魔法少女あま☆マギカ〜親戚のお兄さんがヴィランじゃなくて魔女を追っかけていた〜 作:紡縁永遠
Side????
「この物語によれば、さまざまな思いが交差する中で、政治家の娘としての本領が発揮する美国織莉子。それに対して一人生身ながらに立ち向かう天宮星夜………おっと失礼、次回のあらすじでした」
「美樹さやかに、恋とは何かを解いた天宮狐縁、恋心はどこへたどり着くのか、そして魔法少女の真実はどうなるのか、」
No Side
「うは派手ですねぇ。いいんですかぁ? こんな雑に突っ込ませちゃって」
キリカの突入を見た優木は指示した織莉子にそう尋ねる。織莉子はそれでいいと答える。
チームを組んだ魔法少女、確かに敵対者には脅威に映るだろう。だが、そもそも彼女達は訓練を受けた軍人ではなく、たまたま力を手にした少女達。
「5人が4人になるのはそう痛手でなくても、5人が3人になればどうなるか。「3人いる」と考えるか、それとも「2人死んだ」と考えるか」
奇襲はその本性を顕にする。3人になったチームの、弱い部分を狙う。それが一手目。
「なるほどなるほど。じゃ、私達も行きましょうか」
「ええ……」
本来ならば、全体を見て最後まで分かってから動くのが織莉子のやり方だが、戦力差と介入者の対処は難しく、優木が、主力の魔女を失っていたことも大きかった。
それでも、風見野チームに限れば介入者の運命変更などが加わる前にかたがつけられると踏んだわけである。
「優木沙々。あのような者と手を組むとは堕ちましたね」
「くっふふふ〜。リナさん強がり面白いですよーぉ。内心ビビりまくり?」
「いや間違いでしたね。元から貴方はクズでした。持つ訳ありません」
「………ッ! ゲロ吐いて死ねクソ女!」
襲撃ということもあり、見滝原にいた魔法少女への連絡が遅れたことも問題である。
彼女達が、マミ達見滝原の魔法少女と違う事柄は、戦場サポートがないことである。この戦いでも、電柱や街灯が無秩序に乱立する魔女の結界に、速度特化のキリカに翻弄されていた。
「…っ」
キリカと相対した麻衣は、元の実力差で何とか均衡するまでに抑えていたが、他は別である。指揮系統のリナと、もともとの戦闘能力と自力が低い京、どちらが押されるかは一目瞭然である。
「くそったれが! 貴重な魔女弾3つも潰しちゃったじゃないですか………」
魔女を操るほどの洗脳魔法と聞けば魔力消費も多いのだと思いやすい。しかし優木の場合に限りそれは異なる。
そもそも彼女の願いは「自分より優れた他人を支配したい」というもの。願いの結果洗脳魔法に目覚めた魔法少女にくらべ、願いそのものである優木は魔力消費が少ないのだ。それはつまり、グリーフシードを孵すに足る穢がないことを意味する。
「こちらも魔力切れのようですね。貧弱な貴女の身一つ倒すくらいなら、ただの棒切れでも十分に足ります」
固有武器であるスタンバトンで殴りかかるリナ。杖で防ぐが、近接戦に慣れていない優木は無防備な頬を殴られ吹き飛ぶ。
「げふぁ」
「魔法少女は力ある者。故に正しくあるべきであり、貴女は排除されるべき存在です」
「……っ! ホンッといけ好かないですねぇリナさん。清く正しく美しくお利口さんトークばっかしてますが、な〜んか中身スッカスカなんですよねぇ「今月の目標 皆仲良く」みたいな」
「何が言いたいのですか?」
「いやね、あんた心からそれ思ってます?」
少しでも時間を稼ごうとする優木。が、その考えは実を結ばず、やってきたのは麻衣だった。
「いけすかなくて結構だ。もうお前と話すことはないんだからな」
魔法少女としての実力差は麻衣のほうが強かったのである。
「許してください心入れ替えます!パシリでも何でもしますから!リナさん…いやリナ様!」
リナを下がらせ刀を構える麻衣、明らかに手加減する気はない、命を取る気の構えだ。
「そうしてくれ……」
土下座し許しを請う優木に呆れたようにため息を吐く麻衣。
「来世でな」
終わった、と嘆く優木。と
「待ちなさい」
「! 織莉子さん!」
背後から聞こえてきた織莉子の声に希望を持つ優木。これで2対2。自分一人ならなんとか逃げられるはず。と、考えた視線の先には、織莉子の隣に京がいた。なんで彼女が織莉子と?その疑問に対する質問は優木ではなくリナが行った。
「京、その魔法少女は誰ですか?優木の様子を見るにこちら側ではないようですが」
「そうです!キリカの仲間ですよこいつ! つーまーりー!美緒さんを殺したのはこいつですよ!」
「どうしたの?沙々さん。そんな荒い言葉を使って」
なんとか、リナと麻衣の気を織莉子にそらすことに成功した優木は、更に畳み掛ける。
「黒幕ですよ! 今回の襲撃だってこいつが言い出しっぺです!」
「やめて!」
織莉子が悪いと語る優木に対して、それを止めたのは、風見野チームである京だった。
「織莉子さんを悪く言わないで……」
「京……?京。何を言っているのですか。その人は美緒の仇なのですよ」
「…リナちゃんは何時もそう。風見野の時だっ「星装神殿・天津甕星」
リーダーであったリナを否定しようとした京だったが、そこに、少女しかいない魔女の結界の中に、男の声が入る。
「?!もう来ましたか………」
「星夜、俺は今回手出さないからな」
「分かってる。マミと小巻は優木沙々、杏子とほむらは織莉子を、人見さん達は下がって休憩を」
「わかったわ!」
「了解!」
結界展開と同時に、指示を出す星夜。現実で直接移動する必要があるが、父が車を出したことで、遅れた連絡の分は少しは取り戻せただろう。
「………貴方が、イレギュラーですか…天宮蓮夜の」
「息子だよ、せめて、明後日にしてほしかったかな、」
「なら、今日の襲撃は正解ということね」
「本当にな…一応聞くが殺してないよな?」
「話し合いをした程度ですよ」
話しながらも、状況確認を怠らない星夜、襲撃による混乱も落ち着いたところで、星夜は戦乱の真ん中にいることに気づく。
離れるべきか離れないべきか、そんなことを考えながら、織莉子への警戒心は一向にとかない。政治家の危険度は両親から嫌と言うほど聞いたのだから。
対して、戦力を集中させた、魔女を使う優木の場所には、見滝原の最高戦力の、マミと防御に秀でる小巻のコンビにより、またピンチになっていた。
「なんで、こっちにこんな数が………」
「魔女を操るなんて危険な人、放って置くわけには行かないのよ」
「本当は黒カマキリのところにいきたいんだけどね」
「小巻さん、多分あれは………」
「うん、倒れてるのが見えた。それに、魔法少女にならアイツ動けるし」
魔女が倒されれば星夜はかなり自由に動ける。魔女と違い、物理で魔法少女は倒せるのだ。相応の力は必要であるが。
「それと、一応聞いておきたいんだけど………京さん、あんた、そっちにつくってことでいいんだよな?」
「そうだよ…全部リナちゃんが言い出したから……沙々ちゃんまで追っかけて見滝原まで来て。何なの?もう関係ないじゃん、私達は風見野の魔法少女なのに!もううんざり!」
「京、落ち着いてくれ!」
「私は殺し合いなんてもう嫌!」
京はもともと、自分から動くような人間ではない、そして直接的な戦闘も苦手であり、魔法も人形を操る能力だ。
「リナちゃんの言ってること、わかるよ? 正しくて綺麗だよ。でもさ、傷つくのはリナちゃんの周りの人達。さっきだって麻衣ちゃんに沙々ちゃんを殺させようとした。何時もそう、一番いい位置にいて綺麗なこと言ってるだけ」
「!!」
「織莉子さんは違う。自分の悪いところを認めてる。それでも、自分のやるべき事の為に進んでる。そして、私のことをわかってくれる。私は、リナちゃんの道具じゃない!」
「京!それは違う。私はそんなつもりで仲間を集めたわけじゃ……」
「美緒ちゃんも双葉ちゃんも!お前のせいだ!」
「…っ!」(私は…こんなにもいい子にしているのに………)
人見リナの契約理由。それは死んだ兄に執着する母から、兄の記憶を消すことだった。
「なんで、みんな責めるの?」
ドス黒く、心を蝕む、絶望の気配、それが人見リナを包み、ソウルジェムを砕かせる。
そして、巨大な布を被ったニワトリが鼻の高い仮面を幾つも付けた様な姿に変身する。
「は?!?」
「おや、知らなかったんですか?」
「………」
「魔法少女は絶望すれば、魔女になる」
織莉子静かに下がって避け、星夜や、杏子、ほむらも驚きの色は見えるが、魔女の攻撃をしっかりと避ける。
「どうなってんだよ、クソがぁ!」
「…!全員伏せなさい!」
魔女の攻撃に京が巻き込まれて、ソウルジェムが砕け散る。
「つまらない言い争いで全滅がお望み?」
「なわけないだろ!」
京が死んだことでの、織莉子の一次停戦の誘いに対して、星夜が向かったのは織莉子でも魔女でもなく、マミのところだった。
「魔法少女が魔女になるなら…みんな死ぬしかないじゃない!」
マミが撃った弾丸は魔女ではなく、優木のソウルジェムへと当たりこちらも砕ける。
未来が見える織莉子でも、魔女化を知っていたほむらでも無く、マミの鎮圧に真っ先に星夜が動いたのである。木刀でマミを気絶させ、魔女へと向き直ると、大半の魔法少女が知らない事実で、キリカが復活する。
魔法少女はソウルジェムが砕けなければ死ぬことはない、つまり、体を深くきり裂かれた程度では死なないのである。キリカの爪は麻衣に深々と突き刺さりソウルジェムも切り裂く。
「あ……」
判断を誤った。そう認識した後、動きを留めた全員の心臓が止まる勢いで、参加しないと断言した男の剣技が振るわれる。
「睡蓮湖殿・桜華橋…神降・西行妖・餓王剣〈餓鬼十王の報い〉」
星装神殿・天津甕星から、睡蓮湖殿・桜華橋へと空間が代わり、魔女と魔法少女全員に向けて、桜吹雪の剣戟が命中する。
「………これもシナリオどうりなのかよ、
魔法少女同士の戦闘は、一人の自衛隊によって、止められるにいたったのだった。