東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

26 / 96
第二十六話 逃走の原因

ただ今全力で逃亡中の俺と葉。今さっきの敵をまいてつかの間の休憩タイムとなっている。

 

見たところ、もう完全に包囲され、出口も封鎖されてしまっているようだ。なんか絶望的な状況だな。

 

「なあ、こんな時に役立つのがあの人じゃないか?」

 

あの人?ああ、俺たちを助けてくれた人ね。

 

「まあ、やってみる価値はありそうだな」

 

「よし、じゃあ行くぞ!せーの―――」

 

「「助けて~ゆうかりん~!」」

 

 

 

 

 

大妖精が質問攻めにあってる間、俺は葉に学校の紹介をしていた。

 

やっぱり葉はすごく驚いてたな。というか驚いてくれないとここに連れてきた意味が無いのだが。

 

「どうだったか?」

 

大体の場所を紹介し終え、感想を聞く。そしたら予想通りの答えが返ってきた。

 

「すごく楽しかったし、驚いたよ。優斗っていつもこんな調子なんだな。逆に感服した」

 

なんか逆に驚かれてしまったぜ。―――葉の顔を覗き込んでみると、向こうにいたときは考えられないくらい幸せに満ちていた。

 

「少しは息抜きになったか?」

 

俺の質問に、葉はぱっと顔を明るくした。

 

「ああ、すごく楽しかった!これでまた頑張れそうだ!」

 

葉の嬉しそうな言葉に思わずほほが緩み、大きくうなずいた。

 

「あら、優斗。そっちの人が大妖精ね」

 

「おお、これが異世界から人間か」

 

和気あいあいと話してる中、突然角から現れたのは体育の先生、一輪&雲山だった。そういえばさっきまで1年1組の授業体育だったな。

 

「さっきの時間ね、別の世界の大妖精も授業に参加してたわよ」

 

「へえ~どうでした?」

 

声に出して反応する葉。確かにこちらとあちらの大妖精で身体能力に差があるか気になるな。

 

「……だいぶむこうの大妖精が勝っていた。クラスの中でもかなり高いレベルじゃった」

 

「へえ~」

 

なるほど。あちらは殺伐としていたから、力が付いたのかな?

 

「まあ……こっちの大妖精は弱くて守ってあげたくなっちゃうところが、男が悩殺されるポイントなんだけど……」

 

「え?何ですって?」

 

あまりに一輪がぼそぼそと喋るので聞き取れなかった。

 

「大妖精……頑張れ……」

 

葉に肩をポンとたたかれた。葉には聞こえたようだけど、なんで俺の肩なんか?

 

「まあそれはそうとして、さっき変なものを見たんだけど何か知らない?」

 

唐突に一輪先生に質問された。

 

「何ですか?」

 

「ええ、全身真っ黒で人間の形をしていたのよね。あと、なんだか丸っこかったわ」

 

「―――えっ……」

 

―――一瞬、意識が飛んだような気がした。

 

「……それはどこにいましたか?」

 

「え?ああ、一年生の教室に行ったわ」

 

「すみません、ありがとうございました」

 

2人にくるりと背を向け、早歩きで歩き出す。まさか……考えたくはないが……

 

「おい、一体どうしたんだ?」

 

事情を呑み込めない葉が質問してきた。そうだよな、葉はあの式神のこと知らないもんな。

 

「実はな……」

 

気持ちが急いてる中、俺は早口で説明した。弾幕ごっこ中にさっき言われた特徴に当てはまる式神が現れたこと、俺たちに襲ってきたこと、実際に俺が怪我したことを。

 

「え!?じゃあその式神が……」

 

「校内に侵入したかもしれない」

 

 

 

一年生のフロアに行くと、思った通りあの式神らしきものがいた。前のよりなんだか背が高いな。別の仲間か?

 

「おい、今1組に入ったぞ!」

 

葉が目を見開くと同時にあの式神が1組に入った。どうするか……って、答えは1つだよな。

 

「突入するぞ葉」

 

「ああ、もちろんだ」

 

俺はパソコンを起動し、葉はいつでも剣がだせる状態になった。よし、準備完了だな。

 

「よし、ドアを開けるぞ」

 

葉が組のドアを開け、1組の部屋の中に一気に突入する……1組だって?

 

背筋にゾクリと寒気がした。1組ってもしかして……

 

「だめだ、開けるな葉!」

 

「へっ?」

 

時すでに遅し。だった。

 

「ふえっ、優斗?―――わあっ!何開けてるの!」

 

「葉さん……やるならもうちょっとこっそりやった方がいいんじゃないですか?」

 

着替え中だった。盛大に。盛大にって日本語おかしいと思わなくもないって、何混乱してるんだ俺。

 

みんな体育着から私服へ着替えてる途中で、着替え終わっていたのは幻想郷最速の文とまめな霊夢くらいだった。

 

しかも最悪なことに一番近くにいたのが今まさに体育着の上下を脱いで、ワンピースを着ようとしていた大妖精2人。なんかもう絶望的だな。

 

「わあっ!ごめんなさい!」

 

慌てて葉が扉を閉める。どうしよう、葉に責任を押し付ければ許してもらえるかな。いや、どうせ俺も同罪って言われるな。

 

「優斗ぉ……なんか教室の中からただならないオーラが……」

 

うん、今にも俺たちを殺すといわんばかりに伝わってくるね。

 

「優斗……俺たちはどうすればいいんだ?」

 

「2つの中から選んで。1、今すぐ土下座して謝る(ピチュる確率100%)

           2、一か八か逃げる(ピチュる確率99.9%)   」

 

「なんだその絶望的な選択肢は!」

 

「さあ、どうする?」

 

「もう……2しかないだろ!」

 

「OK、地獄の逃走劇の始まりだな」

 

 

 

 

 

そして今に至っている。シリアスだって?何の話だ。

 

「スキマが開いたぞ!これで助かる……」

 

葉がほっと息を漏らす。

 

「どう、楽しんでもらえたかしら?」

 

スキマから現れた紫が持っていたのは真っ黒な布。まさかあの式神って紫……

 

「優斗、あなた葉に楽しんでもらいたかったんでしょ?だから協力してあげたのよ」

 

「「楽しくねえよ!むしろ死にかけてるよ!」」

 

俺と葉のツッコミが一言一句合わせるように被った。

 

「ええ、まあ私も楽しかったわ」

 

「うむ、まあ頑張るんじゃな」

 

紫の後ろにひょっこりとあらわれたのは一輪と雲山。2人も一枚かんでたのかよ……

 

「じゃ、がんばってね~」

 

そういうとスキマが閉じてしまった。あんのBBA……あとで藍先生に言ってやる。

 

「今回はおとがめなしですよ。面白かったので」

 

2秒だけスキマが現れ、藍が言い残していった。ああもういいよ……

 

「優斗、もう逃げるしかない……」

 

ああ、こうなったら全力で逃げてやる。

 

「「もう終わりですよ」」

 

背後から一番見つかりたくない相手から冷徹な声が聞こえた。

 

「大妖精、あれは事故だったんだ。な?」

 

葉が何とか説得しようとする。まあ、結果は分かってるけどな。

 

「だめですね。下着を見られてすぐ許すほど温厚じゃないんです」

 

「もちろん優斗も同罪だからね?」

 

やっぱりか……こっちの大妖精も厳しいなー

 

「くっそ……」

 

葉が後ろを向いて逃げ出そうとする。

 

「そうは問屋がおろさないぞ?」

 

しかし後ろには慧音がいた。

 

「慧音先生、あれは事故なんです……わかってください」

 

慧音に泣きつく葉。もういいよ……どうせ、

 

「自業自得だ。あきらめろ」

 

こうなるからな。はあ……今度は何時間で終わるかな……

 

「優斗、何とかしてくれ!」

 

最後の希望とばかりに俺に聞く。

 

「うん……ほんとにきついから覚悟した方がいいぞ」

 

「へっ……」

 

そのまま前と後ろから迫ってきた弾にフルボッコにされた俺たちだった。

 

 




コラボ編第四話となりました!

シリアス?何それ新しい宴会のネタですか?こちらの世界にシリアスなんてほとんど存在しませんよ。

ちなみにあの後二人は、クラスのみんなにそれはそれはきつい折檻を受けたようですよ。

ではまた次回お会いしましょう!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。