魔法少女あま☆マギカ〜親戚のお兄さんがヴィランじゃなくて魔女を追っかけていた〜 作:紡縁永遠
Side星夜
「あの、いい加減泣きやんでください」
「だって、だって、だって!」
回復した足は痛みがのこったが、温泉に使ったので今日一日しっかり休めば問題ないだろう、そう思っていた。現在ケガをした足には黄色いリボンが巻かれている。既に治っているのだから意味がない、無駄な包帯だが、マミさんが温泉から上がって着流しに着替えた俺の足に結んだのだ。
大丈夫ですと、言ったら泣き出して、冒頭のような状況になるのである。
「どうしよ、」
「だってぇ…」
取り敢えず頭を撫でながら大丈夫だと伝えると、泣き声が小さくなる、コレで寝てくれと思いながら、完全に泣き声が無くなるのを待つ。
「寝たか…」
「天宮星夜、」
「なんだ?暁美、」
「今回の件については感謝しているわ、でも、わかったでしょう?これ以上魔女に関わらないほうがいいわ、鹿目まどか、美樹さやか、貴方たちもね」
「………わかった、ならそこのセールスマンを引き取ってくれ、あとマミさんの家の場所わかるか?さすがにこのまま放置できないんだが、」
セールスマンとはキュゥべえのことだ。契約してくれないかい?とか言うのだから合っているだろう。問題はマミさんだ。穢れはためちゃいけないはずだから浄化しないといけないし、それにはグリーフシードが必要で、それを手に入れるには魔女を倒す必要があって。
「それと、コレ、今回の件のお礼よ、」
「マミさんにしか、需要がないでしょう、ありがたくもらいますけど」
暁美からグリーフシードを受け取って、マミさんのソウルジェムにかざすとソウルジェムの穢れがすべてグリーフシードに吸収される。なんで魔女の卵が穢れを吸収するんだろうか?
魔女は穢れの塊、それに立ち向かえば穢れも溜まる。ストレスでも溜まるって言ってたな。でグリーフシードは魔女の卵。あ、そうか、グリーフシードは穢れを吸収して魔女の栄養にするのか。だから、グリーフシードが魔法少女の回復アイテムになるわけだ。
穢れが溜まったグリーフシードはキュゥべえに渡す、さてとどうしますかね。
「巴マミの家なら私が知っているわ、紙なりなんなりで書き置きでも置いておけば問題ないわ」
「そうですか?まぁ魔法少女の貴方がいるなら任せますが、それに今の御時世、間違って通報されても困りますしね………」
「たまにあるアンタのその警戒はなんなのさ」
「重要だぞ、たとえ年上でも、中学同士なら男のほうが不利になるからな、」
「そう…」
そうして、暁美にマミさんを任せて、俺は家に帰って足を止めた。玄関に知らない靴がある、いや、知ってはいる。だが、こんな小綺麗だったか?気のせいか?いや、まぁどっちにしろ、親父が帰ってきたことにはかわりないか……終わった。
「ただまい、でもってお帰り、」
「おう………お前、怪我したのか?」
「………なんでわかるんだよ」
「隊員のケガは、部隊全体に関わる、治って入るが痛みはのこっている感じたな、」
「はぁ、相変わらずだな、」
化け物じみた察し能力だ。たしかに言いたいことはわかるが、それでも、治った怪我に対して俺は痛みを気づかせないように振る舞っていたはずだぞ?なんでバレた?
「それで?腹の決まった目をしてるが、何があった?そして、何を求める」
「俺に、冬桜を教えてくれ」
「………わかった。睡蓮湖殿・桜華橋」
「?!」
「一応聞いてやる、何のためだ?」
「言えない、」
「そうか……巫山戯るなよ?」
「ぐっ?!!」
目の前には木刀、なんとか竹箒で防ぎ、親父の個性、睡蓮湖殿・桜華橋に入る。俺の個性と違い、祀るの神ははっきりわかるし、足場も蜘蛛の巣のように枝分かれする桟橋、踏み込みはこっちのほうができるが、それは親父も同じこと。
私服姿に木刀一本、本気じゃねぇか、服装は関係ない、纏っている覇気が段違いだ。
「冬桜はお前が思ってるほど簡単じゃねぇんだよ、その構造上、脳に負荷をかけるし、時に音速を超えることもある。餓鬼が手ぇ出せる技じゃねぇんだよ、そもそもゾーン状態はプロのアスリートですら難しい領域だ。お前にそれを使いこなせる価値はあるのか?」
「あるかないかじゃねぇんだよ!必要何だよ!」
「………なら、示せ、」
「っ!」
クソっ、俺は親父に勝てたことがない、それでも、ここで負けるわけには行かない、魔法少女が強いって?確かにつよいさ、でも、死ぬことはなある、なら、できる限りのサポートを、できる全てを!
木刀に対して、竹箒だけど、やらないわけにはいかない、戦えるからつよいわけじゃねぇんだ。人は弱い、それをささえる人間がいるから強くなる。マミさんは孤独だと言っていた、なら。いま人がいる状況でああなったってことは、独りでいることの反動だ。支えられる人間は多いほうがいい!
「何かあるようだが、踏み込みが甘ぇよ!」
「がっ…!………まだっ!」
「ちっ!諦めが悪いなぁ!警視流木太刀形、神道無念流」
視野が広すぎる!どこ見て攻撃してんだよ…親父は自衛隊の中でも珍しい、剣道も使う。本来ならば銃剣道、または短剣道を使うが、木刀一本でそれらと同等の動きを見せる。それはそのどちらも理解しているからだ。さらに、親父は
警視流木太刀形を使うから、技の範囲が大きい。
「高い動体視力が仇になったな………諦めろ、まだ早い」
「まだっ………!」
「………はぁ…実力差もわからねぇほど落ちぶれたか?それとも、何がお前を駆り立てる。何が、天宮星夜にそこまでの目をさせる。俺が家に置いておいたナイフまで持ち出しやがって…」
「一人を好む人間はいるけど、孤独に耐えられる人間はいない………親父が俺に教えてくれた………なら、友の為に、こうやって求めるのは違うか?」
マミさんや、まどか、さやか、魔法少女に選ばれる人間は、精神に不安がある。おそらく暁美もだ。杏子は分からないけど、それでも、足手まといはゴメンだし、それが理由でみんなを悲しませるわけにはいかないんだよ!
「だからお前は餓鬼なんだよ、友だなんだで必要のないことに首を突っ込むな、」
「それでも!俺は!」
「一般人が何言ってやがる、お前は中学生の一般人、いいか、出来ることには限度がある。いいか、一般人なら専門家に頼れ、餓鬼に出来ることは少ない、」
「餓鬼でいい!餓鬼だからできることがあるだろうが!」
子供の喧嘩に親が出ては意味がないのと同じだ。子供の交友関係に親が口を割ってはいるな!
「………それがお前の、答えなら否定しねぇよ、だが俺が冬桜を教えるかは別問題だ」
「!」
後頭部と右腕に激痛が走って俺は意識を手放した。
目を覚ました場所は整骨院、右腕が骨折していた。そして、頭は出血だけで親父の応急処置でそこまでのケガではなかった。それでも、親父が俺に対して、冬桜を教えてくれないことは理解した。
ただ、天宮星夜の賽銭箱に親父が使っていた木刀が一本刺さっていた。何してんだ………くれるってことか?なぜか手に馴染むそれを、俺は左手で軽く振って、親父の意図が分からずその日は眠りについた。