「カーテン開けるときは一言かけてください! 人間としての常識です!」
顔を真っ赤にしたとこまでは見えたが、そこで大妖精の規制がかかった。それが解かれたときには、手元のシャツを着ていた。
「ほら、私たち桃ばっかり食べてる天人だし……みなさんにご紹介をと思ってね」
「よく分からない御託を並べない! はあ……しかもこんな大勢引き連れて……」
ジロリ、あきれ交じりの視線がこちらへ向く。あ、これ絶対俺見てますね間違いない。
ジロリ、ジロリ、ジロリ、ジロリ、
「あのー? なんで皆さんこちらを向くのでしょうか?」
そしたらいつの間にか14個の目がそろいもそろって集中した。
「そりゃ私たちは見てもなんとも思いませんけど、優斗さんは健全な男子高校生ですからねえ」
「これくらいで興奮するわけがないだろうが」
「あらー、依姫、あなたに魅力がないって言われるわよ」
「斬りますよ?」
やったー、ツッコミ役が増えて負担が減ったぞー。……なぜかいまいち空しいが。
「ホントに何も感じないんですかー? ――あっ、そうでした。優斗さんは小さい女の子でしかハアハアできないんですものね」
「ロリコンのレッテルはそろそろ剥がしてくれませんかね……」
「大妖精さん、今すぐ2人で逃げましょう」
「校長まで参加しなくていいですから」
「優斗さん往生際が……そうか、小さい男の子の間違いですね」
「……もっと始末に置けないじゃないか」
ダメだ……このままでは捌ききれなくなる。リスクは高いが、攻勢に打って出なければならない。
「とにかくおれは無実だが……お前はどうなんださとり」
「くっころ女騎士みたいでゾクゾクしました」
「よーし依姫、みじん切りで頼む」
正直で大変よろしい。
「……あなたも大変ですね」
「月のトップにそう言っていただけてなにより」
「じゃあそろそろ本題に入ります? まさかただ覗きに来たわけではないでしょう?」
「そうだな」
周りの甘言に惑わされずに己を貫く姫君、素晴らしいです。
「今回の異変の詳しい話を聞きたくてな」
「ちょっと待って、これ異変になってるの? だったら私が名前付けていいかしら」
こっちの姫様は自由奔放だな……。
「いいですから、話終わるまでに考えといてくださいね」
「姉上は部屋の隅で丸まっててください。――優斗さん、まず現状報告を聞かせていただけますか?」
ベットの上で正座になった。さとりではないが、騎士のような礼儀正しさだ。
「えーっと、とりあえず東西南北の都市は掃除しといた。紫の結界を張っておいたからもう心配ないはずだ」
「なるほ……え?」
「まあ特に強い敵もいなかったからな。けが人はここに運んでいる以外は、とりあえずドレミーに任せておいた」
「……あ」
「とりあえずこれ以上の被害を抑えることに全力を……」
「ありがとうございますっ!」
まだ言い終わってないのに頭を90度下げられた。
「私が不甲斐なく倒れている間に……なんとお礼を言ったらよいか……」
「いやいや、俺達が来るまで抑えてくれたのは豊姫だよ」
「べ、別に敵が弱かっただけだし!」
「なんでツンデレなんだ……」
「それでも……地上部隊があんなに苦労してたことを片づけて頂けるのは、本当にありがたいです」
伏せた頭を上げようともしないので、なんだかこそばゆい。
「これはきっとあれですね、この後『お礼といってはなんですが……私の身体、好きにしてください』ってなるパターンですね。公然プレイとはレベルが高い」
「今はネタをぶっこむ空気じゃないだろ」
「お礼といってはなんですが……私の身体、好きにしてください」
「お前はそれでも依姫の姉か!」
「……優斗? 約束したよね?」
「本気じゃないっ!」
ああもう、話が進まない。
「もうお礼はいいから、俺が聞きたいのはその傷の出所だ。あの大勢いた奴らに負けたってわけじゃないだろ?」
「ああ、はい、まず確実に言えるのは、相手の主犯は3人だということです」
「まとめて戦ったのか?」
「はい……うまく乗せられました」
「そりゃあきつかったな。どんな感じだった?」
「はい、1人は体格が小さくて、残りの2人のことを『ご主人様』、『ご友人様』と呼んでいました。おそらく従者かと。主人の方がリーダ格で、嫦娥様のことを恨んでいました。異変の原因は恨みの可能性があります。友人のほうは特に何もなく……ただの興味で異変に協力しているように見えました」
「なるほど……分かった、ありがとう」
少しずつ、異変の全貌が見えてきた。
「それで、これからどうするのよ」
珍しく落ち着いていた紫に珍しくマトモな質問をされた。明日は雪か。
「そうだな……こっちから打って出る必要もないと思うんだよな」
「そうね、相手の居場所もわからないし」
「相手はかなりの戦力を失ったし、結界でこれ以上進めない。多分だか、その黒幕とやらが直接来るだろ。それまで待つのが得策だ」
「そんなのいつまでかかるか分からないじゃないですかー」
「暇なのはしょうがないだろ」
「物資なら大量に保管しています。ご安心を」
「食べ物じゃなくてー……そうだ、ポッキーゲームでもします?」
「なんでそうなる」
「え、楽しいからですけど」
「真顔で言われると反応に困る」
「あ、わかりました。優斗さんはみんなでやるゲームがいいんですね! だったら答えは1つ、」
全く聞く耳を持たないのは慣れっこだが、こういう時のさとりはロクでもない考えがあるもので……。ああ、もうコイツは止まらない。
少しだけ口角を上げて、目じりを高くして、
「王様ゲームですよね!」
「そうだ!」
「そうね!」
「そうです!」
背後から、しばらく聞いていなかった、むしろ聞きたくなかった3銃士の声。
「小悪魔、文、早苗……」
第八十一話でした。今日見た2chのまとめで依姫が一番くっころ属性あるって記事を見ました。その通りだと思いました。(小並感)
優斗にも相手の正体がつかめてきたようです。くろまく~。
次回はいったん小休止、ということでカオスモードですね。今までの優斗のイジメ係、総集合です。
では!