シャア大佐すこすこスコティッシュフォールド 作:イカれた強化人間
TS転生した。転生ガチャは大外れであった。母と父は両方ともカス。ネグレクトを喰らった挙句、私は売られてしまった。
ドナドナ先は、フラナガン機関と言う謎の研究機関であった。生まれ故郷のアステロイドベルトとは違い温かいご飯が食べられる。天国である。
推定女神に、宇宙世紀に転生ねって言われたが、そもそも私は転生先の知識がない。よく分からないまま転生したのだ。ガンダムって言われても、百合だから水星の魔女を見たくらいである。あれでしょロボ。
謎の実験に付き合っているのはちょっと苦しい。しかし、アステロイドの鉱山労働より遥かにマシだ。鉱山はカスの巣窟であり、年端もいかぬ少女である私に対してもセクハラがエグかった。私は貞操の危機を常に感じていた。
TS転生者じゃない無垢な女の子だったら、普通におじさんとか犬とかとセックスさせられていただろう。
温かいご飯が食べられて危険な
「アステラ。…………君の処分が決まった。僕は君を守れなかった。君は優秀なニュータイプだ。僕はそう確信していたんだ! サイコミュへの適性は低いが、君の予知能力は紛れもないニュータイプのものだ。それに君は苦しい実験にもめげずに努力してきた!! ……すまない。……本当にすまない」
え???? 処分??? 文脈からして殺されるということだろう?? マジで何で???? は??
「それは、私がビットで敵を撃てないからですか? それとも銃を撃っても当たらないからです?」
「……両方だ。上の考えるサイコ兵器は戦術兵器であって、君にはその適性が無いと判断したらしい」
「……それは仕方ないですね。なむなむ」
私の強化を担当した研究者くんは、無念そうだった。でも、銃を撃っても動く目標に当たらないのは普通ではないか?? サイコミュ越しなら尚更だ。静止目標ならそれなりに当てられるんだが。
「死んだら天国に行けるかなぁ……」
「行けるよ。天国には美味しいものもあるし、お母さんもお父さんもいる。大丈夫だよ」
一緒に処分されるらしい子どもたちのメンタルケアをしている。2度目の人生である私はともかく、他の子どもたちを殺すのは酷い。子どもは未来の宝だ。ジオンだか何だか知らないが、この研究者はそんなことも分からないのだろうか?
もしくは、敵に実験体を渡さないためとかだったりするのだろうか? 2回目だけど死ぬのは嫌だなぁと思いながら居たら、なんと助けがやってきた。
――「シャア・アズナブルだ。君たちを救いにきた」
シャアと名乗った男は、私たちの生命の恩人である。みんな、シャアに縋り付いて泣いている。この男は、紛れもなく英雄だ。
シャアの服装は端的に言ってダサい。しかし、この研究機関でこんなヘンテコな格好を見たことはない。そして、私はこの男に何となく見覚えがあった。
私の灰色の脳味噌はフル回転した。その結果、私はこのシャアと言う人物が、この宇宙世紀のガンダム作品の主人公であると判断した。ジオンは正義の陣営だ!
だって、こんな格好ですよ! こんな格好! こんな変な格好は主人公にしか許されない!!
他の子どもたちは、シャアさんに言い包められて後方に連れて行かれるようだ。しかし、ここで離れるのは得策ではない!
そう囁くのだ私のゴーストが! 主人公キャラに引っ付いていればお零れが貰えるはず!!
「シャアさん、私、シャアさんと一緒に行きます!! 私、こう見えても強いんですよ! ロボ…いえ、モビルスーツだって動かせます! スッと行って、ズバッと斬ることが得意です!!」
「……君は子どもだ。戦場に立つべきじゃない」
「シャアさんは戦うんですよね? だったら、私も妹たちや弟たちを守るために戦います!!」
「意思は固いようだな……」
シャアさんは、私を優しく撫でた。その瞬間、私はシャアさんと心が繋がった気がした。
これが主人公補正!! なるほど!!
「まさか、ララァと同じ……」
「シャアさん!! 私をシャアさんの仲間にしてください!! シャアさんは特別だと思います!!」
「いや…………ぉ゙っ゙、分がっ゙た」
断ろうとする気配を感じたので、私は思いっきり抱きついた。強化された肉体は、成人男性以上のパワーを発揮するのだ! 断ろうとするなら、このまま抱き潰されるかもね!!
「すみません、力加減が分からなくて……」
「以後、気をつけてくれたまえ」
シャアさんは、よほど苦しかったのかマスクを取っていた。金髪のイケメンですよ! 金髪のイケメン! これは、主人公だってはっきり分かんだね!!
私は、シャアさんの艦でシミュレーターや実機での訓練をしていた。
「アステラちゃん、ホント射撃がダメだな」
「動いているものに当てるのは難しいんですよ! アポリーさんだってシャア大佐よりも下手じゃないですか!」
「大佐は特別なんだよ。その代わりと言ってはなんだが、アステラちゃんは格闘戦は抜群だぜ」
「そうでしょうそうでしょう。ふふん。私、生身でも強いですからね」
「モビルスーツ乗りじゃなくて特戦群に入った方が良いんじゃないの?」
「うーん。そうかもしれないです」
シャア大佐は、ララァちゃんと敵を倒しに言っているらしい。ララァちゃんはデカいモビルアーマーを使っているようだ。名前は確かバーキン、いや、エルメスだったっけ……?
前世だと、バーキンのオールヘビーにしたワッパーが好きだったなぁ。
「シャア大佐、お帰りなさい!! あれ、ララァちゃんは…?」
「……死んだ。奴に殺された」
ララァちゃんが死んだらしい。そして、シャア大佐が凄く落ち込んでいる。
漏れ伝わった話を聞くと、連邦の白い奴にやられたそうだ。よくもララァちゃんを殺したな白い奴め! 私が仇を討ってやる!
ア・バオア・クー要塞なるところに、シャア大佐は赴任した。部下の私たちもそれに付いていく。
青葉城みたいな名前である。仙台名物の牛タンが食べたい。
「シャア大佐、白い奴は私が倒しますからね!! このゲルググ・アステラちゃんカスタムで!!」
「…………そうか。死ぬなよ」
シャア大佐はララァちゃんが死んでから塩対応である。カスタムした私のゲルググちゃんは、増槽をこれでもかとマシマシにして速度特化にしたのだ。武器は両手のビームランス2本だけ! 近接格闘仕様だ!
速度で敵に突っ込む。増槽兼装甲がやられてもパージして格闘戦に移行するのだ!! 賢い。我ながら天才的なアイデアである。
「大佐、そのモビルスーツ脚が付いてませんよ。脚が無いとあん巻きバックが出来ませんよ!」
「AMBACのことか? 整備士は脚なんて飾りだと言っていた。アステラ。奴との間に割り込むな。これは、私の意地だ」
「はい! 分かりました!」
賢いので、私はシャア大佐の言葉の裏を理解した。つまり、私が突っ込んで白い奴を落とせば良いんだな!! ふふ、私は賢い!
「アステラ・フラナガン准尉。ゲルググ・アステラちゃんカスタム出ます!」
「…………なんて?」
「ゲルググ・アステラちゃんカスタム出ます!!」
「……?? 俺の耳がおかしくなったか??」
「なんですか?? 私のネーミングセンスに文句が有るんですか??」
「……当該機の発進を許可する」
管制官のおじさんは、私のネーミングセンスに文句が有るらしい。ゲルググ・アステラちゃんカスタムで悪いか??
ちなみに、フラナガンと言うのは自分で付けたファミリーネームだ。フラナガン機関は、私を処分しようとしたけど、良くしてくれたからね。
「そこだな。白い奴!! いざ尋常に勝負!!」
「中隊長!! 敵モビルアーマーです!! 突っ込んできます!!」
「馬鹿な…! 早すぎる! ぐぉっ゙」
「中隊長ー!!!」
「中隊長がやられた…?? ひ、怯むな! 我が小隊は距離を取れ!! 奴に遠距離武装は無い!! 面制圧しろ!!」
白い奴が多すぎませんか?? シャア大佐の仇は、連邦軍の白いモビルスーツだ。水色の玉っぽい奴でも、戦艦でもない。
赤い盾を持った白い奴がいっぱいいる。増槽付けたまま辻斬りしてるけど、もしやコイツらじゃない??
「隊長の仇ぁ!!」
「ん。コイツで良いか?」
「ひっ、コントロールが!? こ、子ども!?」
コクピット部分だけにした敵のモビルスーツを拉致する。
「お姉さん、連邦の白い奴って知ってる??」
「それは、ガンっ、ぁ、」
突然のビーム!! オラッ! 人質シールド!!
「あっは。盾になってくれてありがと。アイツか……ララァちゃんの仇は。殺したらシャア大佐は褒めてくれるかな?」
死角からビームを撃ってくる卑怯者だ。尋問しようとしていた敵のお姉さんを盾にしなければ、私は死んでいた。
「アイツ……ジムのコクピットを盾にしたのか」
「……チィ! ちょこまかと!! 逃げるな卑怯者!! 来いよ白い奴!! 銃なんて捨てて掛かってこい!!」
「シャアじゃない。誰だ? 一体誰なんだ?」
「……ちょっ、待っ。遠距離から一方的に撃ちまくるのはルールで禁止スよね???」
白い奴は、ゴキブリのようにすばしっこかった。こちらは回避しか出来ない。しかも狙いが正確でありビームが掠ってるぅぅ。
「ぬわっ!? に゛ゃ゙っ゙!」
増槽が剥がされてしまった。これは無理だ。よし、そこら辺の敵を人質にしよう。
「待って!? 許して!? ぁぁぁぁぁ!! ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙!! 当たってるから!!? 痛い!! 痛いんだよぉ゙ぉ゙ぉ゙!!」
「アステラ。先走ったな。アムロ。お前の相手は私だ」
私のピンチを救ったのはシャア大佐だった。カッコいい。イケメン。やっぱ主人公は違うね!!
よし、補給と応急整備だ。増槽兼装甲を剥がされたので、今の機体は単なるビームランス持ちのゲルググだ。これではいけませんね。
補給して、敵を倒すぞ! シャア大佐の役に立つのだ!