東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

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第七十四話 会議開始

「あいつらは月世界への侵略者……だったのか?」

 

 それならなぜ幻想郷なんかに来ていたのだろうか。侵略への土台にでもするつもりなのだろうか。

 

 相変わらず疑問は耐えないが、今は目の前の障壁を取り除くことが先決だ。

 

「優斗、この先行ったところに大きな広場があるわ。以前依姫たちと戦ったね」

 

「最強妖怪がなんで月世界に詳しいんだ」

 

「そこは乙女の秘密よ~。で、そこの階段を下れば普段会議室として使ってる部屋があるから、そこにいって。きっと誰か居るはずよ」

 

「ちょっと、それ月人にしか教えてないトップシークレットなんだけど」

 

「私なんかに見破られるようじゃ秘密でもなんでもないわねー」

 

 紫と永琳がやいのやいの争っているが、その後ろでは相変わらず弾が交錯していた。

 

「優斗さん、ここは私たちにお任せを。お嬢様がボコボコにされた恨みをここで晴らさせていただきます」

 

「そうか、頼んだぞ」

 

 レミリアが戦ったのは依姫なんだけどね。そこらへんは理解してくれているらしい。

 

 俺、紫、永琳、映姫に大妖精は一斉に、式神に背を向け走り始める。

 

 もちろん背後から無数の弾幕が飛んでくるが、そこは幻想郷の実力者たちが抑えてくれている。なにも心配する必要がない。

 

 

 

 

 

 

 

 数分走っていると、近未来的なビル群が立ち上る。空中に浮いているチューブは移動用だろうか。他にもいろいろと使用用途のわからないものが数多くある。

 

 普段なら多くの月人で活気立っているのだろうが、いまは人っ子一人、その姿は見えない。

 

 さらに歩いていると、公園らしき場所に到着した。殺風景だった月世界に、新緑の芝生がよく生える。中央には樹齢数1000年くらいに見える巨木がそびえていた。

 

 ここが広場であろうから、この近くに階段が……

 

「こっちよこっち~」

 

 永琳が手を振った方には、確かに地下へと通じる螺旋階段があった。

 

 一列に並んで一段ずつ降りていく。鉄製の段はコンコンと軽い音を立てて、地下の人間に俺たちが来たことを告げるのだろう。

 

 しばらく下っていると、ドアが見えてきた。あそこが会議室だ。

 

「おーい、開けてくれー」

 

 待っていても反応がないので、とりあえず呼んでみる。

 

「……おまえは誰だ。刺客か? もしそうだったら容赦はしないぞ」

 

 扉の奥から冷ややかな声が返される。きっと兎の兵士であろう。

 

「いや、敵じゃない。俺は朝霧優斗。豊姫の助けの手紙を見て飛んできた、幻想郷のしがない教師だ。疑うんだったら、俺の後ろのやつを見てくれ」

 

「ほら、さっさと開けなさい」

 

「や、八意様あ!? も、申し訳ございません、すぐに!」

 

 ギシッ、と厚さ数十センチの鉄の扉が開き、中から2匹の兎が顔を出した。もちろん、腰に拳銃のようなものをぶら下げて。

 

 

 

「それで、いったいどんな状況なのよ」

 

 俺たちが席に座ってすぐに、永琳が問いかける。

 

 平静を装っているが、ちょっとだけ声がうわずっている。落ち着いていないのは明らかだった。

 

「は、はい! それについてはサグメ様が説明します」

 

「サグメ? ――あら、あの子あんなにえらくなったのね」

 

 聞き慣れない名前に質問する前に、部屋の奥にあるドアから誰かが入ってきた。

 

 セミロングの銀髪に、なんだか先の方で分裂しているスカートが特徴的なこの女性がサグメというわけか。

 

『こんにちは、稀神サグメと申す』

 

 月人らしく丁重に挨拶された。

 

「えっと、サグメさん? そのホワイトボードについていろいろと聞きたいんだが・・・・・・」

 

 ただし、マジックペンを用いた筆談で。

 

 もちろん世の中には喋れない人だって居るので文句は言えないが、月世界の技術で何とかならないのか。

 

『すまない、能力の関係上あまり喋れない』

 

「詳しく説明するとややこしくなるんだけど、サグメは言ったことと反対のことが起こる程度の能力なのよ。厳密に言うとちょっと違うんだけどね」

 

 確かにそれは大変だ。けどそれなら、

 

「ええー、それなら月世界に侵略者が来るって言えばいいじゃないですか」

 

 俺の気持ちをさとりが代弁してくれた。

 

 が、永琳は首を振って、

 

「だから、ドラえもんのウソ800みたいなこと、ってわけでは無いのよ」

 

「いちいち外の世界のアニメで説明するな」

 

 さすがにまだ幻想入りしてないと思うが。

 

「それで、一体どうなってるのよ。いきなり攻められたって……。そもそも、綿月姉妹は?」

 

 永琳がすばやく正面を向きなおして、続けざまに質問を浴びせた。

 

『それがだな……』

 

 マジックペンで書き書き、すぐに消し消し、謎の間が発生しながら現れた文章がひっくり返される。

 

『豊姫様は前線に、依姫様は今治療を受けている』

 

 一瞬、書いている意味が分からなかった。

 

 だかすぐに、

 

「嘘でしょっ⁉」

 

 バタッ、と机をたたいて立ち上がったのはやはり永琳だ。もちろん、俺も含めて皆の空気が変わった。

 

 あの依姫が、霊夢やレミリアの弾幕をもろともしなかった最強の姫が、ダウンしている。改めてただ事ではないのがよく理解できる。

 

『そして、敵は依然不明だ。今は防衛で精一杯でな』

 

「わかったわ。とりあえず依姫のとこまで連れてって。咲夜、いるー?」

 

「ここに」

 

 呼ばれた瞬間、トランプと一緒に咲夜が出現した。

 

「はい、治療はお任せください」

 

 血相を抱えて二人は飛び出していった。

 

 扉が閉まった後、視線が集中したのに気付いたサグメは再びペンを走らせる。

 

『みなさん、外へ出てみたらどうだ。敵の様子を知ってほしい』

 

「そうですね、まずは相手の弱点を知っておきましょう。行きますよ優斗先生」

 

「ずいぶんと積極的ですね」

 

「早く終わらせないと弾幕ごっこ大会が回らないでしょう? 何人教師が抜けてると思ってるんですか」

 

「そういえば……急がないといけませんね」

 

 映姫と話すと気持ちが引き締まる。がんばらないと。

 

『私も向かう。友人も来るので一回席を外すから外で合流だ』

 

「だそうだ。みんな行くぞ」

 

「「おう!」」と快活な声と共に一斉に立ち上がる。連携力なら負けはしないだろう。

 




第七十四話でした。繋ぎも繋ぎの話でしたね。

やっとサグメさんが登場です! あのミステリアスな雰囲気いいですよね……彼女の友人は誰でしょうか……あの三面ボスが怪しいですね。

では!
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