魔法少女あま☆マギカ〜親戚のお兄さんがヴィランじゃなくて魔女を追っかけていた〜 作:紡縁永遠
Side????
「志筑仁美から宣戦布告をされた美樹さやか、彼女は自分の役割と、自分の恋心にどんな決着をつけるのか。あまたの思いが交差するなかで、未来視の魔法少女がどんな結末を見るのか、魔性の物語は残酷なまでに美しい」
Sideさやか
「仁美が恭介を?」
分からなかった。仁美が、こうやって伝えてきたことも、あたしがここで止まってしまうことも。
これで話は終わりだというように、立ち上がる仁美。その前に別の人が声をかけてくる。
「あっれ〜、さやかさんじゃないですか〜」
「えっと?」
「さやかさん、お知り合いですか?」
「ええ、はいお知り合いですよぉ」
「そうでしたか。私は志筑仁美と申します。ところで、お知り合いと言うにはさやかさんが戸惑っているようですが………」
「ええ〜! やだなあさやかさん、私のこと忘れちゃったんですかあ?」
「え、いや………えっと………お、覚えてるって! その〜……」
「さやかさん、心当たりがないのなら同性といえど警戒しなくてはいけませんよ」
誰だ?最近会ってないなら、幼少期とか?でもこんな人はあたしの知り合いにいなかったような………仁美の言うことももっともだ。無理に知り合いと信じる必要はない。
「その……ごめん、誰だっけ」
「まあ会ったのあの時だけでしたからね。でも、結構印象に残ってると思ったのに」
「あの時?」
「ほら、病院の屋上で!」
「………っ!」
「伏せろ」
ヒュッと血の気が失せる。病院、屋上。その言葉に、漸く目の前の相手が誰か思い出す。
相手が誰か気づけば、あたしの頭上で槍が振り抜かれた。
「ちょっとちょっと、一般人もいるんですよ?!」
「一般人がいても、接触してきたのはお前だろ?それに、グリーフシード持っていて何言ってるんだ?」
「っ!仁美!逃げて!」
「遅ぇですよ!」
瞬時に魔女の結界が展開される。でも、前回より数が少ない、一昨日でかなり倒したから?考えてみれば、天宮家で一体倒してるのはやばいことなのでは?
「ぼさっとすんな!」
「でも、仁美が!」
「………連絡はしてあるからすぐに来るはず!それより変身しろ!」
杏子のセリフにアタシも変身をする。けど、仁美もいるのに、二人でどうやって………
「くふふ。数が多い奴らを殺すには、弱い奴からってね……ああ、そっちのは行っていいですよ。関係ないの巻き込んだら織莉子さん怒るんで」
「織莉子!アイツが言っていたやつか!」
「お断りします」
「………はあ?」
「貴方は今、さやかさんを殺すと言いました。さやかさんは私の親友です。なら、私にも関係あります」
「ぷっ! あっはは! 親友!? 聞いてましたよ、その親友の好きな人奪おうとしてるんでしょう? なのに、親友って! あはははは!」
「まったくだな。子機を利用して本体をねじ込むことはできるのね、母さん、頼んだ」
「はいはい、ほら、志筑ちゃん逃げるよ〜」
「え、ちょ、離してください!」
仁美が逃げないことも驚いたが、気づけばいつもの神社にいた。そのまま狐縁さんに志筑が抱えられて神社の中に消えていく。
「………なんで、いるんですかねぇ」
「そりゃ、魔法少女の戦場を支えるのが俺の役目でね、とは言え、さすがにこの人数はキツイんでね、締め出させてもらうよ」
「待って!あそこのカフェには人が!」
「あたしの魔法で作った幻術だから人に被害はねぇよ」
「………だそうだ。またな」
そうして、優木沙々は結界の外に弾き出された。
「さてと、どうしようか………多分だけど次奇襲するときは、殺せるときだろうな」
「織莉子って言ってたから繋がってる可能性もある」
「そうか…とりあえずさやか、お前は仁美と「空気読めよ」何が?俺は来てくれとしか言われてないから状況が掴めてないんだけど」
「カクカクシカジカ」
「………え?武士の血でも入ってんの?」
助けてくれたのはありがたいけれど、その反応はおかしくない?
Side星夜
まさか、告白に宣戦布告を申し出る女傑がいるとわな、しかもあれじゃぁ、さやかが成功させたら黙って身を引くと言っているような物だ。商家の娘だよな?確か?
「………とりあえず、問題ができたな、優木沙々は次の襲撃で一人は殺しに来る」
「だろうね、美国ちゃんが、蓮夜のいう美国秀一郎に似ているなら、無闇矢鱈の襲撃は無くして決められる時に来るだろうね」
「どんな人なんだ?」
「えっとね、詳しくは知らないけれど、多のために少を切り捨てられる人間だね。最悪捨て駒にされて、自暴自棄にして特攻兵器にされる可能性もあるかな」
母さんの意見に、納得しながら、志筑に同説明すればいいか考える。選択肢は二つ、正直に話す。喋れないことを察してもらう。
「後者だな」
「なにが?」
「さやか、恋愛相談は当てにならないだろうけど母さんにしてくれ、俺は志筑に喋れないことを察してもらいに行く。幸いなことに数日休みだからな。志筑もそのころには落ち着くだろう」
さてと、神社のなかで待機している志筑にどう言おうか、どう言えば察してくれるだろうか。俺が関わってきた同級生のなかで一番頭がいいから、すでに察していると思うが、まぁ、なるようになるか。
「星夜さん」
「それで、えっと、察してくれると助かるんだけど………」
「わかりました。ですが、一つお願いがあります」
「さやかに告らせろってか?」
「はい、」
「………お前本当に商家の人間か?その考えはどっちかって言うと武士みたいだが、まぁ、さやかの方は母さんが何とかするだろ、朴念仁だけどな」
「あなたが言いますか?」
「親二人が朴念仁なんだ、遺伝だ遺伝」
「わかりました。では、お願いします」
「わかった」
Sideさやか
「あの、なんですか?」
「…ねぇ、美樹ちゃん、初恋って何だと思う?」
「え?」
「初恋だよ、初恋。私の初恋はねぇ、高校生の時かな。両片想いが三年続いてねぇ、周りに怒られたんだよね。もう付き合っちゃえよって、」
「それが何なんですか?」
「いや、初恋は一度きりなんかじゃないって話だよ」
「え?でも、初めての恋だから初恋なんじゃ、」
あたしは狐縁さんの言っていることがわからなかった。
「初恋、初めての恋。確かにそうね。でも、まったく同じ恋はできないよ。人を好きになる理由も、その場面も、時間も同じなわけがない。私の知る恋っていうのは、
今している恋が常に初恋だって。
本当に人を好きになったのは今が初めてって。
そしてそれで正しい。
そうでなくっちゃ駄目。
誰も、いつまでも中学二年生じゃいられないし、
十四歳じゃいられないんだよ
初恋は何度したっていいんだよ」
「そんな、暴論は…」
「それで、まだ決めきれないならもう一つ。告白もせずに失恋なんかできないんだよ、片想いだけじゃ、恋愛も失恋もできないんだから」
ストンと、今のあたしに綺麗に落ちた。今のあたしに必要なのは、失う悲しさよりも、恋の認識の仕方だった。