魔法少女あま☆マギカ〜親戚のお兄さんがヴィランじゃなくて魔女を追っかけていた〜 作:紡縁永遠
Side????
「かつて希望を運び、いつか呪いを振りまく者たちの、魔性の物語。この物語によれば、父親に個性の本来の形とも呼べる者を教えられた天宮星夜が、さらなる段階へと進もうとしている。そのなかで、魔法少女候補でしかない美樹さやかは、幼馴染の上条恭介に………おっと、読みすぎてしまいました。ん?僕が何者かって?それは、読み過ぎも読み過ぎ、ネタバレどころの騒ぎじゃない。まぁ、考察は好きにしてくれたまえ。それでは、今度こそ魔性の物語の再開すだ」
Side星夜
「糞だ………」
「どうしたの?」
日曜日を飛ばして月曜日、俺は疲労が抜けない状態で学校に向かっていた。親父は今日静岡に向かった。個性の研究が好きな出久に御守りを渡しに言っている。
これでいつでも知見を得られるからとのことだ。
昨日の日曜日、俺は親父と数時間撃ち合いをし続けた。第一空挺団の親父の体力は化け物で、いまだに疲労が抜けない。冬桜が必要ないと言った意味も改めて聞かされた。俺の体力が実戦投入できないんだそうだ。使用時間5秒、これは俺が冬桜を初めて聞かされたときに、俺が使えるであろう秒数で。今の俺が使えば十秒。最低でも三十秒は必要だと言われた。
そして、俺が目指すべき、個性の使い方も知った。本殿は祀る神がいないから後回しで、今は、別の施設。神楽殿を展開できるようになれと言われ、体力向上を軸に師事を受けている。
「それより、御守りについてだけど」
「あ、ほむらちゃんからもらったよ」
「なら、さやかか、はい。何かあれば、最大二人、星装神殿に避難できる、バックドアみたいなもの。社務所も作ったほうがいいか?まぁいいか、とりあえず魔法少女体験コーナーから少し離れる。それにいろいろ問題も起きたみたいだ」
「そうなの?!」
「やっぱり能力あるっていいよね、」
さやかの羨ましがる言葉に、俺も頷く。
「そうだな、俺は今だに自分の個性に対して実感がわかないよ」
「…何かあったの?」
「あった、ありまくりだ」
どんでん返し、いろいろと認識がひっくり返った。
「星夜くん!」
「あ、マミさん、おはようございます」
「大丈夫なの?!」
現在俺は魔法少女の魔女狩りへの参加を停止させられている。理由は、魔女を倒せないからである。親父の本気度がしれたところで、魔法少女側からも、甘やかすなと、俺との会話が突っぱねられた。
「疲労が抜けないですが、まぁ大丈夫ですよ、それに、親父の異常さをようやく思い出せたので………」
ハイライトが消えた目で、俺はマミさん達に告げた。
「え〜、今日は転校生がいます、入ってきてください」
学校につくと、早乙女先生が、転校生を紹介する。
「佐倉杏子です、よろしくお願いします」
今日は杏子の転校日である。親父、手続き早すぎるだろ、三日しかたってないし、なにより、昨日、一昨日と俺につきいっきりだっただろうが………。
昼休み、重箱弁当を杏子と分けながら、昼食を取り、暁美、マミさん、さやか、まどかの六人で集まっている。
「魔法少女狩り?!」
「そう、それで、俺も実力アップのために、動けなくなってさ。まどかとさやかも危険だから、体験コーナーは一次お休みということになったんだけど、」
「いや、まぁ、それならいいんだけど、それどうなってるの?」
「え?ああ、根性」
現在、箒を浮かせ、それに乗ってバランスを取りながら昼食を食べている。自分の体重をささえるくらいなら問題はない。
「それにしても、佐倉杏子が天宮家の養子になるとはね」
「母さんが今日帰って来るからね、多分甘やかされると思うよ」
「え?そうなのか?!」
「土曜日に人手が足りなくなるからって、特別枠の海外出張ヒーローの仕事に区切りをつけて帰ってくるんだよ」
「海外出張ヒーロー?」
「海外派遣を、主としたヒーロー。国同士の結束を固めるのが目的らしい。名前は、天宮
自衛隊が、個性を抜きとした、国家防衛と、災害派遣を主軸とするなら。母さんがいる、海外出張ヒーローは、国家防衛がない、個性運用が可能な災害派遣に近い。
二人がなんで結婚したかは胸焼けするが、馬鹿みたいにムカつく両片想いの鈍感が始まるらしいが、まぁ、うん、無視しよう。
「へ〜、前にあったことがあったけど、あまり覚えてないんだよね」
「そうか、まどかは一回会ったことがあったな。一年半前だから覚えてなくてもしょうがないぞ………なんであの親は中学生を一人暮らしさせてんだ?」
「私も一人暮らしよ?」
「私も…」
「私に至っては、ホームレスだぜ?」
中学生を一人暮らしさせる両親に疑問を持ったが、横から、マミさん、暁美、杏子の順に、同じ境遇を突きつけられた。マジで魔法少女って家族問題多すぎないか?それとも、孤独な人間を狙ってんのか?
「まぁ、うん、人を甘やかすことが好きな人だから、多分大丈夫だと思う」
こうして、学校は終わった。俺の唯一休憩できる時間は終わってしまった。
Sideさやか
魔法少女体験コーナーがなくなったから。今日も恭介のところに、お見舞いに来ていた。
「『亜麻色の髪の乙女』……」
「ああ、ドビュッシー? 素敵な曲だよね……」
「……………」
「………あ、あたしってほら。こんなんだからクラシック聞くとみんな意外って思ってさ。曲名とか当てるとすっごい驚かれるんだよね………ぁ」
なんとか、元気をつけさせようと、から笑いでも明るく振る舞おうとする。
「……恭介が教えてくれたから。でなきゃ私、こういう音楽聴こうなんて、多分思わなかったろうし」
「さやかはさ………」
「ん? なに?」
「さやかは僕をいじめているのかい?」
「……………え?」
なんで?好きだって言ってたから、こうして買ってきてたのに?
「きょう、すけ………?」
「なんで今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ。嫌がらせのつもりか?」
「だ……だって、恭介……音楽好きだから…」
「もう聞きたくなんかないんだよ! 自分で弾けもしない音楽なんて!」
「──っ!!」
叫び声とともに、恭介は左腕を頭上に掲げた。
「僕は………僕は!」
「あ!」
その左手で、CDを叩き割る。破片が皮膚を裂き血が流れ、慌てて抑え病室に無機質な椅子の倒れる音が響く。
「くぅ………うぅ………動かないんだ。もう、痛みさえ感じない。こんな手なんて………」
「大丈夫だよ! きっとなんとかなるよ、諦めなければ、きっと何時か………」
「諦めろって言われたんだ……」
「もう演奏は諦めろってさ。先生から直々に言われたよ……今の医学じゃ無理だって。個性治療でも無理だって。僕の手はもう二度と動かない、奇跡か、魔法でもない限り!」
「……! ………あるよ」
「………え」
あたしは知っている。だって、最近ではあまり関われなかったけど、
「奇跡も、魔法も、あるんだよ」
窓の外に、よく知る影。白い生き物。病室を出て、屋上へ。そこには、キュゥべえが待っていた。待っていたという言葉も合っているか分からないけど、
「本当にどんな願いも叶うんだよね?」
「そうだよ、」
「恭介の腕を、治してよ」