魔法少女あま☆マギカ〜親戚のお兄さんがヴィランじゃなくて魔女を追っかけていた〜 作:紡縁永遠
Side星夜
さやかの誘いでCDショップに来ているのだが、今は買いたい曲もないし、CDショップに売っていることのほうが珍しい、コミケに行かなきゃないような曲を好む俺からしたら、大半が新鮮だ。嵐を巻き起こせるような人達くらいしか俺は知らない。
「見つかったのか?特売の時間まで後少ししかないぞ」
「アンタはなんでそんな専業主婦みたいな………」
「安く済むほうがいいだろ、キャベツはお前の財布から買うんだからな」
「だからって急かさなくてもいいでしょ!」
「せかさなくてもいいが、おまえの財布が軽くなるぞ」
「それは嫌だ!」
ここについてくる条件にキャベツを一玉買ってもらうことを約束したのだが、どのCDを、買うか忘れたさやかは試聴を繰り返していた。
「え?だれなの!?」
「どうかしたか、まどか」
耳に手を当てながら、叫ぶまどか。
「星夜くん!今の聞こえた?」
「なにも、」
どうやらまどかにしか聞こえていないようだ。さやかは音楽聴いているから気づいていないな。
「念話系統の個性じゃないか?おふざけか、本当に助けてほしいのか、」
「でも、「まどか助けて」って、」
「名指しか、詐欺じゃないよな?」
「違うと思う………こっち?」
「あ、勝手に動くな!」
走り出したまどかを追って、俺も走り出す。さやかは取り敢えず置いていく、一人にしたときにまだ安心できないな、両方とも、まぁ、店内を探すならましか。
立ち入り禁止の札を無視して建物に入り、そのまま突き進むまどかは、突然しゃがんだ。
「貴方が、私を呼んだの?」
しゃがんだ位置がやけに低い、猫くらいの位置だ。個性には知能を加速させるものもあり、動物によっては人の生活に入る存在もいるが。念話をするなら知能強化でもないし、まどかを名指しした意味もない……
「おい、まどか」
「ねぇ、この子助けられないかな?」
「助けるって、何をだ?」
まどかは何かを抱えている。抱えているのだがそれがなにか見えない。まどかには見えているのか?でもまどかは無個性だし、俺の個性が反応していないってことは空間干渉計ではないし、何をそんなに焦っているんだ?
「ソイツを離して」
「暁美か…その格好は、」
制服ではない、ドレスのような服。多分魔法少女、それよりも、銃を持っている。マミさんのようなマスケット銃ではなく、近代的な拳銃だ。向けた位置からして、まどかの腕の中、俺が見えないまどかに助けを求めた存在か。
見えない存在を助ける気にはならないが、さすがに銃を突きつけられるのは御免だね。
竹箒を取り出して柄を暁美に向ける。
「まどか、今抱えている存在は俺には見えていない、そして暁美には不利益になる存在のようだ。どちらからも事情を聞きたいが、動けるな?ちょっと不味いことになった。すぐに逃げるぞ」
「え?でも、」
「どきなさい、ソイツを殺せない」
殺せない、ねぇ、恨みを買われてるのね、相当の。でも、空間が歪んでいるこの感覚はさすがにまずい、銃を向けられているから迂闊には動けないし。
「星夜!まどか!下がって!」
響いた声をはさやかのもの、そして噴射される消火器。そういや目にかければ相当の凶器だったな。
「まどか、捕まれ!」
煙幕で動けなくなった暁美を無視して、まどかを抱え上げながら走り出す。
魔法少女なら魔女の結界に放置しても多分生き残れる。それでなくとも、って、間に合わないか。
「さやか、いったん止まれ、」
「え?なんで?逃げるんじゃないの?!」
「逃げても無駄になった」
当たりは薔薇に包まれて、ひどい死臭がする。前回マミさんと会った時の結界だ。そういえばあのときはボスらしき存在は倒していなかったっけな。
「星夜くん、どうするの?」
「どうするって…」
「男なんだからどうにかしなさいよ!」
「んな無茶な、俺の個性は攻撃できないんだよ、取り敢えず、10秒我慢しろ、戦場で10秒は命に関わるけどな」
悪態をつきながら手を合わせる。
「星装神殿「大丈夫?!片付けるから、待ってて!」あ、必要なくなった」
「どっちよ!」
魔女の結界に閉じ込められた俺達を助けるために来てくれたのは暁美ではなくマミさんだった。
「なんで巻き込まれてるのよ!」
「今回に関しては不可抗力ですよ、」
前と同じようにあっという間に倒してしまったマミさん。俺の顔を見るとまた巻き込まれていることに文句を言われるが、風見野の時見たく自ら飛び込んだわけではないので許してほしい。
魔女の、結界が解かれると、暁美が近づいてくる。
「魔女はまだ近くにいるはずよ」
「私の用があるのは...」
「飲み込みが悪いのね?見逃してあげるって言ってるの」
どうやら、マミさんは、こちら側のようだ。ありがたい。流石に遠距離持ちと戦うことは無理だ。
「私は巴マミ、キュウべえを助けてくれたのね、ありがとう」
「キュゥべえ?」
「貴方が抱えている子よ、」
「俺には見えないんだが」
「キュップイ!君がマミが言っていた、魔女の結界を上書きできる人間かい?助けてくれてありがとう!」
「!」
なんだ今の、身も毛もよだつような感覚は、この上ない寒気を感じたぞ。うそで塗り固められたような詐欺師の言葉ってあるんだな、そう感じた。
気づけばまどかの腕のなかに白い物体がいた。コイツがキュゥべえなのか?
「一応、空間掌握においては随一と言われてきたんだが、気持ち悪いな、」
「ちょっと、キュゥべえに失礼よ」
「プライベートにすら声をかけなかった人が言うセリフですか?」
「う、それは…」
「それについてはいいですよ、気持ち悪いといったのは、瞬きはしないし、表情も変えないことですよ」
「必要ないからね」
「怖……」
気持ち悪いな、コイツ、そもそも何なんだこの物体。触れてはいけないような、触れるなら思いっきり殴りボロ雑巾にしろというような、そんな感覚がある。何なんだこいつは………
「まどか、さやか!突然で悪いんだけど…僕と契約して、魔法少女になってよ!」
「……胡散臭い、」
「酷いなぁ、君は」
「契約という言葉で怪しまないやつは居ないだろ………」
俺から思うこいつは、真っ白いくせに、ドス黒い、隠し事の多いやつという印象だった。