「はあっ……はあっ……」
「何で……こんなことに……」
葉がこちらの世界に来て1週間。今俺たちは、
「おい!見つかったぞ!!」
―――追われていた。しかもかなりの手練れに、だ。
「きたぞ!」
葉が叫んだと同時に、色とりどりで無慈悲な弾幕が襲う。
「つっ……」
俺はパソコンを後ろに向け、ルーミアの弾幕を出す。弾が相殺され、弾を撃った反動で一気に加速する。これは最近編み出した技、
「つあっ!」
葉のほうは、取り出した剣で弾を薙ぎ払っていた。―――しかし2人とも体力が無くなってきて、かなり危険な状態だ。
……そろそろ説明しなきゃだめだな。なんでこんなことになったのか……
俺たちがこちらの世界に転送されてから1週間、葉はずっと修行していた。まあ確かにあのレベルの敵がぞろぞろ出てくる世界だ。厳しい修行が必要だろう。
俺も何度か様子を見に行ったが、その気迫は目を見張るものがあった。というか、あんなに必死になっていて体は大丈夫なんだろうか?
―――この疑問の答えは1つ。俺は葉に話しかけた。
「そんなに激しい修行ばっかりだと体壊すんじゃない?」
俺はおどけた口調だったが、葉はあいかわらず真面目な顔つきだ。
「いや……もっと強くならないといけない。せめて俺一人で操られている仲間を助けられるくらいには……な」
なるほど、葉は俺にシリアスなセリフを求めているんだな。だが俺にそんなことを求めるのは完全にお門違いなんだが。
あの時は結構真面目なこと言ったが、いつもの俺を見てごらん?一発でイメージが吹き飛ぶから。
「はいはい、そう固くなんないで。ちょっと来てもらいたいところがあるんだ。」
「いや……そんな時間は……」
「なっ、2人とも」
「そうですよ。息抜きは必要です」
「うんうん、少し休憩したほうがいいよ」
突然二人の大妖精に言い寄られ、たじたじになる葉。人っていうのは予想外の攻撃に弱いもんだ。
「よしわかった!で、俺を一体どこに連れて行く気だ?」
「まー行けばわかるって。1つだけ言うと……向こうの世界とは全く違う雰囲気だってことかな?」
葉を連れて、静寂に包まれた森を抜け、湖を越える。そこにとても大きな建物が現れた。
「なんだここは……」
葉が目を丸くして驚いている。無理もないな、こんなもの向こうにあるわけないもの。
「幻想郷に学校があるのか……」
相変わらず独り言をつぶやいている葉。そう、ここは俺の勤務している学校、幻想高校である。
ここの生徒や先生はみんなほんわかと楽しそうに暮らしているから、葉の緊張感を和らげるにはちょうどいいだろう。
「……と、いうわけで今日1日だけですがよろしくお願いします」
1年1組での紹介を終えた葉と大妖精。さっそくクラスのみんなが集まり、質問攻めにしていた。
特に、こちらの世界と瓜二つの大妖精に興味が集まっていた。
「そっちの大妖精はこっちの大妖精をどう思ってるんだ?」
魔理沙が質問している。なるほど、同じ大妖精だと性格が同じか確かめるんだな。
「そうですね、そちらの私は私よりチキン野郎ですね」
いきなり大妖精が毒を吐いた。いや、どっちかっていうとこっちの大妖精は勇気があると思うが……
「どういう事だぜ?」
「私ならさっさと言ってしまいます。まったく……あんなにチャンスがあるのに……」
「ああ、そういうことか……」
大妖精がさっさという?つまり、普段は無口なキャラということか?
「ほんとに……頑張ってください」
「お前、あっちの大妖精に負けるな!」
魔理沙が励ましている。よくわからんが、思ったことはちゃんと言った方がいいぞ。
「優斗は本当にあれだな……」
「あれって?」
急に葉からあれといわれてもな……文には述語が無いと。
「それじゃあ、ちょっと校舎内を見て回っていいか?」
「ああ、俺が案内する」
この時2人だけで歩き出したのが、悲劇の引き金だったんだな……
コラボ編もガラッと雰囲気が変わり、こちらの世界のお話でした!
今回は優斗がどれだけ無自覚かを書きたかったです。あそこまで行くと逆に感服しますよねw
次回、いよいよ謎が解けます。優斗たちが追われていた相手とは―――もう少しだけお待ちください!
ではまたお会いしましょう!