東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

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第四十五話 優斗の天使と悪魔

「優斗さん、隣の部屋に行きましょう」

 

「誰がいるんだ?」

 

「ふふ……朝あなたに『て、照れるわけないでしょ!』って言ってた人ですよ」

 

「そんな言い方した奴なんて……なんかいたな。そんなツンデレっぽくはなかったぞ」

 

 俺の隣の社会教師か。え、もしかして今チョコ渡してるのか。この学校には文もいるし、すぐにばれそうなものだが。慧音にしてはちょっとツメが甘いな。

 

 おそらく、とてもいい気分で周りが見えなくなっているんだろう。それならばこちらとしても好都合だ。朝はあれだけそっけなかった慧音がどうなるのか、とても気になる。

 

「ほら、ここですよ」

 

「隣ってここかよ……」

 

 慧音、会議室で何をやっている。ここってあれだろ、幻想郷の従者たちが主たちの不満を集まって吐露するって噂の部屋だろ。

 

 それを全く気にもせず、さとりは数センチほど会議室のドアを開ける。半目でニヤつきながらこちらを手招きしてくる。無言でじっとこちらを見据えているその姿は、俺を悪いものに染めようとする悪意を感じさせた。

 

 どうする……俺の好奇心は俺をドアの前へと動かそうとしている。だが、理性の部分は……

 

 そう迷っていたら、突然心の中で天使と悪魔が出てきた。悪魔はさとりで、天使は大妖精。

 

 さとりには、まさに悪魔といえる羽や牙がついている。大妖精のほうはいつもの羽が、ふわふわで真っ白くなっていた。暖かそう。

 

「優斗さん、別に何も恐れる必要はありませんよ。どうせ、慧音さんはこちらに気づきません。どんな感じかのぞき――見学するくらいいいでしょう」

 

「ダメだよ優斗! これはプライベートなことなんだよ。見たら失礼だと思わない?」

 

「別にかまわないじゃないですか。今日は特別な日ですよ?」

 

「そんなの……関係ないもん!」

 

 頭の中でバタバタと手を振って反論する大妖精に、軽く笑ってしまう。もうちょっと冷静になればいいんだがな……それを求めても無理な話だ。やはり、チルノのお守役といっても、妖精は元気で子どもなんだな。

 

 なんだかとてもほっこりした気持ちになった。大妖精のことを考えていると、なんだか優しい気持ちになれる。それはやはり、彼女の長所だろうか。

 

 よし、のぞくのはやめるか。

 

「そんなことさせませんよ!」

 

 突然、脳内に誰かが乱入してきた。そいつは、白いシャツに黒ベスト、同じ黒のスカートで、ネクタイも黒な、本当の悪魔。小悪魔である。

 

「そんなつまらないことを優斗、あなたが見逃すんですか? あなたらしくもない」

 

「何言ってるのこあちゃん! 担任の先生でしょ!」

 

「もちろんそうだけど……いいの大ちゃん? こっちには……」

 

 不敵に笑って脳内小悪魔が取り出したのは、文字通り、悪魔のカメラ。

 

「この中には……わかってるよね?」

 

「う、うう……」

 

 そう、以前小悪魔の策略で、俺は大妖精に「好き」といったことがある。つーか、あれは大妖精も了承してたよな……やっぱり好きでもないやつにそう言われるのは黒歴史か。

 

「優斗、のぞいていいよ」

 

 ついに大妖精も陥落してしまった。

 

「むふふ……ついにあきらめましたか優斗さん」

 

 その声で一気に現実に引き戻された。うえ? なんで本当のさとりがこのタイミングで……おい、まさか……

 

「どうですか、私の能力は」

 

「待て、さっきの全部お前が? でも、心しか読めないんじゃ」

 

「私が異変の時、スペカをコピーしたのをお忘れですか。メディスンのスペカを覚えていてよかったです」

 

「んなっ……」

 

 じゃあさっきのは全部幻覚……なんでさとりがあのことを? 

 

――心読めるんだったな。なんというチート能力。

 

「ほら、のぞきましょう」

 

「は、はい……わかりました……」

 

 最後はなぜか敬語になってしまい、一緒に悪の道へと突き進んでしまったのであった。

 




第四十五話でした。これがさとりんクオリティ。

しかしさとりは幻覚を見せるだけで、そこから優斗が考えることまでは操れないわけで……

本当は今回で慧音をのぞき終わるところまで行く予定だったのですが……どうしてこうなった。

では!
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