魔法少女あま☆マギカ〜親戚のお兄さんがヴィランじゃなくて魔女を追っかけていた〜   作:紡縁永遠

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第壹話 天宮星夜

Side星夜

 

 「ん…」

 

 大きく伸びをして、これから始まる新学期に、憂鬱になりながらも、見滝原中学校へ脚を進める。

 とは言え、既に一年関わってきた周りが多いから、変に緊張することもない。なにせ、この学校には無個性がお多い、出久もこちらに来ればいいと言うのに、まぁ静岡でも頑張っていると信じよう。

 

 「あ、星夜くん」

 「久しぶりだねまどか、元気してたかい?」

 「うん、また一年よろしくね」

 

 隣の席になったのは鹿目まどか、出久と同じ無個性の少女だ。このクラスには何人かいる。俺が知る中だと、美樹さやか、志筑仁美、上条恭介の三人。上条恭介は分からないが、まどかとも関わりのある人間である。

 無個性が多いからなのか、無個性であると言うだけで態度を変える人間は少ない。四人以上無個性で身内に無個性がいるのが一人、虐めをするのも難しいということだろう。

 

 「まぁ、何があるかわからないけど、互いに頑張ろうか」

 「だね、」

 

 まぁ、中学二年生の始業式なんて、面白みもないんだがな。実際、軽い顔合わせと、新しく入れ替わった教師。教科担任の確認程度だ。

 いや〜、リモートで十分だと思うんだよな始業式は、春ならまだいいが夏場なら熱中症のことも考えて、リモートまで行かなくても、教室待機で放送でやるなりなんなりしてほしいものだ。

 

 「帰るか、」

 

 早々に終わった始業式、ガラス張りのビルが乱立する見滝原、茜色の空の光がガラスに反射して幻想的だ。そして、それを壊す、異様な雰囲気。知らない気配、息が詰まる腐臭、瞬き一つすれば、幾千幾万と咲き誇る。バラ園に立っている。

 

 「バラ園にしては、酷い匂いだな」

 

 腐臭、荘厳なバラ園からは考えられない腐った匂いに頭を痛めながら、出口を探して歩く。神隠しの一種だろうか、

 シャキン、と音を鳴らしながら、薔薇園の管理者らしき存在が目の前に現れる。蝶々の身体で綿のような顔にカイゼル髭がついた得体の知れないモノが大きなハサミを持ちながらこちらを見ている。

 

 「おいおい、ヒーローでもない個性の使用は犯罪だぞ」

 「………」

 「聴く耳持たないか………」

 

 個性を発動して、竹箒を取り出す。武器ではない、普通の竹箒よりほんの少しだげ頑丈な、ただの竹箒だ。俺の個性、星装神殿(せいそうしんでん)天津甕星(あまつみかぼし)内に建つ神社の掃除に使うただの竹箒だ。

 本当になんの特殊能力、効果もないただの竹箒である。唯一普通じゃないとすれば、自身わ中心とした半径2メートル内の球体の中なら、自由に操作できることである。ただの竹箒を操作してなんになるんだって話だけどな。

 

 シャキン!

 

 Das sind mir unbekannte Blumen.

 

 Schneiden wir sie ab?

 

 Die Rosen schenken wir unserer Königin.

 

 Und die schlechten Blumen steigen auf die Guillotine.

 

 Ja, schneide sie ab!

 

 Ja, schneide sie heraus!

 

 何が言いたいのか分からん、見た目からして人間じゃないが、異形系個性か?それとも、俺と同じ結界型の個性か?それなら空間を守る使い魔なりなんなりで説明がつく。攻撃性能があるなんて羨ましいな………なんて、楽観視出来るような状況じゃないな。

 空間を守る使い魔なら、俺に攻撃してくる可能性もある、ヒーローの技なら、一般人を巻き込むような戦い方はしないはずだ。どちらにせよ、日本に関係する存在じゃないのは確かだ。

 何語だ?かろうじてわかったのはギロチンという単語一つだけ、ギロチンは処刑の象徴、俺を殺す気なのは確実。なら、取るべき選択は一つ、刺激しないように後退して………

 

 シャキン!

 

 そうだよな、逃がしてくれるわけないよな!

 あの鋏は園芸用の鋏、なら、竹箒の柄は斬れないなんて甘い考えは捨てろ。超常社会、何があっても不思議じゃないのが今の世の中だ。水を炎で焼けるか?焼けるさ、少量の水を溶鉱炉にぶつければ。それと同じだ、俺が持つ竹箒はほんの少し頑丈程度の普通の箒、対しての攻撃力のある鋏、防げるはずがない。

 

 シャキン!

 

 「くっ?!」

 

 危ない、少しでも反応が遅れていたら、腕が吹っ飛んでいた。比喩でも何でもないそう感じた。方法があるとすれば、結界に結界をぶつけれ対消滅させる方法。幸いなことにそれができる、だが、成功する保証もなければ、相手を刺激する可能性も………言ってる場合じゃねぇ、やるしかないだろ。

 

 「おい、頭が高いぞ、神の御前だ礼節をもち、自らの身をわきまえろ―――星装神殿(せいそうしんでん)天津甕星(あまつみかぼし)

 

 結界を塗り替える。

 十八万平方メートルの円の中心に立つ神社は、星の神を祀る社、なんとか成功したか。どうやら結界の質は俺のほうが上らしい、まぁ、あくまで相手の有利が減っただけで俺が持つ攻撃技は竹箒で殴ることだけなんだけどな。

 しかも結界を展開するにあたり一体ではなく、十体ほど、巻き込んで展開したようだ。似たような見た目の、異質なモノが、俺の周りを囲っている。

 

 「さて、ここからどうしよう………」

 

 結界という有利をこちらに持ってきたが、依然として俺は戦えないのである。

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