勇者パーティーの死んだフリ担当(フリじゃない) 作:はかあらし
勇者パーティー。
それは、神から選ばれし者達。そして彼らは魔王を倒す為、それぞれの役目を与えられそしてそれを果たした。
勇者は、与えられた力を私利私欲では無く、自らの正義の為、人々の為に使い魔王を倒した。
賢者は、神から与えられた類稀なる知識を使って数々の困難や危機を切り抜け道を切り拓いた。
騎士は、沢山の魔物の攻撃をその身に受け。それでも決して倒れる事無く、魔王との最後の戦いでも前線で戦いながら背後を守り通し後方に一つの傷も与えさせなかった。
魔法使いは、多数の属性の魔法を同時に使用し新たな魔法を作り幾多の魔物を殲滅しこの世に産まれた事を後悔させた。また、生活に豊かさを与える魔法を多く創造させ、人々の暮らしを豊かにした
聖女は唯一神の言葉を聞けるその代弁者として神に祈りを捧げ、傷ついた者を瞬時に癒し再び戦いの場に赴くその者に対し神からの祝福を与えた。
『貴方は何をしたのですか?』
「お、俺……僕はですね。えっと、魔物と戦いました。それで、負けて」
『負けたのですか』
目の前の男性は落胆したかの様に、溜息をつき。手元の紙に何かを記した。それを見て、俺は慌てて流れを変えようとする。
「いや、えっと、それはそうなんですけど。話はまだ終わりじゃなくて……それから修行をして強くなって最終的に勝ったんです。そう、勝ったんです!ビ、ビクトリー!!」
負けたのはあくまでも途中であり、最終的には勝ったよとさり気なくアピールをしたのに全くそれは響かなかった様で。
『成程、それではもう一度訪ねます。貴方が所属していた勇者パーティーでの貴方の役割は?シン・フリーダー』
そのまま流されてしまった。そして、改めて役割とは何かと聞かれる。
『得意な事や、貴方は何をそこで経験しましたか?貴方のこれは他の人に負けないと思う所は何処ですか?』
少し考えていると、それを見かねて助け舟を出してくれた。得意な事、経験。それなら簡単だ。
「死です!それなら沢山経験して来ましたし、誰にも負けません!!」
勇者パーティーメンバー時代、何度も死を経験してはその度に強制的に復活させられて来た。そして血に滲む様な修行を繰り返して、相手を倒して来た。その経験はきっと何処でも──。
『……ありがとう。君の熱意には感動したよ、君の言葉は嘘をついてるようにも思えない』
「それじゃあ!」
『また
「それじゃあ……分かりました。この度は貴重な時間をありがとうございました。失礼します……」
──通用しなかった。
喫茶店を出る時、カランカランと元気良くなる鐘とは逆に俺の心は深く沈んでいた。勇者が魔王を倒してから数ヶ月が経った。
魔物がいない誰もが待ち望んだ平和な世界で、勇者パーティーは解散した。勇者は、誰にも行き先を伝えずひっそりと何処かへ消えた。
他の皆もそれぞれやる事があるらしく忙しそうにしている。そんな中で、俺には何も無かった。明日の飯を食う金すらも怪しかったので、今こうして就職活動をしているのだが中々結果が出ない。これで何回目だろうか。
「生きるのって難しいな」
死ぬのは簡単なのにな。
なんて、哲学ぶってる場合じゃない。また何処か働く先を探さないと、野垂れ死ぬからな。
今時平和になった世界で人の死は尊ぶ物であり、求められる物ではない。ここ数日、合計百回以上面接を断られた俺が辿り着いた結果がそれだった。
にしても、どうすっかなぁ。ダンジョン探索でもして金稼ぐか?暗くなって来た街を俺は一人歩いた。