魔法少女あま☆マギカ〜親戚のお兄さんがヴィランじゃなくて魔女を追っかけていた〜   作:紡縁永遠

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第零話 二人の少年

 個性、人間が持つ超常の力。こういった時、炎や氷、風や雷、そんなベタな攻撃能力を思い浮かべるのか、飛行、転移、移動系の能力を思い浮かべるのか。まぁいろいろいるだろうが、この物語での主人公は、攻撃もできなければ移動もできない、いうなれば結界系、防御特化の個性である。

 その名も星装神殿(せいそうしんでん)天津甕星(あまつみかぼし)

 十八万平方メートルの円に±五十メートルの、千八百万立方メートルの円柱空間を作る結界系の異空型個性である。

 深さ25メートルの湖の中心には、立派な神社が創建している。

 そこで、湖の内周を二人の少年が走っていた。

 

 「はぁ…はぁ…はぁ…」

 「はぁ…はぁ…はぁ…」

 「ここまで!」

 「っだぁ!」

 

  湖面を走っていた二人は、そのまま倒れる。息を整えてから神社の中へ。

 

 「なぁ、出久。君は本当にヒーローを目指すのかい?」

 「うん、星夜(せいや)兄さん、僕はヒーローを目指して雄英に行くよ」

 「第二志望は?」

 「え?」

 「第二志望だよ、」

 「えっと…」

 

 ヒーローを目指すのは個性すら持たない少年、名前を緑谷出久。対するはこの異空間の所有者、個性、星装神殿・天津甕星を持つ、天宮(あまみや)星夜。二人は遠縁で遡れば同じ人間から生まれた親戚である。

 

 「警察でもいいんじゃないかい?」

 「警察か、」

 「個性の使用権であるヒーロー免許を持たない組織ではあるけど、その分、無個性でも輝ける」

 「僕はオールマイトみたいな」

 「わかっているよ、出久。あくまで可能性の話だ。それに人を救うというのはオールマイトの様に、ヴィランの前に立ち、一般人に対して背中で安全を語るらだけじゃないだろう?」

 

 緑谷出久が憧れるのは、ヴィランを倒し、民間人に安心を行動で示す、そんなトップヒーロー、オールマイトの様な存在だ。だが、それは個性があればまだ成せた夢だ。

 だからこそ、別のかたちで道を示そうとしているのが、星夜だ。

 

 「?」

 「ふむ、そうだな、ナイチンゲールなんてどうだ」

 「ナイチンゲール?」

 「フローレンス・ナイチンゲール。鋼鉄の白衣、クリミアの天使。呼ばれ方は多々あるが、ナイチンゲールが歴史に名を残した理由の大半は、医療ではなく、医療を一段階推し進める、統計学にある」

 

 クリミア戦争をささえた看護婦、後世に語られるのは、戦場で天使と呼ばれたその姿ではなく、医療の発展に力を入れ、現代医療の基盤まで作り、それを最大限活用する、統計学を作ったことだ。

 誰でもできることではないが、それでも数字である。数字は嘘をつかない、それは誰でも使えることを指す。

 

 「それでも、ナイチンゲールと聞けば出てくるのは、戦場をささえた医療従事者、看護婦(ナース)としての姿だ。おいかい、ヒーローというのは戦うだけじゃない。回復系個性がレアとされるこの世の中、個性がなくても技術でも追いつけるのが医療だよ」

 

 戦う力を持たない二人が、なぜここまでするか、子供というのはヒーローに憧れるのが世の常だ。

 王様になってみたい、光り輝く指輪をつけたい、何かを本気で守ってみたい、スーパーヒーローになってみたい、命を懸けても悪に挑みたい。そんな憧れが、緑谷出久を駆り立てて、そんな夢を応援するのが天宮星夜である。

 

 「戦うことを目的とするなら、第一志望をヒーロー。第二志望を警察。第三志望を医療従事者。こうしておけ、考えなしとは言わせるな。いいか、人の夢は何事にも侵されない希望だ。虐めなんて気にするな、無個性でも人を救えることを示せばいい」

 

 無個性と言うのは、あまり良く思われない。人が当たり前に持っている力を持っていないと言うことは、それだけ、虐めやすい。

 人と違うということは異端であり、孤立しやすい。しかも、個性ありきのヒーローを目指すとなれば、それはもう敵視される。

 

 「次はいつ来るんだ?」

 「夏休みかな、静岡から、群馬ってかなり遠いからね」

 「そっか、じゃあまたね、出久」

 「うん、またね星夜兄さん」

 

 ちなみに、二人は同い年である、現在互いに14歳、ただ星夜が少しだけ誕生日が早いだけである。 

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