大海賊時代より……美少女船長の生・配・信! ─West India Company─   作:海凪ととかる

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アーカイブ再生(【隋唐演義─風は万里を駆けゆく─】【天下布武─夢幻の如くなり─】)

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──過去作の公式切り抜きキター!

──これなに?

──風万助かるー。

──これはムーランの物語じゃん。懐かしー。

──ゲームとしてはクソゲーだったけどマサムネの配信は最高だった。

──『風は万里を駆けゆく』ゲーム評価低かったから観てなかったけど面白そうじゃん。

──物語としては最高だったんよ。物語としては。

──プレイはするな。でもマサムネの配信は観ろ。感動するから。

──……

 

 

 時は西暦612年。中国で随朝が栄華を極めていた時代、時の皇帝煬帝(ようだい)は朝鮮半島北部の高句麗(こうくり)国征伐のために113万の大軍を動員していた。

 

──ジャーン……ジャーン……ジャーン……

 

 昇り始めた太陽が朝霧を散らしていく早朝、皇帝の登場を知らせる銅鑼が鳴り響く中、洛陽の城壁の上に立った煬帝が見回せば見渡す限りの人の海。そこかしこに『随』の軍旗がはためき、整列した兵たちの持つ矛の穂先はさながら見渡す限りの銀色の麦畑であり、その様子は煬帝を大いに満足させた。

 そんな大軍の中に小柄な少年兵の姿があった。彼──否、彼女の名は花木蘭(ホァンムーラン)。各家から一人の男子を兵として出すようにとの勅令が出され、過去の戦で戦傷を負って戦えない父に替わり、父の甲冑をまとい、男装して従軍した少女兵であった。

 

「この役が終われば私は再び女に戻れる。それまで私は……否、(せつ)は女を捨てるでござる」

 

 そして場面は次々に切り替わっていき、後の世に『孝烈将軍』として知られる男装の麗人、ムーランの十年以上続く軍役の様々なシーンが映し出されていき、最後、随の滅亡を見届けた後に帰郷し、故郷の村を目前にして軍装を解く寂しげな後ろ姿だけが映される。

 

 ゲームタイトル【隋唐演義─風は万里を駆けゆく─】

 

 

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──本編マジで観たいんだが。

──最後のシーンでムーランがどんな表情しているのか分からないのがまたいい余韻。

──唐に鞍替えするのを良しとせずに舞台を降りた忠臣の鑑。

──普通に面白そうだけどな。なんでクソゲー扱い?

──プレイヤーにとって内容が辛すぎるんよ。

──主人公に時流を変える力がない無力感。

──リアリティはすげーんだが、なぜゲームにしたって感じだな。

──ムーランって古代中国の伝説的な人物らしいよ。

──実在の人物だったの?

──そこまでは分からない。

──ムーランは父に代わって従軍した親孝行と戦場での活躍から『孝烈将軍』と呼ばれておったが、いろんな時代の物語で登場するから空想上の人物との説もあるのじゃ。このゲームはムーランが初めて作中に登場する隋唐演義を題材にしておるの【Nobuna】

──そうなんだー……え?

──ノブナおるやんけ。

──嘘。本物?

──モデレーター権限のマーク付いてるから本人と思われる。

──なのじゃ。基本的にはROM専(みてるだけ)じゃが、たまに解説でコメントするかもなのじゃ。皆の者、よろしくの【Nobuna】

──……

 

 

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 時と場所変わって日本の戦国時代。桶狭間の合戦で駿河の国人今川義元を討ち取って見事勝利した、尾張の織田信長の本拠地である清洲城では今まさに重要な決断が下されようといていた。

 城内に設けられた茶室には、織田信長と、その娘でありこの度の戦に多大の貢献をした軍師の信菜姫の姿があった。

 信菜の点てた抹茶を一口啜った信長が鋭い目付きで問う。

 

「すると、其方は上洛を、天下取りを諦めよと申すか?」

 

「そんなことは言っておらんのじゃ。優先順位を入れ替えてほしいということなのじゃ。上洛を見据えた美濃、近江攻略よりも、今回の桶狭間での勝利の勢いでもって東国の三河と駿河へと勢力を拡大することを優先してほしいということなのじゃ」

 

「なぜそちらを優先すべきと?」

 

「今の美濃近江方面は敵が多すぎるからまだ時期尚早なのじゃ。無理攻めして敵を結束させては不味い。父上にはまず三河の松平元康殿と同盟を結んでもらい、三河を跡目争いで混乱中の駿河から独立させるのを手伝い、その上で後々必ずぶつかる一向宗の一揆を防ぐために尾張と三河の国を富ませることを優先してほしいのじゃ」

 

「国を富ませることが一揆を防ぐと?」

 

「農民たちは今世において希望がないから来世にすがるのじゃ。今世で満足しておれば坊主共の戯言に乗せられたりせんのじゃ。ゆえに今、国を安定させて農民たちが食うに困らぬようにするのは最優先なのじゃ。急がば回れということじゃ」

 

「なるほどのぅ。竹千代を助けて三河を駿河から独立させて、国を富ませて農民の不満を抑え込むが最優先か。あいわかった」

 

「父上が東国平定に動いておる間、妾は西国を旅してくるのじゃ」

 

「……其方、何を目論んでおる?」

 

「父上の為に上洛への道を整えておくのじゃ。とりあえず伊賀の百地、雑賀の鈴木、瀬戸内の村上には会っておきたいのぅ」

 

 澄まし顔で茶を啜る信菜を信長は唖然とした顔で見つめる。

 

「……其方、とんでもないことを考えるのぅ。さすがは尾張のうつけ姫じゃ」

 

「ほほっ。尾張の大うつけと呼ばれた父上にそう言われるのは褒め言葉じゃと受け取っておくのじゃ」

 

 そんな父娘の密談からしばらくして、男装し旅装を整えた信菜の姿が尾張の国境があった。旅の伴である大槍を担いだ大男がにやりと笑う。

 

「よっしゃ。じゃあ行くか姫さん、いや、若様」

 

「そうじゃな。護衛として頼りにしておるぞ前田慶次殿」

 

 後に戦国時代を終わらせ日本の統一を成し遂げる織田信長の覇業を支えた名軍師、織田信菜の偉業の始まりであった。

 

 

 ゲームタイトル【天下布武─夢幻の如くなり─】

 

 

──天下布武はマジで最高だった。

──懐かしいな。この父娘のお茶会が間違いなくターニングポイントだった。

──尾張のうつけ姫と戦国一の傾奇者による世直し珍道中。

──信菜自身も強いからこの二人の安心感やばいよな。

──二人のエチチな展開期待してたのに、最後まで戦友というか悪友ポジだったな。

──父が全軍で東国を平定している間に西国をたった五人で平定した人たらし姫。

──残りの三人は伊賀の百地三太夫、雑賀の鈴木孫一、村上水軍の村上武吉か。

──さすがにここではノブナはコメントしないなー。

──……

 

 

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