東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

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第三十九話 一年の回想

午後10時、俺たちは博麗神社のこたつで温まっていた。

 

別に霊夢だけに協力するわけではない。博麗神社の方が近いだけなのだ。ただ、これから関係なくなるのだが。

 

「はあ……しっかしあんたらもよく考えたわね」

 

霊夢がつぶやきながら隣に座ってきた。手にはお盆に乗った3つの湯飲み。

 

「まあ俺が考えたじゃないんだけどな」

 

「あら、大妖精なの?」

 

「そうそう。何か変?」

 

「いえ、いいアイデアだと思うわよ。ただ、妖精がこんなこと思いつくんだって驚いててね」

 

「まあチルノだったら絶対無理だっただろうな」

 

妖精にだっておつむの違いはあるものだ。頭がいい妖精が並の人間レベルと考えると少々悲しくなるが。

 

「ほら、せっかくこの私が入れたのよ。飲んだら?」

 

「ああ」

 

悲しい事実を忘れるように、湯呑みを口に運ぶ。

 

「熱っ!」

 

「ふふ……かかったわね」

 

「優斗、舌大丈夫?」

 

「ぐ……なんて奴だ」

 

まさか報復に熱湯攻撃とは……舌が天に昇ってしまいそうだ。しかし、目には目をだ。反撃開始。

 

「ふふ……なかなか面白かったわよ」

 

「よっし、お賽銭箱を持って行こう」

 

「うん、これで守屋神社は大盛況だね!」

 

「ごめんなさい、それだけは勘弁してください」

 

案外ちょろかったな。大妖精との連携攻撃で完全勝利だ。なんだよ連携攻撃って。

 

協力しなかったらどうせお札が飛んでくるんだ。少しくらい文句を言ってもいいだろう。

 

お茶が適度の覚めるのを待ちながら、時が進むのを待つ。

 

あと数十分で日付が変わる。

 

思えばこの1年間は今まで生きてきた16年間より長く感じた。無理もない、幻想入りなんて特別な体験、普通出来ないもんな。

 

約8か月、幻想郷での生活をしてきて分かったことがある。

 

「なあ、大妖精」

 

「ん?」

 

「意外と幻想郷に飛ばされても何とかなるもんだな」

 

「どうしたのいきなり」

 

「まあ……ふと思っただけだ」

 

「そうなんだ。私はここで生まれたとき慌てふためいてたよ」

 

「あー……頭に浮かんでくる。霊夢が大人げなく弾幕飛ばしてくる姿が鮮明に見えるな」

 

「!? ちょっとひどいわね。こんな妖精襲うまでもないわよ」

 

「優斗、あれは嘘だよ。実際チルノちゃんの家に何度も押し入って……」

 

「さすが霊夢さんだ。清楚な巫女さんだとみじんも感じさせないな」

 

「2人して畳み掛けてくるんじゃないわよ!」

 

霊夢の強烈なツッコミをもらうと、俺たちは顔を向け合ってクスリと笑いあった。

 

恐らく幻想郷で一番深い関わりがあったのはこの大妖精であろう。

 

大妖精がいなければきっとチルノに凍らされて命を落としていた。

 

その後、居候させてもらって、本当に感謝している。面と向かって礼を言うのはなんか照れるからやんないけど。

 

小悪魔が周到に用意した悪魔のビデオの一件があってから、大妖精の印象が大きく変わった気がする。

 

前までは小さい子供ってイメージしかなかったもんな。今では他の妖精より少し、いやかなり、聡明で大人びていると感じている。

 

小さな体を持ちながら、それに合わない大きな心を持っている。こんなギャップのある女性を今まで見たことが無い。

 

また1年、お世話になるのだろう。

 

「優斗、時間だよ! 起きてる!」

 

「んあ……ああ」

 

頭の中で1年を振り返っていたら、日付が変わる10分前になっていた。さて、始めるか。

 

「2人とも、いよいよ実行の瞬間となったわけだが」

 

「最後にあれをやらないとね。私は準備万端だよ!」

 

「あまり気が進まないのだけど……本当に叫ばないといけないの?」

 

「こうしないと来ないからな。アイツは」

 

「はあ……わかったわよ」

 

この作戦を実行するにはあの人が不可欠だ。

 

あの人を呼ぶためには叫ばなければならない。3人で思いっきり息を吸い、ありったけの声を出して叫ぶ。

 

「「「助けて~! ゆうかり~ん!」」」

 

「はいは~い♪」

 




第三十九話でした。霊夢さん不憫……(特に後半)

次回はあの人が活躍します!もう仕組みはわかりますね!

では!
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