魔法少女あま☆マギカ〜親戚のお兄さんがヴィランじゃなくて魔女を追っかけていた〜 作:紡縁永遠
Side星夜
朝起きると、親父はいなかった。珍しくスーツを着ていったことが見て取れた。作ってあった弁当を取って、学校に向かう。
「はぁ…」
まどか達がいる場所に向かうと、やはり驚かれた。折れた右腕、包帯を巻いた頭部、明らかに異質だったからだろう。
「ど、どうしたの?!」
「親父と喧嘩した、」
「自衛隊でしたよね?」
「ああ、」
「………いま言うべきでないんですが、自衛隊って何をするんですか?」
「え?」
「確かに、ヒーローがいるじゃん、」
「災害特化のヒーローもいますしね、」
確かに、ヒーローがいるなら自衛隊は要らないと考える人間も多いが、それは又違う。
ヒーローはあくまで、個性を使用した、個を押し出した仕組みだ。確かに個性を使える分、単一の実力は強くなるが、統率という点では大きな後れを取る。
対して自衛隊は個性の仕様が基本的に禁止されている。隊は個があまり重要視されない、なぜなら、周りに合わせられない人間は邪魔になるからだ。
個性を重視するヒーローと、個性を捨てる自衛隊、コレが二つの主な違いた。まぁ、まだある。
ヒーローは個性ありきの存在ゆえに個性を対策されたらかなり弱くなる。他にも役目は個性犯罪への対象、治安維持が目的だ。それに対して自衛隊は国外派遣や国防などがある。
国外は個性に対する認識も違うから個性の使用も難しくなったり、場所によっては個性を平気として使う国もあるので、ヒーローの国外派遣はかなり面倒な手続きを挟むのだ。それに対して自衛隊は個性を捨てるために、国外派遣がヒーローより容易だ。
それに災害特化のヒーローといったがあくまでそれは、突発的なものばかりだ。大規模な自然災害では個人行動より集団行動のほうが向いていたりと、かなり良さがある。
「まぁ、こんな感じだね。自衛隊はあまり良いふうに言われないけど、結構重要なんだよね、何より日本なのに兵器と言うのはおかしいけど、兵器運用が可能だからね、一概に捨てきれないんだよ」
「なるほど………」
「じゃぁ、なんで喧嘩したの?」
「ちょっと鍛えてもらおうと思ったんだが、拒否されてな、無理言ったらこうなった。まぁ、俺が出した案以外に強くなる方法はあるにはある、というか、一番簡単な方法だ」
「そんなのあるの?!」
「いや、お前ら、星装神殿に入り浸ってるんだから気づけよ、俺の個性、拝殿と鳥居しかないんだよ、」
「「?」」
「つまり、神社として、祀っている神がいないってことだ」
「え?!」
そう、俺は星装神殿・天津甕星において、特段何か祀っているわけじゃない、天津甕星は神の名前だが親父が個性名をつけるときに決めたものだ。
ちなみに親父が祀っているのは、西行妖、何でも適当に見つけた忘れかけていた神を拾って現在、中心に上直したらしい。木花之佐久夜毘売ではないらしい。
賽銭箱に木刀が突き刺さって思い出した。そういや母さんにも何か祀るものがあったほうが神社らしくなるんじゃない?って言っていた。
「で、何祀ればいい?」
「分からないよ…」
「そうか……どうせ今日の放課後もフリーだしなぁ…」
マミさんはおそらく魔法少女として動くには難しいところだろう。今は俺の顔は見せないほうがいい可能性もあるからなぁ、そっちはまどかとさやかの任せるとして、俺は別の魔法少女を頼ることにする。
4日ぶりに風見野に行くわけだ。あ?、いろいろありすぎて忘れていたが、風見野言ってからまだ、4日しかたっていないことに驚く。この一週間がこすぎるということでもあるのかもしれないが、
というわけで、放課後に風見野に来た。
杏子はどこにいるんだ?
「あ、」
「ん?」
銀行前でコソコソ隠れている杏子がいた。
「ちっ!」
「弁当持ってきたけど欲しいか?」
「!もらう!」
なんとなく予測していたが、魔法少女って問題抱えた奴しかいないのか?バグってんだろ。マミさんは両親いないし、杏子は貧乏そうだし。暁美は心臓に病気患ってたらしいし。
何?不幸に付け込んで魔法少女増やしてるのか?キュゥべえの奴。
「今度はもっと増やしたほうがいいか?」
「そりゃありがたいけど…」
「貧乏そうだし、魔法でATM破壊するなら、知り合いを頼れよ、」
「!お前!」
「警察にもヒーローにも言わないから安心しろ、それよりも、増やしたほうがいいか?」
天星神社で、弁当を渡し、食べている杏子に質問したら銀行前でコソコソしていた理由がわかった。カマかけた回があったぜ。
「いや、それならお前はどうなんだよ、なんで骨折してんだ?」
「親父と喧嘩してこうなった。高い壁だよね本当、」
「………嫌いなのか?」
「いや、尊敬はしているかな、だからこそ、大きな壁なんだよね………越えたいのに、何か足りなくて、それでいてすぐに越えられそうな壁なのに、一向に越えられない壁にも見える」
「アタシは、好きだった、かな」
「過去形か、何かあったのか?家出?」
「いや、一家心中未遂かな…」
その言葉は、どこかさみしくて、それでいて憧れのように感じた。
「聴くか?」
「話したいなら、それに、こっちの方も手伝ってくれるとありがたいかな、今人手不足だから」
「あ?マミがいるだろ?」
「ちょっと精神的な傷が大きくてね、人ではあったほうがいいから、」
「………アタシの親は、教会を開いていた」
どうやら、この話は杏子の親の話と、今回手伝ってくれることについてのようだった。
「正直すぎて、優しい人だった。新聞を読んで涙を流し、どうすれば世の中が良くなるかを真剣に考える人だった」
「それはいいことじゃねぇのか?」
「新しい時代を救うには、新しい信仰が必要だっていうのが親父の言い分で、ある時親父は教義にないことまで信者に説教するようになった」
「…当然信者の数はばったり途絶え、本部からも破門された」
確かに教義と違うことを話されたら、信用はなくなるな。
「あたし達は一家揃って空にも事欠く有様になっちまった
「どんなに正しいこと、当たり前のことを話そうとしても、世間じゃただの鼻つまみ者さ。納得できなかったよ。オヤジは間違ったことなんて言ってなかった。ただ、人と違うことを話しただけだ」
「だから、あたしはキュゥべえに願ったさ」
「皆が親父の話を真面目に聞いてくれますようにって」
「その願いのおかげで、信者は増えていった。怖いくらいに。そうして晴れて魔法少女の仲間入り。バカみたいに意気込んで、それで世界が救えると思っていた」
「でもね、ある時カラクリがバレた。信者が魔法の力で集まったって知った時、親父はブチギレたよ。あたしのことを人を惑わす魔女だって。事実そうだったわけだ」
それは、いや、そうか、結局信じてもらえなかったから、偽りとして、信じなかったのか。
「奇跡ってのはタダじゃないんだ。希望を祈れば、それと同じ分だけの絶望が撒き散らされる。そうやって差し引きをゼロにして、世の中のバランスは成り立ってるんだよ」
「それは、互いに理解してなかったからだろ、俺も昨日喧嘩したばっかりだしな、親の考えが子供にわからないように、子供の考えも親に伝わらないんだよ、まぁ、だから汲み取ろうとするんだけどな、」
結局、俺は冬桜を使わずに対処しなければならない、だから、何ができるかをまた模索することになった。それがいまだ。杏子を見滝原に連れてコレばマミさんの分はカバーできるはずだ。
「………あれ?」
「どうした?」
「もしかして、家ない?」
「うん、」
さて、どうするか、いや、いざとなれば方法はあるが、確実にオヤジにバレるからな、仕方ない、連絡するか。
黒電話を取り、親父に電話をかける。
「なんで黒電話何だよ」
「仕方ないだろ、最初からの備え付けなんだから、そのかわり結果外にいる人間にも繋がる…っと、もしもし?俺だけど?」
『誰だお前は、オレオレ詐欺をするな、』
「アンタの息子の星夜だよ、」
『お前か、なんだ?今墓参り中なんだが、』
「えっと、家がない人間を拾いました」
『………幾つだ?』
「……何歳?」
「たぶん、14、」
「俺と同じ、」
『あ〜……取り敢えず家につれてこい、話はそれからだ』
「了解、」
受話器を置いて、電話を切る。
「保証はできないけど、家に住めるぞ」
「助かる?」
「今はそれでいいんじゃねぇか?」
さてと、帰りますか、しかし、親父が墓参りねぇ、誰だろ。
Side親父
「はぁ…まさかまさかだな……悪いな、美国の娘」
スマホの電源を切り、隣にいた少女に声をかける。
「………その言い方やめてくれませんか?」
「ああ、悪いな。名前を知らんからな、こう言うしかねぇんだよ」
「織莉子です、父とは何か関係が?今の美国家に律儀に墓参りをする方は居ないと思っていたんですが」
「天宮
汚職で自殺した政治家、美国久臣。俺の旧友で、今回の休暇はこの悲報を聞いてのことだった。そして久臣の墓参りに来て、一緒になったのは久臣の娘、美国織莉子。接点はさほどない。久臣の奥方が亡くなったときにちらりと見た程度だ。
「そう、ですか、」
「………随分と大人になった」
「っ…!」
「ああ、悪い悪い、そういう意味じゃねぇよ。まるで、今のお前は、かつて修一郎のようだ。お前、久臣と話せていたのか?」
「どういう意味ですか!」
「修一郎は久臣が嫌いとする人間だ。そんな嫌いな人間の様なお前をあいつは真っ直ぐ見れるとは思わねぇって話だよ、餓鬼だ餓鬼だと思っていると、いつの間にか大人になってやがる。お前はその典型だな、大人になろうとしたのに、親に、父親に理想を抱く」
「なにが言いたいんですか?」
「なに、子供の成長は親の預かりしなくコトってことだよ」
いつの間にか、あいつも強くなっていた。冬桜まで使わされたのは初めてだったな。この数ヶ月で何があったのやら。だからこそ、うれしいのかもな、成長していく星夜が、まだ教えられることが残っていることに安堵しながら、いずれ乗り越えていく未来に対して期待もする。
「久臣はお前のことを嫌っていたんじゃない、恐れていたんだろう。子供は親を越えていくが、そんなに早くなくてもいいんじゃないかってのが親の意見だ。もう話せなくなることは理解しているなら、少しでも、美国久臣を知っている奴を頼るのもありかもな。少なくとも、お前は大人を気取っているだけの、子供だよ」
さて、あいつが最近何しているか探りますか、親を頼れと言って、冬桜を教えず、それで課題だけ出して、俺は親をできているのかね。
はぁ…金はあるな、そもそも物欲がないし、持っていても意味ないから貯金はある。まともな人間なら数日家に置くことくらいはできるだろ。
久臣の娘と別れて、俺は帰路についた。