魔法少女あま☆マギカ〜親戚のお兄さんがヴィランじゃなくて魔女を追っかけていた〜 作:紡縁永遠
Side星夜
「冬桜?」
「そう、親父の使う必殺技みたいなもの、」
昼休み、見滝原中学の屋上で呼び出した竹箒に乗って体重を支えて申し訳程度の浮遊をしていた俺は、魔女に対する決定打に一つ心当たりがあった。
「冬桜、まぁ名称はさほど問題じゃない。問題は技の原理だ。人は常に、脳と体に制限をかけている、極度の集中状態でその制限を解除、突破することで大きな力を得られるゾーン状態、親父はコレに自発的に入れるんだ」
「どういう事?」
「簡単に言えば、人が本来持つ力を自発的に引き出せるんだよ。まぁその分負荷も普通のゾーン状態よりは大きいけどね。たしか、200分の1秒に反応できるし行動できる、そのかわり使ったら疲労のせいで倒れる、前提として脳のリミッターを外して200分の1秒の視界にはいると、それに反応して200分の1秒の行動が可能になる。持続時間は20秒、それでも個性同等の力を得られる。今の俺に必須の技術だ、」
「そんな方法を使ってまで戦いたいの?」
戦う方法の最低ラインの提示をすると、マミさんが心配したように質問をしてくる。言葉には出さないだけでまどかも心配しているようだ。
「戦うわけじゃない、逃げるためだ、20秒のうちの、200分の1秒、コレはあくまで動かずに脳だけ使っている状態、実際には5秒くらいしか持続できなかったりする。だから逃げるんだよ、せめて戦っている魔法少女に割って入り逃げるくらいの動きはしたい。ちょうど帰ってくるんだ、極意を意地でも聞いてやる」
コレは俺のエゴだ。魔法少女の圧倒的力に大きな壁を感じる、親父という存在も大きな壁だったけど、同級生に負けるってのは納得がいかない、1秒でもいい、動けるようになりたい。
男ってのは案外単純で、でもそれが大きな成長になるという、なら、今が重要だ。超えるには大きすぎる壁だけど、それでも挑戦するぶんには問題ないだろ。
まずは個性の発展、竹箒に乗った状態である程度の移動ができるようになりたい、今やっているのもそうだ、自分で自分を支えるという矛盾した状態だが、触れずに動かせるからできる芸当だ。
「男の子って単純だね」
「グフッ……」
箒から滑り落ちる、
「さやか、それは一番傷つくぞ、納得はするが他人から…それも女子に言われるのはかなりくる!」
「なんか、ゴメン」
「まぁ、今日は魔法少女体験コーナーがないんで、付き合ってくださいよ、マミさん」
「ふふっ、わかったわ、」
今日は魔法少女体験コーナーがない、さやかは上条のお見舞い、まどかはその付き添いだ。少しでも役に立てるように。
放課後、天星神社にマミさんを連れてきていた
「で、何をするのかしら?」
「ある程度の準備体操をしたら走ります。正攻法というのもおかしいですが、ゾーン状態に入ることに慣れます、」
「一応原理は聞いたけど難しくないかしら?普通にゾーンに入るだけでもかなり難しいんでしょ?」
「はい、極度の集中状態と、限界を超えて動こうとしたときに入ることが多いとのことですが、俺の場合は入りやすいということです。祖父の個性がそういうものだったらしいんですよ。まぁ、今はいないんで、詳しくは親父に聞くしかないんですけどね」
軽い準備運動を終えて、湖の外周を走り出す。マミさんは、温泉に入っている。なんでって、ただ走るだけだからである。
ちなみに外周は、約1,504メートル、取り敢えず六周半、十キロだ。
Sideまどか
さやかちゃんが、恭介くんのところにお見舞いに行っているのをロビーで待っていると、さやかちゃんはすぐに戻ってきた。
「どうかしたの?」
「それがリハビリ中で留守だった。せっかく会いに来てやったってのに。まー、頑張ってるんだし仕方ないよね」
「そっか、じゃぁ帰ろっか」
そうして病院から出ようとすると、向かいの壁が光って見える。
「ねぇ、あれなんだろう」
「グリーフシードだよ、」
「キュゥべえ!」
「え?でもグリーフシードってたしか…」
「魔女の卵だね、もう孵化寸前だ、早く離れたほうがいい」
「まって!たしかマミさんが、病院に魔女が取り憑いたらヤバいって!アタシここで見てる!だからまどかはマミさんを!」
「え?!」
さやかちゃんが残るの?でもそれじゃあ…
「ムリだよ、孵化まで時間があるとしても君じゃあ結界から出られない」
「それでも、残る!」
「わかった、ボクも一緒に残ろう、結界に閉じ込められてもマミならテレパシーでボクの居場所がわかるからね」
「じゃあ、行ってくる!」
「ところで、マミよりも天宮に連絡したほうがいいんじゃないかい?今マミは彼と一緒にいるんだろう?」
「あ、そうだった」
私はスマホ取り出して、星夜くんに連絡をする、あ、でも神社の中にいたら連絡は……繋がった!
「星夜くん!」
『どうしたまどか?』
「マミさんいる?魔女の結界が!」
Side星夜
「……」
そろそろ五周、あと一周半!
「星夜くん、黒電話がなってるけど……」
「え?わかりました、」
ペースを落としながら神社内においてある黒電話をとる。
『星夜くん!』
「どうしたまどか?」
『マミさんいる?!魔女の結界が!』
「魔女がどうした!詳しく説明しろ」
『えっと、今病院にいるんだけど、孵化寸前のグリーフシードがあって、それでさやかちゃんがその近くで待ってて』
「わかった、離れてすぐにわかるところにいてくれ、すぐに向かう!」
よりにもよって魔女に対策ができない二人のところに!
「マミさん!」
「話は聞いていたわ、すぐに行くわよ!」
「ああ、」
結界を解除して、走り出す。結界を、開いた場所は俺の家なので、少し距離があるが、逆に言えば自転車がある。
「使ってください!オレもすぐに向かいます!」
サイズ調整をしている暇はないので、そのままマミさんに乗ってもらい走らせる。
もう一つあるが親父のだし、何よりパンクしている。使えない、自力で使うしかないようだな!まぁ一キログラム圏内にあるから問題ないか、急がないと。