魔法少女あま☆マギカ〜親戚のお兄さんがヴィランじゃなくて魔女を追っかけていた〜 作:紡縁永遠
Side星夜
今日は暇だから風見野に来た。なぜって?暇だからだ!理由もなく見滝原市の隣である風見野に来てはいけないのか?否だ!まぁ暇以外にも理由がある。あれからマミさんは、声をかけてこない、あの時、プライベートなら問題ないと言質を取ったのだが足りなかったのか、プライベートの時間を取れないのか、それとも………まぁ、関わる気がないなら関わる必要もないだろう。
それよりここに来た本題は、魔女を、魔法少女を探すことだ。魔法少女が一人だけじゃないし、見滝原以外にも魔女がいるかもしれないということに対する探索だ。
あれから、魔女の気配は感じられるものの、正確な位置はわからないし、結界にも触れることはできない。魔女が魔法少女にしか感知できないとのことだったが、俺の持つ個性が結界型の異空間結界だからなのか、空間の変化というのは敏感だ。
何度か見たヒーローとヴィランの戦闘、空間接続系のヒーローが援軍を連れてくるシーンは見ものだった。そしてその予兆に興奮したのだ。
ねじ込むような、押し入るような、そんな感覚が空間干渉にはある。魔女の結界は押し入ると言うより、塗りつぶす様な変化だった。
「まぁ、そんな簡単に見つかるわけないか………あまりやりたくないが、日没の、逢魔が時のほうが、見つけやすかったりするのかもな」
逢魔が時、あちらと、こちら、幽世と現し世が重なる時間。空間が最も歪む時間。そういえば魔女の結界に踏み込んだのも、日没の逢魔が時だった。
「出直すか、」
そうして、日没近くになって、また風見野に来た。一人暮らしというのは楽なものだ。ある程度家を空けても気づかれない、気づかれないからこそ、自分で対処しなきゃいけないわけだけど……魔女はいないけど、なんで、日没近くに小学生がいるんだ?
乱雑な髪、警戒を解かない視線、頭上を覚える視線、虐め、いや、虐待か?いや、考えるだけなら幾らでもできるな、嫌なクセだ。人を見極める、動きから何ができるか、どんな状況かを割り出す。人を観察するような、見下すような視線だと、出久の幼馴染に言われたな。
………それでも、触れなきゃわからないこともある。だから、怖がらせること、トラウマを掘り返すことも覚悟して、緑、ライムグリーンの色をした髪の少女に声をかける。
「大丈夫?」
刺激をしないように、しゃがみ、上から見ないように。
「え、あ、ごめんなさい」
「謝る必要はないよ、甘酒飲む?」
「え、うん、」
最近できるようになった。コップがあればそこに甘酒を出すことができる能力。あいも変わらず攻撃性能はないが、一息つくには便利だ。
「ありがとう………」
「なんでここに?」
「ママが怒ってる、おうちに帰ってくるなって」
「!」
「お兄さんは?」
「探し物。でも、その前に、ちょっといいかな」
帰ってくるな、か。九割虐待だな。あとは、物的証拠があれば………前髪を書き上げれば、そこには丸い火傷痕がある。タバコか?押し付けたような感じだから、タバコの根性焼きか………よし。
「どうかしたの?」
「甘酒、まだ飲む?」
「飲む、」
甘酒をもう一杯分出してから、スマホを取り出す。110とおして、警察へ。
「はい、日没で帰ろうとしてたところ小学生を見つけまして。はい、母親に帰ってくるなって、それと髪で隠れていますが火傷痕、おそらくはタバコを押し付けたようなものかと、はい。風見野の公園です、今は、一緒にいます、はい。わかりました。」
「お兄さん?」
「行くよ、名前は?」
「千歳ゆま」
「そっか、俺は天宮星夜、今から警察に行くぞ、」
抱え上げると驚くほど軽い。近くの交番に行き、警察に事情説明をすれば、通報したことが伝わっていたのか、すぐに動いてくれた。
千歳ゆまは虐待児とみなされ、母親は逮捕、父親も不倫していたようで、母親が虐待に手を出した理由でもあるようだ。
ここからは俺の出る幕ではない。日没になっても隣の市か、来て帰ってきていないことは怒られたが、それでも、出来ることは終わった。ヒーローができるのは、助かる道を作るだけ。家族間の問題は警察と、弁護士に任せるしかない。
一応連絡先だけ交換して。パトカーに乗って見滝原にもどった。
補導時間外だったので学校には連絡がいかなかった。助かった。