東方好きの優斗と大妖精と   作:ゆう12906

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第七十九話 因縁は水に流して

 永琳は再び治療室に戻り、いつものメンバーで東都の端に到着した。

 

『ではみんな、再確認だ。弾幕の準備はできたな? あと心の準備……いや、聞くだけ無駄かな』

 

 とうとうサグメに諦められた。このノリに慣れてしまったということでもあるが……。

 

『東都での私たちの任務は、豊姫の援護、また、敵戦力の全滅だ。しっかりと集中する……いや、こちらの話だ』

 

「それは言うべきだろ」

 

 それとも信用されてるのかね。ポジティブに捉えるのならば。

 

 サグメはさらに続ける。

 

『作戦なんだが、古典的だが正面突破でいく。まず私たちが豐姫様と合流する。横からドレミーと紫でサポートするという作戦だ』

 

「なるほど、この獏とどっちが使えるか勝負するのね」

 

「争いごとは勘弁なのですが……そういえばこれ戦争でしたね。いいでしょう、ゆかりさんに負けないくらいかき乱してやりましょう」

 

『やる気があるようで何より。じゃあ頼んだぞ』

 

 サグメが言い終わるやいなや、2人の瞬間移動スキル持ちは、それぞれの持ち場へと消えていった。

 

『よっし、突撃ー!』

 

 戦時中の日本兵のごとく、全員スペルを握りしめて全力で駈ける。

 

 その中でも一番速かったのは、

 

『豐姫様ー!』

 

「あのー、ホワイトボードにそんなこと書いても意味ないかと」

 

 豐姫の部下、サグメだった。夢の中からドレミーが困り顔ををして追いかける。

 

「おやおや、サグメさんってあんな情熱的な性格でしたっけ? そこらへんドレミーさんはどう分析します?」

 

「詳しいことは知りませんが彼女、豐姫さんの直属の部下だったような気がします」

 

「それって私が映姫先生を尊敬するようなもんですか? ――さっぱり分かりません」

 

 オイコラ。咎める暇無いからってさらっと爆弾発言するな。

 

 そんなこと言ってる合間にも歩みは止まらず、ビル群の隙間を縫って進み、少しだけ開けたところにでる。すでに地面の舗装はなく、月表面の堅い感触が伝わってくる。

 

「ああ、あれか……」

 

「そうそう、あの帽子、間違いなく豊姫さんだね!」

 

 遠くの方に見えてきたのは、長いドレスに右手には扇。間違いない、月世界のお姫様だ。

 

 ここからでも、多くの式神が襲い掛かっているのがよく分かる。もちろん、アイツらを扇を払って簡単に打ち倒す華麗な姿だって。

 

「豊姫ー」

 

「え? ――あら! 優斗に大ちゃん! どうしてこんなところに?」

 

「ちょっとサグメに助っ人を頼まれてな」

 

「私の? あら~、私そんな信用されて無かったかしら……」

 

「そんなことないよ! きっと万が一のことを考えて、危機管理してくれたんだよ」

 

「そんなこと言ってもねー。正直私一人で十分なのよね」

 

 こちらを向いて話す豊姫だが、その片手間で式神たちを消滅させていっている。その顔は余裕綽々だ。

 

「やっぱりちょっと過剰戦力だったか……」

 

「今は、だけど」

 

「へっ? それってどういう?」

 

 ちょっとだけ凛々しい顔に戻って、少しだけ早口になって、

 

「もちろん、この敵だけだったら苦労してないわよ。依姫がやられたって聞いた?」

 

「ああ」

 

「私も詳しいことは分からないけど、どうも人型のやつがいるらしいのよ。そいつに傷つけられたらしいわ」

 

「依姫が……か」

 

 依姫の強さは十分に理解しているつもりだ。油断するようなタマでないことも。

 

 簡単な話、少なくとも依姫より実力者だということだ。正面突破で行けるのかね。

 

「まあいい。ここはもう安全だから、他へ加勢してくれ」

 

「え、それってまさか……」

 

 チラリ、豊姫のジト目が俺の後ろへ向かう。思わず振り返ると、スキマ妖怪がいつの間にか回っていた。

 

「何よ、文句あるの?」

 

 即座に紫がかみつく。視線と視線がぶつかり合い、ピリピリした空気があたりを包む。そういえなこの2人、前に因縁があったな。

 

「ちょちょ、2人とも……」

 

「ケンカは良くないよ!」

 

 俺がたしなめようとしたけど、その前に反応した妖精が1人。

 

「今はそんなことしてる場合じゃないの! 月と幻想郷が仲悪いって前聞いたけど、それより重要なことがあるでしょ!」

 

 ツルの一声とはこのことか。睨み合っていた2人の口角が下がった。

 

「ちょっとー、大妖精にそんなこと言われたら引き下がるしかないじゃないのー」

 

 ため息が紫から漏れ出る。

 

 大妖精のお説教に勝てるのなんて、いるわけないだろう。

 

「紫、あなたいい生徒を持ったわね」

 

「羨ましい?」

 

「少しだけね」

 

 相変わらず少し距離があるけど。

 




第七十九話でした。儚月抄四コマの依姫さんがいい味出してて溶けそう。

土日暇なかったので、今日投稿しました。そのせいか、少し適当になってるような……

では!
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