【完結】シャア大佐すこすこスコティッシュフォールド 作:むにゃ枕
シャア大佐がトチ狂って全世界を滅ぼそうとしてる。私としても、アスタロスなるハイパーミントとかスーパーセイタカアワダチソウにより、ご飯が食べられなくなっては困るのだ。
シャア大佐がどうして世界を滅ぼそうとしているのかは、よく分からない。言われてみれば、エゥーゴでも私と会う時は暗い顔だった気がする。何故か接近禁止令が出てしまい、シャア大佐を慰めることが困難となってしまったが、もっと私に出来ることが有ったのかもしれない。
「アステラちゃんがクワトロ・バジーナ、もといシャア・アズナブルのストーカーだったからじゃないのか?? あの人、アステラちゃんが嫌で世界を滅ぼそうとしてるんだよ」
「嫌だなぁ。アストナージさん。シャア大佐はそんな人じゃ有りませんよ。シャア大佐はイケメンで、凛々しくてカッコいいですから!! もっと大義のために世界を滅ぼそうとしているに違い有りません!」
「そうか…?? クワトロ大尉にそんな余力が有ったか?」
「むむ…そう言われるとそうかもしれません。私が大佐を追い詰めてしまった」
「アステラちゃんは美人だけどさ、距離感ってものを覚えた方が良いぜ」
なるほど、良いことに気が付かせてもらった。アストナージさんに、後でパインサラダを奢ろう。
ストーカーと化したアステラちゃんに嫌気が差してロンド・ベルを逃げ出し、世界を滅ぼそうとするなら、シャア大佐には逃げられない環境が必要なのではないだろうか?
逃げられない環境……
セックスしないと出られない部屋……
過酷なオナニー……
過酷な環境……
すっと、私の脳内に天啓が降りてきた。そうだ木星に行こう! 木星ならシーマ艦隊のみんながいる! 木星は過酷で閉鎖的だ。生物は過酷な環境に追い詰められると性欲が高まる。それに、閉鎖的な空間なら単純接触効果で、一緒にいると好感度が否応なしに上がるはずだ!
シャア大佐を拉致して木星で、シーマ艦隊のみんなと暮らせば良い! シャア大佐は、全世界を敵に回したのだから、普通に負けて処刑される可能性が高い。
それなら、拉致ってもバレへんか……
よし、ロンド・ベルを抜け出して、シーマ艦隊と仲良しだったオサリバン専務に事情を聞こう。あのオッサンとは仲良くやっているのだ。アストナージの整備したモビルスーツも借りパクしていくぜ。
「ヒィッ、なんだ、アステラか……私の部屋に黙って入ってくるのはやめてほしいな」
「でもロンド・ベルのこわ〜い憲兵に雪崩込まれるよりは良いんじゃない? はい、ロンド・ベルの作戦計画ね」
「助かる。いつも済まないね。で、何が知りたい?」
「シャア大佐が今、どこに居るか」
オサリバンはしばらく目を瞬かせ、その後にやりと笑った。
「それならば都合が良い。シャアはウチのモビルスーツを使ってる。予備部品の納品船がすぐ出る予定だ。そこに乗っていけ」
「どうも。恩に着る。あと、木星船団のチケットを2枚取っておいて」
「ほう。シーマのところに行くのか? 誰とだ?」
「シャア大佐と。ロンド・ベルには黙っといて、いや、喋っても良いよ」
「拷問はゴメンだ。バレたら話すさ」
とまぁ、すんなりシャア大佐の居場所は掴めた。目標はスウィート・ウォーター。名前通りに、甘々な警備であれば良いのだが……
ロンド・ベルでは、アステラの失踪が話題となっていた。彼女の部屋には、「シャア大佐を捕まえに行きます。アストナージさんには、パインサラダを奢ります」と書かれた置き手紙があった。
「なんだアムロ?」
「アステラからお前宛に置き手紙があった」
アムロに連れられたアストナージが、アステラの部屋を覗く。
「おいおい。パインサラダを食うには大金じゃないか?? モビルスーツの納車代としては安いけどよ」
「アストナージ、最後に会話した時には変わった様子は有ったか?」
「アステラちゃんに、シャアとの距離感を考えた方が良かったんじゃないかって話したんだ。思い詰めては無かったと思う」
「そうか…。奴の機体は、ご丁寧にIFFもT-CASも切ってる。追跡は難しいな。俺たちは俺たちでやれることをやるしか無い」
アステラはベテランパイロットらしく、何気なく出撃し何気なく消えたのである。未帰還であると騒がれるまで、アステラ機が戻ってきていないことに誰も気が付かなかった。
「ワイアット中将からだ…。艦内に流せ」
ブライト・ノアがそう命じると艦内のあちこちにあるモニタやスクリーンに、映像が写し出された。
ブリッジのメインスクリーンには、湯気の立つ紅茶カップを片手に椅子に座るワイアット中将が写し出されており、隣にはジョン・コーウェン准将が立っている。
「諸君。いきなりで済まない。我々の襲撃目標は連邦議会だ。議会を急襲する。頭の固い連邦議員の皆さまには、我々宇宙艦隊の苦労を知ってもらわねばならん。やれスペースノイドだ。やれアースノイドだと、いつまで現場でいがみ合っている必要がある?
シャア・アズナブルのようなテロリストの策に乗るのは、些か剛腹ではあるが、我々の手で連邦政府の改革を行う。ジオン残党というテロリストどもにデカイ顔をさせておけるのは、今日この日までだ。大義を奪われたテロリスト共が、腰を抜かすのが目に浮かぶぞ! 地球圏の平和を取り戻す! 各員、義務を果たせ!」
ワイアットは演説を終えた。彼の脳裏に浮かんだのは木星であった。パプテマス・シロッコという小僧が、舐め腐った態度でワイアットに支援を求めてきたことを彼は忘れていない。
何が地球圏へ送るヘリウム3を止めるだ。エネルギーを握っているからと言って足元を見やがって。
ワイアットは面子を重視する男である。自身を舐めたパプテマス・シロッコと木星。それに対して注意を向けるのは当然だ。
「……木星連中の好きにはさせん。そのためには地球圏をなるべく早く固める他ない。スペースノイドにも多少は配慮してやらねばな」
ワイアットは柔軟な男である。そして、地球連邦政府に忠実でありつつ、異議申し立ても躊躇しない軍人でもあった。
これは、勝ったかもしれん。アステラちゃんが潜入したスウィート・ウォーターの警備はガバガバだった。
歩哨に、シャア大佐に緊急の用事が有りますと伝えると、すんなり大佐の居場所を教えてくれた。
2人で歩いていたジオン軍人のお姉ちゃんたちを、気絶させてスッポンポンにして縛る。全裸にさせておくと羞恥心で助けを呼びにくいらしい。
1人は失禁しているのでこっちの服はダメだ。もう1人は漏らしてない。こちらを拝借する。これで変装完了だ。
シャア大佐のいらっしゃる御屋敷の警備もザルだった。本当に真面目に戦争をする気があるのだろうか?
「ここで、連邦軍に身柄を引き渡されるか、私とフォン・ブラウンで一緒に生活するかどっちが良いですか?」
「決まっている。前者だ」
ひぃん。傷付いた。もしかして私、嫌われている? 私に利用価値があるうちは大佐は感情よりも理性を優先するはずなのだけれど。
「はぁ、嫌われたものですね」
「当たり前だろう!!」
もう良いや。拉致っちゃお。シャア大佐を麻袋の中に詰め込んで車で船まで運ぶ。ノーチェックですんなり行けたぜ。
そもそもシャア大佐の軍隊、急ごしらえすぎて制服とかバラバラだ。ジオン共和国やアクシズ、旧ジオン軍とか色々な制服が混じっている。これ、マトモに戦えたのかなぁ……
この後、アナハイムの船は木星往還船ジュピトリスに行くらしい。ジュピトリスに乗り込んで地球圏とはおさらばである。
アストナージさんはパインサラダを食べられただろうか。たくさんお金を置いてきたので、きっと大丈夫だと思う。
ジュピトリスに着くと、船長のパプテマス・シロッコさんが出迎えてくれた。良い人じゃん。カリスマがある。イケメンだ。
「オサリバン専務から聞いているよ。ガラハウは良くやっている。新たに加わる仲間はいつでも歓迎だ」
木星は過酷であるため、地球連邦政府や地球連邦軍からお金をふんだくりたいらしい。シロッコさんは、ワイアット中将とやり合いながら、なんとか資金を確保したと言っていた。ふむふむ。
目を覚ましたシャア大佐の目がレイプ目になっていたが、心の傷は時間が経てば癒えるはずである。
木星だから逃げる場所もない。アストナージさんの言うように急激に距離を近づけ過ぎたのだ。ゆっくりやろうではないか。
もう逃げられませんよ。私を好きになってもらいますからね。シャア大佐。