12月31日、大みそかの今日はあの作戦を実行する日だ。
珍しく8時前に目が覚めてしまった。緊張でもしているのだろうか。
最近、相談事を引き受けるのが少し怖くなってきた。失敗=死ってのは絶対におかしい。
でも、この状況を軽く楽しんでる気もする。幻想郷に順応してきているのだろうか。それならそれでいいことだが。
さて、朝食でも作っておくか。
午前中はもうやることが決まっている。これを見ないと年越しができないあれだ。
こたつに寝っころがって、左手で頬杖をついて右手でマウスを動かす。幸せだ。
「ふふっ……くくっ……」
まずい、笑いをこらえきれない。別に笑ったって大妖精に変な目で見られるだけなのだが。
不思議そうなまなざしで大妖精がこっちを見てくる。まあ、パソコンの前で笑うやつ見たら引くよね。
「何見てるの?」
「ああ、これはだな……」
「何これ? 藍先生と橙がいるね」
「これはな、パラレルワールドの2人が漫才しているんだ」
今見ている動画は、「東方S-1ぐらんぷり」。いろいろな漫才コンビが優勝を目指してネタをぶつけあう二次創作アニメだ。
「あれ? ここって学校?」
「そう、学校で橙が作文を読んでてな……もう最高なんだ」
橙がとことんゆかりの悪口を並べ立てて藍を困らせるというネタだった。
橙がしゃあしゃあと悪口を言っていて、それを聞いた藍が必死に弁解をしていて、本当に面白い。
「さて……次はっと」
このまま優勝コンビだけを贅沢に見続けようか。いや、敗者復活のコンビだけを見るのも悪くないな。
この選択は大事だ。しっかりと考えなくてはならない。と、思っていた矢先、
ピンポーン
どうやら来客が来たようだ。
「まさかあいつらじゃないよな……」
あの巫女たちが来たら今度はバケツに目いっぱいキンキンに冷えた水でも出そうか。
大妖精がドアの方へ向かってくれている。わざわざこたつから出る必要もあるまい。軽いこたつ中毒になっているし。
「はーい、いらっしゃい……うわっ!?」
大妖精がドアを開けると同時に誰かが飛び込んできた。軽いからだが吹っ飛ばされる。目を回していないか心配だ。
なんとこっちに走ってくる。部屋で暴れまわっちゃいけませんって習わなかったか?
「優斗、さっさと数学教えるんだぜ!」
「まず大妖精を起こしてからにしろ」
「いや、もう助けてあるぜ」
反射的にドアの方を見てみると、
「まったく……あんまり無茶をするなよ。大妖精の方は問題ない。まだちょっと錯乱状態だけど」
「あれ? 霖之助先生、付き添いですか?」
「付き合わされただけだ」
要約すると、元気すぎる魔法使いこと魔理沙が宿題を聞きに来た。そのお供、というか荷物持ちで国語の教師の霖之助も来ている。
「いや~さすが優斗だな。まさかこんなに早く終わるとは思わなかったぜ」
「ふむ……さすがだね」
魔理沙だけでなく、隣で見ていた霖之助にもお褒めの言葉をいただいた。
その後、魔理沙と大妖精はどこかへ出かけて行った。
取り残された俺の霖之助はいろいろとだべっていた。途中でよく分からない質問をいくつかされたが。
ところで、魔理沙って霖之助のことをどう思っているんだろうか。
もしかしたらひそかに恋心を抱いてたりするのだろうか。けど、魔理沙をよく見ていてもそんなそぶりは一切見えない。俺の予想はまだ自覚が無いが、少しは好意を持っている程度だと思う。
ただ、フラグクラッシャーで有名な霖之助のことだ。どうせ気づかないのだろう。
少しは俺を見習ってほしい。誰からもフラグが立ってないから壊すこともないからな。なんだか悲しくなってきた。
少し自己嫌悪をしたところで、大妖精たちが帰ってきた。霖之助も、お昼ご飯の用意をするからと言って、魔理沙と一緒に帰って行った。末長くお幸せに。
「さあて……準備をするか」
「うん。行こう……あそこに」
その後、俺たちも外出した。目指すは今回の作戦に絶対必要なあの人物の家。
そこへ向かっている途中、どこからともなく黒い雲が心をよぎった。
「しかしなあ……本当にうまくいくのか……」
「あれ? 私が信用できない?」
怖いっすよ大妖精さん。
「いや、そういうわけじゃないんだが」
「じゃあ大丈夫! 私に任せておいて!」
ドンと胸をたたいて誇らしげな顔になっている。こういう動作を見るとやっぱり少し幼いんだなって思う。
そんな感じでしゃべっている内に、あの人の家へと到着した。
第三十八話でした。フラグが立ってない?ネタですか?
作品中に出てくる「S-1ぐらんぷり」は有名なあれとは全く関係ございません。ゴメンナサイ嘘です。
個人的にM-1は、お空がボケで雛がツッコミのコンビ作ったら最強だと思います。あ~るの~とさんお願いします!
では!