東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

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第六十六話 大妖精の成長と対戦相手

「よっと……」

 

 両側についている車輪の回転を腕の運動を止めた途端、大きな息が勝手に出た。自分で車輪を動かすなんて経験は当然初めてなわけで、ただ移動するのがこんなにも難しいなんて驚きだ。

 

 顔を上げると、1辺十数メートルの弾幕ごっこ会場が勝負を今か今かと待ち構えている。この後すぐ、大妖精たちの試合が行われる予定だ。

 

 それにしても、いい場所を確保することができた。リングの端から5、6メートル離れていて、空中戦も楽にみられるだろう。ただ、流れ弾は心配だが……。

 

「その時は私が吹き飛ばしてあげますよ」

 

「いつから俺の後ろに立っていた」

 

 安心と信頼のさとり先生登場。

 

「いやー、私ホントは審判だったんですけどね。大こあの活躍をこの目に焼き付けるためには、やっぱり優斗さんを理由につけてサボタージュするのが一番簡単ですね」

 

「人の質問に答えろ。あとなんでお前が外の世界のカップリング知って……いや、答えなくていいわ」

 

「外の女子高校生と交流あるって前言いませんでした? 今年18歳らしいですよ」

 

「ふーん」

 

「それで『これでR-18作品が描ける!』とか息巻いていましたけどね。結構変わり者ですよ」

 

「……そうか」

 

 なんだか聞き覚えがある特徴だが、気にしないでおこう。

 

「そんなことより優斗さん、そろそろ大妖精さんが入場……やべっ」

 

 目にも止まらぬ速さでさとりがひざを曲げ、俺を身体を壁にする。

 

「どうした、――ああ、なるほどな」

 

 反対側の観客席にわれらが校長、映姫が座っていた。足を組み、右手で強く握っている悔悟の棒を何回も太ももに打ち付けている。早い話、機嫌が悪そうだ。

 

「ちなみに代わりの審判は誰に?」

 

「……霖之助先生です」

 

「霖之助は確か魔理沙と行動してたよな……映姫が走り回って探したんだろうなー」

 

「それがわかっているならさっさと匿ってくださいよ」

 

「ええー、どうしようかなー」

 

「ちょっと⁉ お願いしますよ!」

 

 何だろう、この快感。自分にSっ気は無いと思うのだが。普段さんざんやられてることをし返すのはこんなに爽快なのか。

 

「まあ条件次第だな」

 

「別にパンツくらいなら見せてもいいですけど。ああ、上はつけてきてないんで勘弁してください」

 

「よくそういうことを白々しく言えるよな……」

 

 大人の本でありそうな光景だが、真顔で言われてもまったく興奮しない。しかもさとりだしなおさら。

 

「えっ、まだ足りませんか……仕方ないですね。今日はお空と寝る予定だったのですが……今日は寝かせませんよ」

 

「ちょ、さすがにやりすぎだ……」

 

「えっ? 別に私は優斗さんなら一向に構わないのですが……」

 

「その発言も十二分の問題だけど、この会話を大妖精に聞かれることがまずいんだよ!」

 

 思わず強い語気でさとりにツッコむ。さっきから微笑を浮かべてとんでもないこと言い放ってくるが、自分が言ってること本当に理解してるのか……。

 

「なるほど、氷の笑みで攻められた後に土下座コースですか。尻に敷かれてますねー」

 

「俺が言おうとしてたこと先取りするな」

 

「その優斗さんに対する強さが彼女をここまで頑張らせたのでしょうね。さあ、やっとゴングが鳴りますよ‼」

 

「すごく綺麗に収めたな……」

 

 車椅子の下から言われても、まったくありがたみがないのだが。

 

 再び会場の中心に向くと、霖之助先生が凛々しい顔で立っていた。いつもの目じりが下がった朗らかな顔とは一線を画している。

 

「ではこれから、弾幕ごっこ大会1年生の部、第八回戦を始める。対戦カードは1組対2組、1本勝負だ。では1組から入場だ」

 

 大きな拍手が当たりを包み込む。向かって左側からゆっくりと、そして大きく、2人が歩いてくる。

 

「一組側、大妖精&小悪魔ペア」

 

 ワーッ! ともう一度歓声が沸き起こる。

 

「優斗さん、どうせなら思いっきり声を掛けたらどうですか? これで最後ですし」

 

「最後って……ああ、一年生は最後だな。――じゃあせっかくだし、」

 

 いったん息を吐いて、集中。口元に全神経を集めて、

 

「大妖精ー‼ お前が出せる最高の力、出し切ってこい!」

 

 病人が出せる最大級の声をとどろかせた。

 

「おお、ちゃんと届いてますよ」

 

 しっかりと伝わったようで、こちらに向かって小さく手を振っている。大勢の前で緊張している中で、なんとか作ったはにかんだ顔がとてもまぶしい。

 

 出会ったころは弾幕ごっこのイロハも知らなかったのにここまで成長するとは……

 

「……大きくなったな」

 

「なーに保護者面してるんですか。ほら、相手が入場しますよ」

 

 今度は右側から、2組の精鋭が来る。

 

 どんな相手が来るのだろうか。もちろん厳しい戦いになることは間違いない。だが、2人の連携が決まれば……

 

「は?」

 

「えっ?」

 

 俺とさとりの間のぬけた声が同時に響く。大妖精たちの前に立ちふさがったのは、

 

「お相手にとって不足なし! 奇跡だけじゃなくて、実力だって兼ね備えてきましたよ!」

 

「早苗、そういう時に敬語はいらないんじゃない?」

 

 早苗と諏訪子。まごう事なき神様ペアだった。

 




第六十六話でした。意外と伏線マシマシだったり?  

そして恒例の、投稿遅れて申し訳ありません……ozn。こちらに使う時間がだんだん減ってきている……頑張らないと……

相変わらずの優斗×さとりですが、まさかここまでさとりが幅を利かせるとは……投稿当時は全く予想してなかったです。いまでは優斗×大妖精の掛け合いの次くらいに書いてて楽しいです。

ではっ!

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