東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

51 / 96
大妖精の弾幕ごっこ大会 の裏側で
第五十一話 仕事疲れの解消法


「ふああ……」

 

 今日何度目かもわからないあくびが出る。

 

 周りには誰一人としておらず、職員室の光は手元のライトしかなかった。外を見てみても、3月なのに雪が降っていて真っ暗だ。コートを持ってきていないので、帰りは寒いな抱えることになるだろう。

 

 視線変えて時計を見てみると、もう日付が変わろうとしていた。

 

 最後に俺の横を確認すると、テストの束が積み上げられていた。

 

「はあ……」

 

 状況を確認したところで、今日何度目かもわからないため息が出た。

 

 定期テストの採点は基本的に俺の仕事なのだが、いくらなんでも多すぎである。先ほど計算したところ、全体の90.4%が俺に割り当てられていた。前よりひどくなってないか?

 

 気合で1、2年生は終わらせたものの、3年生まで俺の担当なのは相当ツライ。

 

「ん、ああ……」

 

 背筋を伸ばして抵抗したが、今日はもう仕事をする気が起こらない。手元のライトを消し、学校を後にした。

 

 

 

 

 

 暖房がついているようで、扉を開けると暖気がふわっと顔にかかった。寒暖差で思わず身震いをする。

 

「ただいま~――って、起きてるわけないか……」

 

 天井の明かりはついているものの、大妖精はリビングにいなかった。もう寝てしまったのだろう。

 

 その証拠に、机の上にはごはんに味噌汁と3品のおかずがラップをかけた状態で置かれていた。

 

 そのラップの上には、かわいらしい丸文字で、「先に寝ます。たべておいてね」と書かれてあった。

 

 遅く帰ることに何一つ文句を言うこともなく、食事を作ってくれて本当にありがたい。

 

 手を合わせ、感謝して白米を口に運ぶ。

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 手を合わせ、深くお辞儀をする。このままお風呂に入って寝る、といきたいところだ。

 

 しかし、まだそれはできない。もう12時をとっくに回っているが、もう1か所行かなくてはならない場所がある。

 

 他の日に行けよ、と思われるかもしれないが、大妖精が寝ている今こそチャンスなのである。

 

 部屋の明かりを消し、もう一度夜の幻想郷へと歩を進めていく。冷たい風が再度、体全体を覆っていった。

 

 

 

 

 

 夜の減少今日は不気味で恐ろしい。真っ暗闇で、少しでも油断するとたちまち食べられてしまう。そんな想像をすると背筋が凍りつく。

 

 だからこそ、こうこうと光っている場所があると目につく。

 

 俺はとある店の明かりを見つけ、そのドアへ手をかけた。

 

「こんばんは」

 

「いらっしゃい。――おや、優斗じゃないか」

 

 その店主、森近霖之助は座ったままこちらに視線だけを向けた。

 

「今日は例のものを確認に」

 

「わかってる。今まで残業かい?」

 

「ええ、まあ。まだ相当残ってますけど」

 

 テストの採点は俺が約90%、霖之助が9%の割合になっていた。他の先生は俺に恨みでもあるのだろうか。

 

「まああの量だとね……。心中察するよ。僕も手伝いたいんだけど……」

 

「いえ、先生はこっちの仕事もありますし。とっても助かってます」

 

 いつも爆睡しているスキマ妖怪とかがやればいいんじゃないだろうか。

 

「それより優斗、こっちに例のものは用意してるよ」

 

 そちらを一瞥すると、俺の頼んだものが積み上げられてあった。

 

「いい感じですね。――あれ? 少し多くないですか?」

 

 が、少し数積み上げられすぎていた。俺は10数個ほど頼んでおいたのだが、その倍ほどありそうだった。

 

「ああ、それは僕の分だよ。君がやるんだったら僕もやらないと」

 

「なるほど」

 

 合点がいった。

 

 なら、今日はこれで正真正銘お仕事終了だ。少し頭が重いし、明日も授業。帰ってさっさと寝よう。

 

「では、あさってよろしく……ハックション!」

 

 さっきから寒気はしていたのだが、とうとうくしゃみが出た。

 

「風邪かい?」

 

「さっき寒い中歩いてきたからですかね……このくらい平気ですけど、おいしいもの食べてゆっくりしたいですね。」

 

 最近の激務に睡眠不足、相当免疫力が落ちていることだろう。何か精のつくものでも食べたくなってきた。

 

「そうだね、休んだほうが……ああ、食べるならいいものがあるよ。僕も最近聞いたんだけどね、味が良くて体にもいい食べ物があるそうなんだ」

 

「それはいいですね。どんなのですか?」

 

「多分そのあたりに……ああ、ちょうど来たみたいだ」

 

「屋台ですか?」

 

「その通り。ほら、耳を澄ますと聞こえるよ」

 

 人間の俺には聞き取れなかったのでドアを開け、闇のほうへじっと聞き耳を立てる。

 

 すると、聞き覚えのある美声が遠くのほうから聞こえてきた。

 

「うなぎー、うなぎー、ミスティアの八目鰻~。食べると目がよくなるよ~」

 

 なるほど、八目鰻か。目にいいという話だが、鰻は現代でも精のつく食べ物とされている。身体の疲労を取ってくれるだろう。

 

 食べている姿を想像すると、思わず顔がほころびた。思考することを忘れるほど、心が食欲に支配されていく。

 

「いいですね、さっそく行ってみます。今日はありがとうございました」

 

 外に出てみると、八目鰻と書かれた提灯が数十メートル先で光っていた。

 

 遠くに行かれては困るので、提灯が見える方向へ小走りで向かう。

 

「ああ、ちょっ! ――寝るのが一番効果的だからね……聞こえてないか」

 




第五十一話でした。家に帰ったら大妖精の手料理だと……爆ぜろ。

投稿遅くなってすみません! 風邪ひいてました!(一日で直ったので言い訳に使えないのは周知の事実)

では!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。