第九話 竹林の魔物
「えっ? 迷いの竹林に魔物!?」
夏休み初日、驚きの事を大妖精から聞いた。
「うん、その魔物はね…」
聞くところによると、とても凶暴で月に一回だけ現れるそうで、緑の髪をしていて、角が生えているそうだ。―――何かで聞いたことがあるような。なんだっけ?
「それでね…昨日学校でね、」
ああ、もう聞かなくてもわかったぞ。
「みんなで見に行こうというわけだろ。言いだしっぺは…チルノだな」
「何で分かったの!」
まあ、大体な。
行くのはチルノ、ルーミア、リグル、ミスティア、大妖精といういつものメンバー。そして俺も、チルノの目にかかったらしい。
「まあ、いいけど。最近少し強くなったし」
そう、俺も弾幕ごっこ大会の後頑張って練習したら、2面ボスの弾幕が出せた。どうやら頑張ったらより強い弾幕が出せる能力らしい。
「まあ、すぐに疲れるんだけどね…」
だけど、強い弾幕を出すと、その分疲れる仕様になっている。もうちょっと、何とかこの能力何とかしてほしい…
「じゃあ、いくか!」
と、いうわけでみんな(バカルテット)と、合流した。
「みんな!目的は分かってる!?」
チルノが叫ぶ。どうやらリーダーのようだ。
「あたいたちで迷いの竹林に潜む魔物を退治するよ!」
おおーと、歓声が上がる。
「では、2組に分かれるよ!」
と、いうわけでチルノと大妖精と俺、ルーミアとミスティアとリグルに分かれて探すことになった。
「さあ、探そう!」
「うん!」
と、二人は張り切っているようだが、迷いの竹林で見つけるのは至難の業だと思うのだが……。
「何だっけな~」
しっかし、魔物の特徴どっかで見たことがあるような気がするんだけど……デジャヴかな?―――その時、
「グルオオオオ!」
早速でた。見た瞬間、その強烈な印象から、俺の記憶が引き出される。
―――このフォルム。緑の髪に角。思い出したぞ。これはまさか……―――まてよ?!確かこの人はみんなの…
「逃げるぞ!」
信用を壊すわけには……
「何言ってるの!倒すよ!」
チルノが叫ぶ。
「氷符『アイシクルフォール』!」
ガシュ
やはり一発で吹き飛ばされてしまった。
「ス、スペル…」
魔物が言う。その途端に背後から無数の棒状の弾幕が現れ、襲いかかってくる。
「これは…」
―――一条戻り橋だ!
「くっ!」
何とか弾幕をだし相殺しながら、俺は避ける。チルノも何とか避けている。大妖精は
「……」
って、放心状態だ!弾も迫ってきてる!
「っつ!」
抱えるようにして大妖精を避難させる。―――そのとき俺のふくらはぎを弾幕がかする。
「痛っ!」
少し血が出ている程度だが、人間の俺は結構痛い。
「大丈夫!?」
また俺の大妖精のところに弾幕が展開される。まずいな…―――その時突然、
「フジヤマノヴォルケイノ!」
一気に弾幕が消された。このスペカは…
「慧音ー!」
「妹紅先生!?」
大妖精が驚く。やっぱり妹紅だ!
そのまま妹紅は抱きかかえるように慧音の動きを止める。
「えっ、えっ?どういう事?この魔物は?」
大妖精は頭が混乱している。要するに…
「この魔物は大妖精の担任の先生。すなわち慧音だったっていうわけだ。」
その後ルーミアたちと合流し、妹紅の家へ行った。
慧音も今は正気である。慧音の口から説明が始まった。
「そうか、噂に聞いていたがまさか私だったとは…」
慧音は月に一度たまった仕事を片付けるために角の生えている、いわゆるきもけーねになっているそうだ。しかし、暴れているという自覚はなかったらしい。
「……私は先生失格だな。みんなに迷惑をかけて。」
そのときチルノたちが口を開いた。
「ううん、そんなことはないよ。」
「そうそう。」
「先生はいつでも、」
「私たちの先生なのかー。」
「みんな……」
「まあ、慧音。今日は泊まって行って」
妹紅が言う。話したこともあるだろうし、俺たちは帰るか。
「はあ……」
疲れたな。
もうとっくに解散して、家に帰っている。
「どうだった?」
「うん……優斗大丈夫?」
「ああ、このくらいの怪我すぐ直るよ」
「そう…」
ん?どうしたんだろう。
「よかった……私のせいでなんかあったと思って…」
と、大妖精の顔に一筋の線が流れる。って、涙…
「いや、大丈夫だよ。」
大妖精の頭をなでる。不安を取り除かなければ。
「うん…ありがと」
俺の膝に大妖精の頭が乗る。
少しずつ涙が引いていっている感触が伝わってくる。
「そうそう、それでこそ大妖精だ。」
「うん……」
どうやら安心したようで、満月の下、大妖精は俺にもたれながら幸せそうな顔で寝ていた。きっと慧音も妹紅と一緒に安心して眠っているだろう。
第九話です。
さすが優斗でしたね。彼の一種のカリスマかもしれません。
では、またお会いしましょう!