東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

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三学期
第四十三話 戦争開始 しかし優斗は相変わらず


 1月1日、新年早々刈り取られかけた命を、俺は何とかつなぎとめた。

 

 幻想郷に来てから、自然治癒力が飛躍的に伸びた気がする。土下座力と同じで、回数を重ねたらのびる力なのだろうか。いやだなあ……

 

 しかし、それ以外は平和に寝正月を過ごした。お昼前に起きて、ブランチを食べ、午後はパソコンをいじるか、ぶらぶらしに行く。最高だ。

 

 そして、新学期が始まった。いつも通り、スクールアシスタントとして、様々な教室に行って、補助をしている。あいかわらず、みんな勉学は苦労しているようだ。

 

 そしてそして、なんと残業が3学期入って1日もなかった。なんだろこれ、天国?

 

 俺が何かに巻き込まれるときは、何かの行事中が多い。正月を乗り切った1月なぞ怖くもなんともない。

 

 3月は弾幕ごっこ大会があるので何とも言えないが、少なくとも1月、2月は平気なはずだ。

 

 つまり2か月もの間、平和に過ごすことができ――

 

「おい優斗! 待ちやがれー!」

 

「待ってよー!」

 

「優斗……あたってもらうわよ」

 

「絶好のシャッターチャンスですね!」

 

 るわけないんだよなこれが。現在、魔理沙に大妖精、霊夢や文、その他もろもろに追っかけられている。

 

 さらに、楕円形の形をしたあるものが、俺の背中に数多くあたっている。が、弾幕ではない。

 

 別に、着替えをのぞいたとかそういう類ではない。そうだったら、ガチの弾幕が飛び交い、いまごろ追っかけっこは終了しているだろう。

 

 のぞいたときは、葉っていうやつと一緒にそれはひどい拷問を受けたんだが、わざわざ思い出す必要もあるまい。

 

 では、今飛んでいるのは?

 

 今日は2月3日、この日に投げるものと言ったら、

 

「それっ!」

 

「お空、その制御棒で打ち出すのはやめてくれ……」

 

「せやっ!」

 

「魔理沙、で投げるのやめろ!」

 

「お正月の弾幕みたいにいくよ! えいっ!」

 

「魔理沙に比べて投げ方が優しいな。――って、それ思い出させないでくれ大妖精……」

 

 豆しかないだろう。要するに、現在鬼の役として、2階建ての校舎を逃げ回っている。

 

 ちなみに、俺のほかに霖之助先生も鬼役だ。こういう時は、男に体力が押し付けられるものらしい。

 

 萃香と勇義がやればいい話だと思うのだが、2人が豆にあたると、本当に傷ついてしまうらしい。だからってなんで俺が……

 

 別に豆を投げられるだけなら構わない。問題は、

 

「むー、なんだかまどっこしいね」

 

「あのーフラン? その手に持っている紙切れを見るとすっごく嫌な予感しかしないんだが……」

 

「大丈夫大丈夫! ほんとのやつじゃないから!」

 

「そういう問題じゃなくて……」

 

「禁弾『スターボウブレイク』豆ばーじょん!」

 

「ちょ、痛、いたたたた!」

 

「よっし! かなりヒットしたね!」

 

 ここで豆を多くあてた生徒は、成績が上がるのだ。別に進学するわけでもないので、成績が悪くたってどうもならないのだが、みんなの中で燃えるものがあるらしい。

 

 それで、みんなガチで当ててくるのだ。八卦炉を使う魔理沙に、制御棒で打ち出してくるお空。とうとうスペカまで使ってきたフラン。いずれもテストの点はあまりよろしくない。

 

 超速で打ち出された豆は、時に立派な凶器となるって初めて知ったよ。

 

 まあみんなが楽しんでくれるならいいんだけど……教師ってブラックなんだな。

 

 

 

 

 

「ふあー、終わった」

 

 職員室で、大きな息を吐く。午前10時からお昼まで、2時間も走り回っていれば、息の一つくらい当然だろう。

 

「はい、お疲れさま」

 

「あ、ども」

 

 隣の霖之助からあったかいお茶を受け取った。普段運動してない、霖之助のほうが大変だったろう。

 

 見たところ、別に疲れてるしぐさは見えない。実は妖怪だから動き回れるのだろうか。

 

 まあいい。いまはゆっくりしよう。

 

「優斗ぅ!」

 

 ゆっくりできそうになくなった。魔理沙がここまで突撃してきた。あと、大妖精とチルノとアリスと……目がかすんできた。

 

「なんだ、魔理沙。今は少し休ませてくれ……」

 

 目を抑えながら魔理沙をたしなめるが、魔理沙は今にもしゃべりたそうな顔をしている。

 

「優斗、外の世界には2月14日にイベントがあるって聞いたんだが……ほんとか?」

 

 2月14日? ああ、あれか。

 

「あるけど……なんでまた?」

 

「2月って節分しかなかっただろ? 文に聞いたんだが、何かイベントが起こるらしいんだ」

 

「ああ、それはバレンタインデーだな」

 

「ほうほう。それはいったい?」

 

「まあ、簡単に言うと……普段感謝している人にチョコレートを贈るんだ。基本的には女子が贈るものだな」

 

 幻想郷にはバレンタインはなかったんだな。まだ外の世界で流行っているし、幻想入りしてなかったのだろう。

 

「それでだな、送るチョコには3種類あるんだ?」

 

「えっ? 感謝を伝えるだけじゃないのか?」

 

「いろいろ度合いがあってな……。友達同士で送りあうのが友チョコ。普段付き合いがあるからって、軽い気持ちで送る義理チョコ。」

 

「もう一つは?」

 

「これがバレンタインデーのメインといわれている。自分が思いを寄せている人に贈るもの、これが本命チョコといわれる奴だ」

 

「「何っ!?」」

 

 後ろからざわめきが起こった。チョコと一緒に思いを伝える文化はなかっただろう。驚くのも当然か。

 

「わかった。サンキューな」

 

「おい、もういいのか?」

 

 今のひとことで、みんな足早に去ってしまった。――ああ、もう昼休みも終わりか。

 




第四十三話でした。優斗は完全なるトリガーであった。

「幻想高校の日々」のほうで詳しく掘り下げていきます。こちらのほうは、おもに優斗、大妖精視点で進みたいと思います!

では!
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