【昼めし旅】外伝!?昼パンツ旅〜あなたのパンツ、見せてください〜 作:北村 貴之
井ノ上たきな。
彼女が今回パンツを見せてくれる相手だ。
彼女は以前パンツを見せてもらった錦木千束の仲間のようで、同じ喫茶店で勤務している女子高生である。
制服を着ているが、以前千束が来ていたものの色違いで、青を基準としたものとなっている。
靴下はというと黒のハイソックスで、履いている靴は茶色の革靴で、そこは変わらなかった。
金髪で活発的な千束とは対照的に、黒のロングヘアに落ち着きのある雰囲気をしている美少女であった。
毎日丁寧に手入れされているであろう長い黒髪が、気品の良さを出しているようだ。
今回撮影場所として選ばれたのは、都内にある芸術センター。
その中にある和室にて撮影が行われることとなった。
生け花の展示や教室、茶道教室などで用いられる部屋だ。
いかにもな日本美女たるたきなに合わせてか、今回この部屋でパンツを見せてもらうこととなった。
和室ということは当然畳張り。
なので、たきなも撮影スタッフも全員靴を脱いで部屋に入っている。
最近変えたばかりの畳を、黒のソックスに包まれた足で踏むたきな。
静かで落ち着きの和室の中で佇む制服姿の黒髪の美少女という図は、なかなかに見応えがあった。
「…」
テレビの撮影に少し戸惑っているのか、たきなは落ち着きがなさそうに辺りを見回している。
緊張しているのは明らかであった。
千束に比べて大人びているが、それでも年齢相応の仕草は見せていた。
どうやらまだ始まらないらしく、たきなは待機していた。
それからしばらくすると準備が整ったのか、
「では始めます」
という声とともに撮影が始まった。
まず最初に行ったのは挨拶からだった。
「ほ、本日は、宜しくお願いします」
そう言って軽く会釈するたきな。
若干噛んでしまったものの、それでもクールな雰囲気の中から見せる可愛らしさを感じられた。
顔には緊張の色が伺える。
きっと初めてのことだらけで不安になっているのだろう。
無理もない。
これからパンツ、すなわち下着を見せるのだ。
普段ならありえない行為なのだが、そういう番組らしく、いつまでも見せないわけにもいかなかった。
たきなは意を決するかのように、制服のスカートの裾を両手でぎゅっ、と握る。
頬が赤くなる。
「で、ではいいですか」
撮影スタッフたちにたきなが確認の声をあげる。
たきなを覆うように、多くのカメラが彼女をとらえている。
「OKです」
スタッフから返事が帰ってきた。
それを聞いたたきなは、大きく息を吸って吐いた後、スカートの裾を持っていた手をゆっくりとたくしあげていった。
「…っ」
恥じらう表情を浮かべながら、たきなはスカートの中に秘めたパンツを堂々と、カメラの前に晒した。
そのパンツはというと…。
なんと、真面目そうな彼女からは連想できない、豹柄のスポーツタイプのパンティであった。
井ノ上たきなの清楚な制服姿からは想像もつかない豹柄のスポーツパンティが露わになった。
白を基調とした布地に、鮮やかなブルーとネイビーの斑点が散りばめられ、派手すぎずクールな印象を与える豹柄が広がっていた。
パンツの定番柄とはいえ、上品な青みがかった豹柄は、彼女の知的で静かな雰囲気とのギャップを際立たせる。
パンツの上端には黒い平ゴムのウエストバンドがしっかり配置され、ブルー系の生地とのコントラストがスポーティーな印象を与えている。
引き締まったウエストラインと合わせて、活動的な印象も同時に感じさせた。
注目に値するのはクロッチ部分だ。ここだけ豹柄はなく、まるで雪原の如くの純白の部分がおり、他の部分との明暗差が一層目を引く。
豹柄パンティ全体が露出する瞬間こそが最も衝撃的で、特にたきな自身の驚きと羞恥心が垣間見えるシーンであった。
「予想外でしたね」
カメラマンが思わず呟く。
「普段使いではないのですが…。先週新調したものです。クールなブルー系だったので」
たきなの耳が赤くなったまま説明する。
豹柄と言えば派手なイメージがあるが、この青みがかったこのパンツは意外と落ち着いて見え、むしろ彼女の大人っぽい雰囲気にマッチしているとも言えた。
恥ずかしい…。
なのにどこか爽快感もある奇妙な感情がたきなを包んでいた。
パンツなど他人に拝ませることなどない。
もし拝ませるとすれば、相棒である「彼女」だけ。
だがいまこうして、たきなは人前で見せるはすのない秘密…、すなわちパンツを、堂々と見せれている。
それも、同い年の友達ではなく、芸能人やスタッフのカメラマンなどの、大人たちの前で。
そのことにたきなは、混乱とともに不思議な安心感を感じていた。
たきなは思う。
何故こんなにも大胆になれているのか、と。
普段はもっと慎重で控えめな性格だ。 千束のような明るさはない。
それなのに今は、どうしようもなく顔が熱くなりつつも、心は妙に晴れやかだった。
それが更にたきなを困惑させる。撮られている自分の姿を想像すると、恥ずかしさで頭が真っ白になる。
けれど、それでもスカートを捲り上げた手を下ろそうとは思わなかった。
「はい!ありがとうございます!」 ディレクターの声が響いた。
録画は終わった。
「終わりましたよ」
カメラマンから声をかけられたたきなは、慌ててスカートの裾から手を離して降ろした。
先ほどまで露わになっていたパンツは再びスカートの奥へと隠される。 「はぁ…」
終わった安堵からか、思わず息を吐いたたきな。
緊張の糸が切れてしまったようで、そのまま畳の上にどしんと音を立てて座ってしまった。
パンツを見せるのは以外にも体力がいるようだった。
たきなは天を仰ぎ、しばらく呆然としていた。
畳の香りと春の陽気に包まれるなか、羞恥心と達成感が入り混じった不思議な余韻が残る。
するとそんな放心状態のたきなにスタッフが話しかけてきた。
「お疲れ様でした」
そう言い、水の入ったペットボトルを渡してくれた。
「あ、ありがとうございます」
受け取ったたきなは礼を述べる。
そしてキャップを開けると一口、また一口と喉に流し込んだ。
冷たい水が火照った体に染み渡る。 心地よい涼しさが全身に行き渡っていくようだった。
たきなはようやく落ち着きを取り戻した。
(何やってんだろ、私…)
冷静になったことで先程までの痴態とも言える行動を思い出し、再び顔を赤らめるたきな。
恥ずかしさでまた頬が熱くなる。
だが同時に、奇妙な解放感も覚えていた。
誰にも見せられないはずの秘密を、大勢の前で晒す。
それは恐ろしいことのはずだった。 でもたきなはそれを乗り越えて見せた。
「ふぅ…」
たきなは静かに息を吐いた。
体の力が抜けていく。
彼女は今回の撮影で、少し大人になれたような、そんな気がしていた…。