東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

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第六十八話 決死の突撃

「早苗、楽々勝てるって言ってたあれ、なにかの冗談?」

 

「諏訪子様の腕なら瞬殺だと思ったんですがね……思っていた以上に成長しているようです」

 

「そーそー。まさかスペルを吐かされるなんて思ってもみなかったよ」

 

「小悪魔さんはスペルを持っていないのでこちらが有利なのは間違いありませんが……後ろも詰まっていますし、長引かせるのは得策ではないかと」

 

「ならさっさとカタをつけろってことね。――いくよ、フォーメーションフロッグ!」

 

「はいっ! お二方、どうぞ括目していってください‼」

 

 長々としゃべっていた早苗たちが行動を開始する。というか、戦隊ヒーローの悪役のようにそれが終わるまで律儀に待っていた大妖精たちも紳士だな。

 

 さあ、神の全力攻撃がいよいよ飛んでくる。あの微妙なセンスの技名はきっと早苗がドヤ顔で生み出したんだろうな……それを嬉々として口にする諏訪子も諏訪子だが。

 

 ポケットからスペカを諏訪子が取出し、空中に紙切れを飛ばして発動させる。おい、あれは……

 

「祟符『ミシャクジ様』‼」

 

「なっ⁉」

 

「個別に回避するよっ‼」

 

 小悪魔の顔がさらに険しくなる。ミシャクジ様はゲームだとラストスペカだ。その威力はわかっているだろう。

 

 即座に指示を出したのは大妖精で、すでに胸ポケットのスペカに手をかけている。2枚目の発動も辞さないつもりか。

 

「大丈夫大ちゃん、まだスペカ使わなくていいよ! このくらい……」

 

 一気に展開される粒弾を上下移動で確実に回避する小悪魔。まだその動きには余裕があり、彼女の言葉に信憑性を持たせる。

 

「あれれ、そんな悠長なことを言ってる暇あるんですかねえ?」

 

「当然、――はあっ⁉」

 

 小悪魔の表情が驚愕に変貌する。いくら聡明な彼女でも、これは予想できなかったのだろうか。

 

「蛙の舌のように高速移動して獲物を捕らえる、これぞフォーメーションフロッグ! どうです、これぞ奇跡‼」

 

 早苗が諏訪子のはなった()()()()()()()()、と表現すればいいのだろうか。大玉の上で器用に立ち、超速で移動していた。

 

 普通は味方の放った弾幕だろうが、乗るなんてこと出来ないのだが……これを奇跡1つで片づけてしまうところがさすが早苗といったところか。

 

「さあ、一気に畳み掛けますよ!」

 

「早苗、こっちに来て! 私と一騎打ちだ‼」

 

 大妖精が柄にもなく強気な発言。まだスペカも残っているし、少しでも弾幕を引き付けようという魂胆なのだろう。

 

 しかし早苗はそれを相手にせず、

 

「残念、そこまでバカじゃありませんよ。諏訪子様のスペカだけで苦しそうですね……――小悪魔さん!」

 

「っつ⁉ 寄ってたかって悪魔をいじめると後で魂抜き取りられますよ‼」

 

「それでも結構。あなた方はコンビネーションなら学校一でしょう。しかし裏を返せば、片方が欠ければ恐るるに足らない‼」

 

 低空で弾幕をかわしていた小悪魔がロックオンされた。すでに早苗はスペルを取り出し、臨戦態勢だ。

 

「こあちゃん! 今いく――うわっ!」

 

「そんなこと私のスペルが続いている内はさせないよ!」

 

 さらに諏訪子がレーザーを放ち、大妖精の動きを止める。

 

「まずい……まずいぞ」

 

 小悪魔の絶体絶命のピンチに、俺の拳が固く握られる。

 

「早苗ペアも考えましたね。大妖精さんたちを分離させることを念頭に置いた戦い方、さすがです」

 

「感心してる場合か。小悪魔が落とされそうだぞ」

 

「教師である以上、一応私は中立ですからね。つーか優斗さん、あなたも同じですよ?」

 

「だから?」

 

「言い切りやがりましたねえ……そういうところがあなたらしいですが」

 

「そりゃどうも」

 

 1年練習に付き合ったら情がわくのも当然だ。

 

「ほら、早苗さんがスペル撃ちましたよ!」

 

 再び早苗に注目すると、すでにスペルを握りつぶしていた。あの量の弾幕を真下に叩き落すつもりか。

 

「神徳『五穀豊穣ライスシャワー』! さあ、神罰の時間です!」

 

「ぐ、これはもう……」

 

 大量の米をふりまかれ、さらに密度が濃くなる。なんというか、もうこれ反則級だな。

 

 さすがにこれは小悪魔でも……そう思った矢先、彼女がヤケクソ気味に叫んだ。

 

「ああもう、まさかこんなに早く追いつめられるとはね! 大ちゃん、後は頼んだよ!」

 

「へっ、何を……」

 

「諏訪子さん、神風特攻隊って知ってますか? 私は慧音先生の歴史でみっちり教えられましたよ」

 

「それがどうか……うわっ、くるなっ!」

 

 体をくるっと回転させ、思いっきり諏訪子をにらみつけた。瞬間、小悪魔が移動を開始した。被弾のリスクを考えず、弾の間を縫って高速で。

 

 ミシャクジ様の間を器用に抜け、諏訪子に肉薄する。

 

「私だってね、スペカを用意してきたんだ!」

 

「やめ、――早苗! 何とかしなさい!」

 

「は、はい!」

 

 慌ててライスシャワーが小悪魔を追尾してくる。これはもう……遅い。

 

「神と悪魔で相打ちならおつりがくる。いくぞ!」

 

 ネクタイの奥から取り出したとっておきのスペルカードが惜しむことなく発動される。

 

「槍符『デビルズグングニル』‼」

 

 小悪魔の背後から、黒い槍状の弾幕が何本も形成される。まるでレミリアのスピン・ザ・グングニルが増殖したかのように。

 

 決死の覚悟で放たれた弾幕にあっけにとられた諏訪子は、

 

「ふわわわわっ‼」

 

 ピチューン

 

 悪魔の槍に貫かれた。だが、その代償は大きく、

 

「スペカ打つのってこんなにつらいの……大ちゃん、早苗さん強敵だけど頑張ってね」

 

「こあちゃん……まだ、まだいけるよ!」

 

「はは、ごめんね。ちょっとこの米粒は避けきれないや。それに早苗さんくらい余裕で勝てないと、」

 

 とうとう、ライスシャワーが小悪魔に追いつき、

 

「優斗さんには絶対に勝てないかな」

 

 全方向から被弾した。

 

 小悪魔と諏訪子、相打ち。

 




第六十八話でした。小悪魔にスペルがあってもいいじゃない。

デビルズグングニルはレミリアのそれより数は多いですが、威力は低い感じですかね。

あと1、2回で弾幕ごっこ大会も終わりですかね。うp主が変な気を起こさなければ。

これが終わるといよいよ……伏線を要チェックだ!

では!
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