 この星に潜む敵対勢力を殲滅する為にケロロ達はやってきたのだが……

 

「でどうなのでありますか?」

 

 ケロロの問いにある兵士が敬礼をして語る

 

「ハ!…やはりダメですね武器以外ほぼ全部お釈迦になっています。勿論食料や医療品もです」

 

 ケロロとその兵士の眼前には墜落現場があった

 小型の宇宙船が見るも無惨にバラバラになっている

 それはケロン軍の補給船の残骸である

 的確に補給船を撃ち抜くあたり向こうの兵の質の高さか技術力の高さが窺える

 

「恐らく衛星上にいる本隊も対策を練ってるでありますが時間はかかるでありましょうな」

 

 確かに武器がなければ兵士はどうしようもない

 だがそれでも糧食がなければどうしようないではないか

 あぁなんて素晴らしき軍事国家ケロン!

 

「あっですが良いニュースがあります!」

 

「ほう?何がでありますか?」

 

「補給隊が気を利かせたのか最後の一服と一杯は楽しめますよ!」

 

 バリアで包まれた武装達の中に鎮座してたのは嗜好品である。タバコに菓子に酒、食料扱いは憚れるものの確かにないよりはマシである

 

 ケロロはそれをみて笑う

 

「おおっ多分スペースがなかっただけでありましょうがありがたく使わせてもらうであります!」

 

 その後、本隊から連絡があり各地で点在する小隊中隊をまとめそこから部隊を再編するとのお達しである

 

「集合予定地はかなり離れています…間違いなくたどり着く前に餓死するかと…」

 

「しょうがないにゃあ…こうなったら痕跡関係なくサバイバルで動物を狩るであります!」

 

「えっいいのですか?無駄弾を使って…」

 

「いいでありますかー、確かに弾薬も大事でありますが我輩達が野垂れ死ぬと後生大事にした弾薬を敵に鹵獲される危険性があるであります。何より我輩達が生きていること、それこそが無駄弾を減らす一手なのでありますよ」

 

「なるほど…」

 

「チミはまだ訓練校から上がったばかり?」

 

「はっ!半年前に卒業したばかりです!」

 

「だったら覚えておくであります。確かに軍命は遵守しなくちゃいけないけどそれのせいで思考を堅める事こそ寿命を縮めるのであります。適当にやるのが1番!まずは生き残ることを第一に!これ上官命令ね」

 

 若い兵士は尊敬を帯びた眼差しで敬礼をする

 

「ハイ!」

 

 そしてケロロ中隊(ケロン軍では小隊を5人に絞り15人からなる編成を中隊とする)は目的地に向けじわりじわりと狩や採集をしながら進んでいく

 

 水は泥水をビームで燃やした焚き火で蒸留水を作り確保した

 

「ケロロ伍長!(当時はまだ軍曹になる前であった)宇宙ヒルを採取しました!」

 

「ウボボボァァア…」

 

「よし!内臓出して歯を抜くんであります!」

 

「ウボァッ!?」

 

「ケロロ伍長!きのみを見つけました!」

 

「てけとーな小動物に食わせて大丈夫そうなら火を通すであります!遅効性ならもう知らんであります!」

 

「ケロロ伍長!!敵兵を捕らえました!個人用のレーションを1人分確保しました!」

 

「うおお離せーーっ!!」

 

「でかしたっ宇宙ヒルとかの味を誤魔化す為にレーションを利用するであります!」

 

「敵兵は?」

 

「尋問する時間も惜しいし地面に首だけ出して埋めといて!」

 

「うわぁぁあヤメテクレー!」

 

「ケロロ伍長!宇宙バナナワニです!!」

 

「あぁ!宇宙バナナワニだけはダメであります!奴は…奴は……!あぁっついついバナナの皮に足が向かってしまぁあー!!」

 

「ケロロ伍長ーーー!?」

 

 

 そうしてなんやかんやであと合流まで少しの所まで来た

 

「ぜぇ…はぁ…」

 

「もっもう少しなのに完全に食糧がつきました…」

 

「よしダメ押しで何か狩ろう。動く人数は最小限で行こうであります」

 

「ハ!」

 

 そして部下3人を引き連れ静かに匍匐前進していく

既に敵にも各地のケロン人が集結しつつあることは知られているだろう

 故に今ある荷物は残りの面々に護衛させ、最小限の人数で中隊の腹を満たさなければいけない

 小さな獲物ではダメだ

 それでは集まるのに時間がかかってしまい敵兵に見つかる可能性があがる

 多少危険だがジャイアントキリングするしかない

 

 それは湿地の中で樹木をバリバリと食べていた

 色味は茶色で口には大量の牙が生えまるで宇宙ミミズを思わせる

 だが何より特徴的なのはそのサイズ

 実に体長10メートルを超えている

 

「あれは?」

 

「恐らく宇宙ゴミムシの幼虫、またの名を宇宙ギガントミルワーム…草食昆虫の幼虫では宇宙屈指の大きさです」

 

「よし…あれを狩るであります…特徴は?」

 

「やはりその甲殻の硬さにあります。並のビーム兵器は弾いてしまうかと」

 

「なら隙間を狙うしかないでありますな…我輩が殺るので残りの3人はビームで威嚇をお願いするであります」

 

「「「ハ!」」」

 

 そして3方向からの威嚇射撃で宇宙ギガントミルワームを翻弄してるうちにケロロは慎重に近づき…

 

「ウオオオーー!!」

 

 一気に飛びかかり頭に捕まる

 宇宙ギガントミルワームが頭を振るたびにケロロは吹き飛ばされそうになる

 

「キィィーーヤァァーーー!!!?」

 

 その恐怖感たるやジェットコースターなんて目じゃない

 少なくても100年はこの恐怖を引きずってまともに絶叫マシンなんて楽しめないだろう

 

 なんとか甲殻の隙間を見つけそこに一見ナイフの柄だけと思われる棒を無理やりねじ込みスイッチを入れる

 

 ジュッ

 

 瞬間、差し込んだ棒……ビームサーベルが展開され宇宙ギガントミルワームの脳神経を一瞬で貫通焼滅そして沸騰させ倒したのだ

 

 倒れてピクリとも動かなくなった宇宙ギガントミルワームの上に立ちケロロはピースサインをして宣言する

 

「獲ったどーーーーっ!!!」

 

 3人の部下は歓声を上げてバンザイをした

 

「ケロロ伍長!中隊の皆此方につくまで最低30分はかかるとの事です」

 

 部下からの報告を受けてケロロは頷く

 

「よし、では我輩達は野生動物などからせっかくの獲物をみすみす奪われないよう厳戒態勢で見張るであります。我輩ともう1人がここを守るので2人はツーマンセルで巡回をお願いするであります。あっ敵兵見たら真っ先にここへ逃げるでありますよ?」

 

「ハイ!ケロロ伍長!」

 

 そして飛行ユニットをつけ低空で飛んでく2人を見守りビームライフルをいつでも発射できるように構えてると残ったもう1人が話しかけてきた。

 

「ん?どちたのチミ?」

 

「ケロロ伍長のおかげで生きて帰れそうです!ありがとうございます!」

 

「ゲロゲロリ!まだ油断しちゃダメでありますよー!なにせ帰るまでが遠距離侵略足術強化訓練でありますからな!」

 

「遠距離侵略足術強化訓練…!ケロン軍でも最も過酷な訓練と言われるあの…!」

 

「そうそう、我輩ですらまだ受けた事ないでありますが上官達の話を聞くとその恐ろしさが……」

 

 ケロロ達は雑談に花を咲かせ気がつかない

倒した筈の宇宙ギガントミルワームの甲殻の隙間から白い何かが伸びケロロ達へ狙いを定めている

 

 の宇宙ギガントミルワームの甲殻の隙間から白い何かが伸びケロロ達へ狙いを定めている

 そして今にも襲い掛かろうとした瞬間!

 

 バシュン

 

 それの頭部は一瞬で消滅し倒れる

そこにはビームライフルを後ろ向きに撃ったケロロの姿があった

 

「…なんでありますかこれ?」

 

 もう1人の兵士は突然の事に混乱している

 

「ケロロ伍長…!一体何…あれは!?」

 

 ケロロが兵士が指差した方を見るとそこには白い蛇みたいなものがどんどん生えてきてるではないか!

 

「うっわキッッッモ!!?キミ、何か知らないでありますか!?」

 

 兵士は頭をかかえてなんとか思い出そうとする

 

「えーと…えーと……そうだあれは宇宙寄生虫サナッタ!」

 

「寄生虫!?」

 

「そうです宿主の身体に入り込んでコロニーを形成する人造外来宇宙生物の一種です!」

 

「チッ!敵兵の兵器の一種でありますか!味方到着まで残り時間は!?」

 

「およそ20分です!」

 

「囲まれて飛行ユニットで逃げることもままならない…ここで粘るしかないであります!」

 

「ハイ!」

 

 そこからはどんどん襲いかかってくるサナッタを避けながらビームライフルで駆除していく

 

「あぁもう!どんだけ寿司詰め状態だったのでありますか!」

 

「ケロロ伍長!こちらの残弾がもう…!」

 

 そして攻撃が弱まった兵士に群がろうとするサナッタを見てケロロは咄嗟に割り込む

 

「ケロロ伍長…!?」

 

吹き飛び離れていく兵士を見ながらケロロの頭にはあるものしか考えることが出来なかった

 

 最後の一服しないで抱え落ちとか勿体無いなー…

 

そしてサナッタがケロロに触れる寸前

 

 ドドドドッ

 

 突然の乱射音と共にサナッタの頭が吹き飛ばされていく

腰を抜かして呆然とするケロロの前に1人の男が降りてくる

 

「無事かケロロ!?」

 

 そこにいたのは赤い体色に半月の如き鋭い目、肩からベルトを下げて額にはドクロのマーク

 

「あっ…ギロロ……!?なんでここにっ!?」

 

「今はそれよりこいつらを殲滅するぞ!」

 

 ケロロは被りを振って立ち上がり頭上を見上げる

 そこには他にも4人の兵士たちがいた

 何故か1人は縛られているが…

 

「よっしゃー!これなら勝てるであります!…ギロロ!」

 

「なんだ!」

 

「悪いが弾薬ある!?さっきので尽きた!」

 

 ギロロは口元だけ歪ませてカートリッジを投げつける

 

「貸し一つだ!」

 

 

 そしてケロロ中隊の面々が到着した頃には全てが終わっていた

 

「おーい!皆ー!もう準備始めるでありますよー!!」

 

 そしてケロロ中隊とギロロ小隊(仮)は宇宙ギガントミルワームとサナッタをサバイバルナイフで内臓を全て出して焼いて食べる

 

「まっっず」

 

 ケロロが口にして開口一番で言ったのがそれだった

 

 木をそのまま食べてるような風味に雑味、そして栄養をサナッタに持っていかれてたのか肉も筋張っている

 調味料もない中でそれはギリギリ食える程度でしかない

 サナッタは脂こそのってたがブヨブヨとしてて味が一切ない

これならスナック状で口の中の水分をやたらと奪い味もイマイチなケロン軍のレーションが万倍マシだ

 だがそれでも腹を満たすことは出来た

 焚き火で同じくガムの如く宇宙ギガントミルワームに苦戦してるギロロに改めて問う

 

「で?そっちはどうして小隊状態だったんでありますか?ギロロの階級だとまだ状態作れないでありますよね?」

 

 この当時、ギロロはまだ上等兵であったのだ

 当然小隊を率いる資格はない

 

「……その事か」

 

 ギロロは少し顔を青ざめさせて語る

 ギロロがいた小隊を率いていたのは若い将官で同じく補給がダメになった際に弾薬を惜しんで泥水や生で生物を食べ途中で発狂してしまったのだ

 

「あー…もしかしてそこでふん縛られているのが…」

 

「あぁそうだ…」

 

 全身を蔦で縛られて暴れている若い男に他の兵士が無理やり体を押さえつけて口に細かくした焼いたギガントミルワームやサナッタを流し込まれている

 

「下手しなくても軍法会議ものでありますよ?よくやったでありますな」

 

「戦場で俺1人が散るならまだ納得できるがあんなのの命令で他の味方と共に無駄死にするくらいならとな…」

 

「我輩だって上官がそうなったらヤるでありますよ。弁護は任せるあります」

 

 ギロロはケロロに頭を下げる

 

「すまんがそうなったらよろしく頼む…」

 

「ゲロゲロリ♩何せ約束は守ってもらわないと困るでありますからな?それで貸し借りはチャラでありますよ」

 

「あぁ…」

 

 そして食べ終わり気力を無理矢理回復させて徹夜で行軍

 夜明けにはなんとか本隊に合流する事が出来たのだ

 

 

「て感じだったのであります」

「いやーミルワームの字面だけで買ったのでありますがこれは最初から食品に加工する為に育てられたからあの宇宙ギガントミルワームと比べると全然美味いんでありますよ」

 

 その話を冬樹は興味津々で夏美はゲンナリした顔で聞いていた

 

「凄いね軍曹、やっぱり軍曹て軍人だったと思い出したや」

 

「いや軍曹って言ってるのになんだと思われてたのでありますか我輩…」

 

「全く食欲落ちる話するんじゃないわよ…聞いてるだけで胃もたれするわ…」

 

「どうかしたか?」

 

 すると部屋に上がってきたのはギロロだった

 

「おーギロロ、ちょっとこれ食べてみて」

 

「なんだ?」

 

ギロロはケロロから受け取ったミルワームを無造作に口に放り込む

 

「これは…」

 

「ペコポンのミルワームであります」

 

「なるほど…あのサバイバルの時か…」

 

「そーそー!懐かしくなってね!」

 

「いやそれにしてはこれは美味すぎるがな」

 

「正直我輩も同感であります」

 

「ねぇ2人とも」

 

「ん?」

 

「なんでありますか冬樹殿」

 

「結局その星ってどうなったの?」

 

 ケロロは頬を掻き、ギロロは眉間に皺を寄せる

 

「あーそれなら…」

 

 

「俺様が掻っ攫ってやったぜくーっくくく…」

 

 床が開いてそこからエレベーターの如く上がってきたのは渦巻いたまん丸眼鏡に猫背気味の体躯と陰湿なオーラで全身黄色に手にはカレー。そう、ケロロ小隊参謀のクルル曹長だ

 

「あの時ギロロパイセンが縛ってた将官の体内に水か生物かにサナッタがいてな、そこから遺伝子情報を分析して人の耳には聞こえない特定周波数で操ってる事が分かってな?恐らく補給船を撃墜したのも操った生物にやらせてたんだよ」

 

「だから衛星上の本隊から小型スピーカーを星中にばら撒いて妨害電波を出して命令を無視するようにしたのさ」

「奴さん達の親玉は特に強い個体を従えていたから混乱して暴走に巻き込まれてお陀仏、上が潰れりゃ後は自滅するのみさ」

 

 片手のみでナームーとふざけた祈りを捧げる姿にギロロはイラつく

 

「チッ!俺達はお膳立てかっ」

 

 そんなギロロをケロロが宥める

 

「まーまーお陰で軍法会議免れたんだからさーイラつかないイラつかない」

 

「俺様に対しての感謝が足りないんじゃないかーいギロロパ・イ・セ・ン♡」

 

「だったらムカつく言い方するんじゃないっ黙らんか貴様ぁぁぁあ!!!」

 

 地団駄を踏んで怒り続けるギロロを冷めた目で夏美は見ていた

 

「あーもう、そんな話聞いてたら食欲なくなるじゃない……今日の夜ご飯は素麺にするか…」

 

「「えっ」」

 

 ケロロと冬樹は僅かに固まる

 

「?どうかした冬樹、ボケガエル」

 

「えっいやははっうん素麺でいいよね軍曹?」

 

「おーうん、素麺楽しみであります!」

 

 そう冬樹とケロロは知っている

 寄生虫の中でもある種類の虫は細く長く白いそれはまるで……

 だがこれ以上は言わぬが花であろう

 食べればそんなの気にならなくなる

 確かにサッパリするだろうが

 話の後味は少々悪くなったのであった

 

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