弾速が一番速かったのは、さとりが放ったファイナルスパークだ。あれは光の塊なので瞬時に拡散する。
「吹き飛べ吹き飛べー! 優斗さんが唇をかむくらいに!」
「俺はもうお前に敵わないって割り切ってるから、そんな感情わかないぞ」
超威力のレーザーは前方90度にいた式神達にクリーンヒット。当たった瞬間式神は声の高い断末魔をあげ、光の粒子とともに消え去った。
「じゃあ次は私ね~。我が手から伸びし冥府の蝶達よ、今こそ相手を打ち砕くのだ! ――かっこいい?」
「わー、すごくかっこいいー」
中二病な発言だったが、その威力は本物だ。紫の周りから放たれた蝶々が敵の懐めがけて一直線に飛ぶ。もちろん、蝶々は式神とぶつかった瞬間、死への道へと彼らをいざなう。
「よっし、残ったのは俺たちで全滅させるぞ」
「うん、任せて!」
仕上げに、細かい操作が得意な俺と大妖精が1体ずつ処理していく。
俺も大妖精も、前より弾幕をとばす精度が上がっていて、自分たちの成長が感じられる。
「う、うそ……」
「あれれ、もしかして私の出る幕はないですか?」
「そうみたいですね。まあ体力を残しといてください」
「こんなにあっさりと……」
「なんだ、この程度ですか?」
「それが巷で話題のさとり顔ってやつ?」
「あの、地上の方、聞いています?」
「ほらみんな落ち着いて次……ああごめんなさい、なんですか?」
「いえ、その、――やっぱいいです……」
兎が言葉を発せないほど驚いている。というか正直、俺の心臓もバクバクだ。
ものの数分で敵の一大隊を壊滅してしまう、最強の幻想郷軍団。そのリーダーっぽいことをしているのが、いまだに信じがたい。もちろんみんなの強さにも感服だけど。
「え、なにが起こったの……」
「……敵が消えた」
「もしかして、あの人たちが……」
建物の陰から、1人、2人と兎たちが顔を出す。やはり、高速で壊滅させてしまったことに理解が追い付いていないらしい。
「なあ、悪いがここの兎たちに状況を説明してもらえないか。もうこの辺りは平気だから他のところへ向かってくれって。俺たちは先に行ってるからさ」
「北都には私がとっておきの結界を張っておくわー。破れるものなら破ってみなさいって胸張れるくらいのね」
「はあ……わかりました……」
いまだぼーっとしている兎に目もくれず、北都の出口へ走っていく。
「……速くね?」
突っ走ってる中、ふと今までの行動がよみがえってくる。手紙が来たかと思えば即座に出発、そして即決即断、敵を撃滅。
あれ、異変ってこんなスピーディーに事が運ぶもんだっけ。
「それは優斗さんが優秀すぎるだけでは? 霊夢さんだと3か月くらいたってから重い腰あげますから」
「それはうれしいけど、お前に褒められるとなんか裏があるって疑うぞ」
「別に間違ってないと思いますけどね」
「なんだか優斗が疑い深くなっている……」
「大丈夫だ大妖精、さとりとゆかいな仲間たちに対してだけだから」
特にめちゃくちゃ敬語使ってくるのが危ない。さとりに小悪魔、早苗……こうして考えてみるととんでもない奴ばかりだ。
「優斗、次はどこ行くの? このまま真っ直ぐ?」
「そうだな、南都に行こう。1つずつ潰してくぞ」
北都からひたすら真っ直ぐ進み、再び中央街を通り抜ける。
相変わらず多くのけが人が運びこばれている。永琳がうまい具合にやってくれるだろうが。
「みんなー、分かってると思うがこのまま前進だ。南都の敵を撃滅させるぞ」
『私もお供する』
「うわ、いつからいたんだ」
『背後からこっそり』
クスりと笑みを見せたのは、地下室から出てきたのであろうサグメ。
『南都では私の友人、ドレミーに指揮をとってもらっている。今のところ何とかもっているが、時間の問題よ』
「わかった、急ごう」
最強パーティに月の司令塔を加え、ますます死角がなくなってきた。
またマラソンが始まるのだが、ただ走ってるのも味気ないのでサグメのほうに肩を向け、
「なあ、ちょっといいか」
『なに、手短にね。あと、能力発動しちゃうような発言はダメよ』
あれ、ちょっとだけ言葉尻が柔らかくなってる? まあそれはいいとして、
「あの式神、幻想郷でも出てきたんだけど何の関連があるんだ?」
『というと?』
「いや、きっと敵は月世界の侵略が目標なのに、なんでこっちに何匹かまぎれたのか気になってな」
『それは……ああ、まどろっこしい』
「そうねー、いろいろ考えられるけど、」
「いーやー、サグメが喋ったー⁉」
「紫、動物扱いすると罰が当たるぞ」
「その発言も十二分に失礼だと思うのだけど……まあいい」
はあ、と大きくため息をつかれた。ただ、少し考えた後、律儀に答え始めてくれた。
「これは結構な機密情報なんだけどね。月世界って、イザって時の遷都場所が想定されてるのよ」
「え、それってもしかして、」
遷都なんて突拍子もないこと言いだしたと思ったが、すぐに辻褄が合う。
「そう、あなたの考えてるとおり。具体的に言うと能力発動しちゃうから言わないけど」
幻想郷、ってことだよな。
「以前あなた、依姫様たちと旗取りゲームやったでしょう? それで豊姫様が幻想郷を気に入っちゃって。すでに何回かお忍びで幻想郷に行ってるのよ。えっと、どこだっけ、あの竹林の……」
「永遠亭だろ? ――それは初耳だ」
「恐らくそれが察知されてた。だから式神が潜入していたのだと思う」
「じゃあ万が一ここが陥落したら……」
「最悪の場合遷都になるわね。幻想郷にいる式神たちが黙っていないけど」
「ちょっと、私も黙ってないわよ。あなたたちが来たら幻想郷のバランス崩れるでしょうが。調整するの私なのよ?」
「だったらここで食い止めればいいだけの話だ。――南都に突入する!」
おしゃべりもここまで、2戦目に突入だ。
第七十六話でした。さーぐーめ! さーぐーめ!(意味不明)
今日メロンブックスで同人買ったんですけど、大チル本かドレサグ本で迷って後者を買ったのです。つまり僕の好きなカップリングにドレサグが、最近上位に食い込んでるということです! はい、どうでもいいですね。
では!