東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

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第四十二話 必死の抵抗

 俺と早苗がギャーギャー言い合っている間に、強大な怒のオーラがこちらへ移動してくるのを感じた。大妖精のものではない。それよりもっともっと威圧感のあるものが迫ってくる。

 

 もう一度よく考えよう。大妖精はおそらく着物を着たことがなかったはずだ。とすると、俺と大妖精と早苗以外でここにいる人物。怒らせると鬼のような形相になるあいつしかいない。

 

「ど、どうするんですか優斗! 霊夢さんが私たちにスペカの矛先を向けたらシャレにならないですよ!」

 

「原因お前だろうが。どうするもこうするもああするしかないだろ」

 

 2人で言い争っている最中に、障子が外れそうな勢いで開いた。お祓い棒とスペカを手にした霊夢の御開帳である。

 

 当然のごとく、ブチ切れているのがよく見て取れるが、それだけではない。軽く口角を上げているのに、目が全く笑っていないところが最上級にブチ切れていることを表している。

 

「霊夢さん、私悪くありませんよ! 優斗が『ぐへへ……』みたいな気持ち悪い笑みを浮かべてのぞいただけなんです!」

 

 こいつさっそく仲間を売りやがった。

 

「霊夢、それは全く事実とは違う。確かに俺は障子を開けてしまった。けど、それは早苗が仕向けただけなんだ。早苗がいなければ開けることは絶対になかった。いつもテストで上位を争っている霊夢ならわかってくれるよな?」

 

「いいえ! 私はきちんと止めたんです!」

 

「何言ってる。俺はきちんとお前に確認したんだぞ」

 

「そっちこそ何言ってんですか。結局見たんでしょ? 大妖精の」

 

「ぐ……それでもすべての責任は早苗に……」

 

「二人とも黙れ」

 

「「すいませんでした」」

 

 速攻で土下座タイムに入る。ひざを折って土下座モードに入るまでなんと0.93秒。のびたの昼寝並みに速い。

 

 やはり土下座慣れしてきたせいだろうか。嫌な慣れだな。

 

「二人とも安心しなさい。これは事故なんでしょ?」

 

 おっ、この流れは……

 

「『反則結界』から食らってもらうってことでいいかしら?」

 

 うん、まあこうなるよな。予想通り。全然うれしくない。

 

「霊夢さん落ち着いて……。事故、そう! あくまで事故なんですから。」

 

「早苗の言うとおりだぞ霊夢。いいか、これは不可抗力なんだ」

 

 一転、協力モードに入った俺たちに、霊夢は慈悲深い笑みを浮かべた。

 

「ええ、さっきからわかってるって言ってるじゃない。それより、せっかく正月になったんだし。今しかできない遊びをしましょう」

 

 ああ、そういえばもう日付は1月1日になっている。ただ、時間は午前2時。いったい何の遊びを……

 

「まずは朝日が出るまでちょっと待っててよね!」

 

「はっ?」

 

 急に飛んできたお祓い棒が脳天にヒットし、一気に視界が沈んでいく。

 

 最後の力で横をちら見すると、でっかい陰陽玉が早苗の体全体にぶち当たっていた。

 

 

 

 

 

「うあ……」

 

 目を開けた瞬間、視界が白くなった。ここは、外……? 

 

「おや、起きたんですか」

 

 早苗の声が背後から聞こえる。姿見えないが、かなり近い距離だ。

 

「いったい何がどうなったんだ」

 

「ふふ、説明してあげましょう。いまは朝の七時くらいです。で、ここは博麗神社の境内です」

 

 なるほど、あの後5時間ほど眠っていたのか。

 

「で、今私たちは縛られてるわけです」

 

「ふーん。――……は?」

 

「ですから、霊夢さんに縛られてたんですよ。どうなるんでしょうね」

 

「あ、確かに」

 

 俺たちは仲良く棒に縛り付けられていた。パソコンも手元になく、おそらくほどくことはできないだろう。

 

「あら、起きたのね」

 

「霊夢……どうする気だ」

 

「さっき言ったじゃない。お正月といえば羽子板でしょう?」

 

 意地の悪そうな笑みを浮かべ、ポケットから板を取り出す。

 

 何をするかと思えば、もう一方のポケットから針を取り出し、板でポーンポーンとついた。えっ? 嘘だろ。

 

「あのー……冗談だよな?」

 

「本気以外に何かあるの?」

 

「待て、落ち着け。マジで俺の残機が」

 

「大丈夫よ。コンティニューできるからっ!」

 

 やっぱり、羽子板で針をこっちめがけてついてきた。しかし、羽子板というものはコントロールが難しい。俺のギリギリ横をかすめていった。

 

「ふう……」

 

「優斗、安心している場合ではないですよ」

 

「へっ?」

 

 首だけを懸命に回すと、

 

「ふふ……5時間ぶりだね」

 

 背筋が南極並みに凍った。もちろん大妖精である。

 

 着物はしっかりと着ていた。緑が基調だが、ところどころに交じってる青の線が清らかな川を思い浮かばせる。帯は濃い緑で、薄めの布とよくマッチしていた。

 

 まてよ……ほめて何とかできないか?

 

「大妖精、その服すごく似合ってるな」

 

「ぶっ飛ばすぶっ飛ばす……――へ? そうかな?」

 

「ああ、大妖精の雰囲気にぴったりだ。可愛いぞ」

 

「そ、そうかなあ……へへ、ありがとう♪」

 

 さすが大妖精。この2言でここまでとは。いける、いけるぞ。もうひと押し……

 

「騙されるんじゃないわよ。さっき2人で決めたでしょう」

 

「……そういえばそうだね。いけないいけない」

 

 ムリデシター。

 

 あとはお察しのとおりであるので特に何も言わないでおこう。

 




第四十二話でした。

優斗も大変ですねー(他人事)

早苗は面白かったそうなんで満足しているのではないでしょうか。霊夢もSっ気が発動して楽しそうでしたね。やっぱり優斗しか損してない気が……ああ、大妖精もか。

では!

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