勇者パーティーの死んだフリ担当(フリじゃない) 作:はかあらし
「……此処が"最初のダンジョン"だよな」
冒険者ギルドに行った時に会った受付の地図によると、場所は間違いない様だ。だが。
何か奥の方ですっげえ嫌な予感がする。なんか、オーラみたいな?魔王と対面した時以来だな。こう言うのを感じるのは。後、気のせいか?後ろから邪気みたいなのを感じるんだが。気のせいか、気のせいだな。
それぐらい巨大な力を目の前の洞窟から感じた。流石、最初のダンジョン。このダンジョンで全ての冒険者の人生が始まり、そして此処で終わる事も少なく無いらしい。
理由は様々だが、一番多いのは諦めらしいな。自分には無理だって言う諦め。一般人と化け物の差が最初の時点で、大きく別れる。……って受付嬢が言ってた。
取り敢えず、死なない程度に頑張ろうと思う。いざと言う時の為に、有金全てを回復薬に変えたから死なないだろ。多分。死にたく無いし。
いや、勇者パーティーの時はさ、死にかけたり死んでも聖女様が神に祈って傷を癒したり蘇生させたりしてくれたけど今は居ないからな。
手段は回復薬だな。死ななければゾンビ戦法で、薬片手に無限に攻撃出来るから強いぞ。
そんな事を思いながら、洞窟の中を歩いて数分。岩と苔だらけの景色に既に見飽きてきたんだが……そろそろ、最初の魔物が出て来ても良い頃だと思うんだけど。どうだ?
少し期待しつつ、警戒もして。何が来ても良い様に準備をする。最近面接づくめで、戦ってなかったからな。鈍ってないと良いけど。
奥の暗闇からまだ姿は見えないが、音がガサガサと聞こえる。目を凝らして何が来るか集中して見ていると、やがてそれが正体を表した。
《ピギャー!!!!》
スライムか。ファンタジーな世界じゃお馴染みの魔物だな。コイツなら勝てるだろ。流石に、なぁ?
「よし早速。っととっと、危な!」
コイツは物理攻撃が効かなくて魔法でしか倒せないんだ。だから、魔力を全身に回して、体を守って攻撃と守備を同時に。
同時に……。
ど、どうじ。
あれ?
「出来ないんだけど、ちょっと待って?」
見えない誰かに言い訳しながら、何度か試してみるが全くもって上手くいかない。あれ?何で?前は出来たのに。おかしいな。四天王戦の時の一番最初の奴と戦った時、即やられてから勝ちたくで必死に覚えた技だったのに。
「いや、まじで。え、なんで?いや、いやちょっと待ってスライム君」
ジリジリと近づいてくるスライムに対して、対話をしようとする。
「待ってくれ、俺を殺したところでそんな旨味は無いぞ。ガタイが良い訳じゃないし、筋肉が多い訳でも無い。だから、俺より他の冒険者を食べた方が良いと思います」
《……》
それを聞いて、暫く黙った後。スライムはこくりと頷いた様な気がした。それを見て、俺はホッとして命が助かったと安心した。
《ピギャアア!!》
「うわあああああ」
そんな事は無く、スライムが距離を詰め、懐に入り込むと酸で俺の体をを溶かしていく。それはいた気持ち良い極楽にも近い物だった。まぁ、確実にあの世へ誘われるので間違ってはいないだろうけどな。
「畜生、体が動かねえ」
筋肉が消え、白い骨が剥き出しになる手を見て俺の意識は途切れた。
「やれやれ。見知った死り合いが歩いてると思ったら、死人になっているとはね」
汚れが絶えず、男連中が多いダンジョンで少女の姿は異質だった。全身を白の衣装で固め、顔を白いフードで覆い隠している。だが、声でその正体が幼い少女だと言うのはすぐに分かる事だった。
「にしても相変わらずシンは、
どう聞いても罵倒にしか聞こえないが、彼女にとってはそれが日常であり、褒め言葉である。そう呟きながら、目の前の白骨死体に祈りを捧げ始めた。その姿は、通行人が居れば二度見をするぐらいにはサマになっていた。
「あ」
垂れる鼻血を服で拭いながらで無ければの話だが。